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フルートと管弦楽のためのアンダンテ(モーツァルト)/クルト・レーデル

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<曲名>
フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調K315(モーツァルト)
 
<演奏>
(1)クルト・レーデル(フルート&指揮)、ミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽団
【1955年録音、TELEFUNKEN】
https://www.youtube.com/watch?v=BbhmbJoKoII (6分05秒) 世界初復刻?
 
(2)クルト・レーデル(フルート&指揮)、ミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽団
【1964年録音、fontana】
http://www.amazon.co.jp/dp/B00067SRHK (試聴できます)
 
(3)クルト・レーデル(フルート&指揮)、ザルツブルク・モーツァルト管弦楽団
【1974年頃初出(?)、ARION】
http://www.amazon.co.jp/dp/B004G6CG9M (試聴できます)
 
(1)と(3)はモーツァルトのフルート協奏曲集、(2)はバロック名曲集の中の1曲。レーデルはK315を少なくとも3回録音しています。いずれもほとんど話題にする人もいない、忘れられた演奏ですが、彼の暖かい音色がこれほどよく合う曲はほかに思い当たりません。
 
(1)に最も惹かれます。ジャケット記載によると、フランスのデュクレテ・トムソン(Ducretet Thomson)というレーベルの録音を、ドイツのテレフンケンがライセンスを得てプレスしたレコードです。他のデュクレテ・トムソン/テレフンケン盤(例えばクルト・レーデルのバッハ)は数万円で取引されることもあるので、当盤(650円)にも大いに期待したのですが、箱ボロボロはまあよいとして、盤面も満身創痍。それはコンディションの問題ですが、弦楽器の音が奥にこもっているのはぼくの技術の問題?良質のCD復刻が待望。
 
(1)と(3)の録音年代、(2)のオリジナルアルバム情報をお寄せいただいた方にはLoreeサイン入り色紙を進呈。
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精霊の踊り(グルック)/クルト・レーデル

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<曲名>
精霊の踊り(グルック)
~歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」第2幕より
“帰って来るまで決して振り返ってはならない”との約束のもと、黄泉の国から妻を連れ戻そうとする…我国にもイザナギ・イザナミの話があるように洋の東西に共通のパターンの物語で、グルックが題材をギリシャ神話に求めて作曲したのがオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」。オルフェオは冥界に渡り、竪琴を手に持ち前の美声で復習の女神達の厳しい守りをくぐり抜け、妻エウリディーチェの所へとやってくる。そこで演奏されるのがフルートで奏でられるこの「精霊の踊り」である。こんなに美しい音楽があるのならずっと黄泉の国にいてもいいのでは…と思わせるようなゆったりとした優雅な調べだ。(Loree父による作品解説)
<演奏>
クルト・レーデル(フルート&指揮)、ミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽団
【1960年代初頭録音(?)、ERATO】
 
この曲の中間部(3分00秒~)は、ズガンバティやクライスラーの編曲によって「メロディー」の名でも知られています。
ズガンバティ編曲(ピアノ版) https://www.youtube.com/watch?v=TIkhkzXr_DM
クライスラー編曲(ヴァイオリン版) https://www.youtube.com/watch?v=hmHtZ3lUBOQ
 
クルト・レーデル(1918~2013)はバロックから古典派までの音楽を主なレパートリーとするドイツの指揮者。かつて、ある中学生はこの人が指揮するテレマンをFMからエアチェックしたのですが、そのカセットテープを誤って消去してしまったことは痛恨でした。再びその演奏を聴くまでに四半世紀を要するとは、想像するわけもない。3年前にPさんからいただいたそのテレマンのLPは、わが家の現在のレコードプレーヤーの記念すべき再生第1号となりました。
 
この指揮者は、LP時代に同じようなポジションで活躍し、奇しくも同年に逝去したジャン=フランソワ・パイヤール(1928~2013)に比べると、1980年代以降はやや影が薄い存在になっていたのかもしれません。そんなわけで、CD世代のバロック少年(ぼく)は、彼がプロ・アルテ管弦楽団を創立する以前の若い頃にバイエルン国立管弦楽団のソロ奏者(1941年~)などを歴任したフルート奏者だったことを知りませんでした。
ちょっと聴くと木管かと思われるような彼のフルートはRichard Keil-werthであり、ドイツ・フルートでもフランス・フルートでもない、彼独特のものである。(ブリジッド・マッサン/真崎隆司[訳・補筆])
彼ほどサングラスと葉巻が似合う音楽家はいないと思われる、まるでマフィアの親分が奏でるフルート。他者を圧倒する存在感とか、シャンデリアのような輝きとか、妖刀のような切れ味とか、そんなものを期待するならランパルとかゴールウェイを聴けばいい。「吹く」という意識すら感じさせず、自然な呼吸がそのまま音楽となって弦に包まれるレーデルの温もりのある音は、疲れたサラリーマン(ぼく)も包みこんでくれる。100円。
 
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リコーダーの妖精

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Michala Petri
 
「リコーダーの妖精」ことミカラ・ペトリ。
 
リコーダーと言うと、日本人の99%は小中学生の縦笛を思い浮かべますが(当社調べ)、元来は西洋の古楽器であり、バッハやヘンデルをはじめとして17~18世紀の多くの作曲家がこの木管楽器のために協奏曲やソナタを書きました。そんなわけで、バロック少年であり、リコーダー少年でもあったぼくがそのジャンルに惹かれるのは必然でした。
 
特に好きだったのがミカラ。決して、年上の綺麗なお姉さまに惹かれたのではなく、バロックのリコーダー曲に惹かれたら、それを吹いているのがそういう人だったのです。ミカラの音はストレートで歪みも淀みもなく、呼吸が安定していて実に爽快。実にピュア。生まれてから一瞬も邪悪な心に汚されたことがない、心の美しい女性にしか出せない音である(男の妄想)。
 
<曲名>
ヴァリエーション・ブリランテ(クレーマー)
Variations Brillantes, Op.18(Ernst Krähmer/arr.by Alexander Zapolski)
 
<演奏>
ミカラ・ペトリ(ソプラノ・リコーダー)&Zapolski Quartet
https://www.youtube.com/watch?v=PM9_IOBurdk (7分04秒)
 
クレーマーと言うと、拙ブログを長年愛読してくださっている方は過去記事「超有名主題による変奏曲」シリーズで紹介したヨハン・バプティスト・クラーマー(1771~1858)を即座に思い出されることでしょう、間違いない。
 
このときのクラーマーは某美人ブロ友さんも愛奏しているピアノの練習曲≪クラーマー=ビューロー≫の原作者ですが、今回の作曲者はエルンスト・クレーマー(1795~1837)。ぼくは今日まで同一人物だと思っていましたが、調べてみたら別人でした

 
この曲はバロックじゃないけど、ミカラが来日公演で吹いているのをFMで聴いて、エアチェックしたカセットテープをもとに採譜するほど聴き込みました。そのテープはすでに手元になく、正確なデータも不明ですが、おそらく1988年の来日公演、伴奏はミカラのお母さんのチェンバロだったと思います。ツッコミどころ満載の手書きの楽譜は今も手元にあります(そもそも2拍子でいいのか?)。
 
なお、ぼくの楽譜に「クラマールシュ作曲」と書かれているのは、たぶんFMでそのようにアナウンスされたのだと思います。調べてみると、Kramářという綴りだとチェコ語で「クラマールシュ」と発音するらしい。チェコ人なんでしょうか。分かりません

 
上のYouTubeの演奏は弦楽四重奏の伴奏で、第1ヴァイオリン奏者Alexander Zapolskiの編曲(ちなみにこのYouTubeは彼のチャンネル)。伴奏は違いますが、ぼくはこの曲を20数年ぶりに聴いた。なんという感激
 
もしかしてだけど~♪この曲の楽譜、IMSLP(International Music Score Library Project)にあるかな?と思って検索したけど、なかった。(→ http://imslp.org/wiki/Category:Kr%C3%A4hmer,_Ernst
 
なぜかちょっと、ホっとした。
 
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オーボエ協奏曲(R・シュトラウス)

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<曲名>
オーボエ協奏曲ニ長調(R・シュトラウス)
なんというのびやかな旋律。なんという美しい世界。どこにも無理がなく、素直で、やさしい。まるで風が抜けていくようだ。低音部のささやきが耳をくすぐり、気持ちよく上へ上へと旋律が広がっていく。(中略)考えてみると、こんな斬新な始まり方の曲もない。レミレミ…レミレミ…というひそやかなチェロの誘いに、いきなりふわっとオーボエのソロが乗る。旋律はどこまで行っても、いたって「自然」である。穏やかな2楽章も、さらさらと流れる3楽章も。ところが、この「自然さ」を美しく表現するのが、きっと難しいのだ。(加藤牧菜さんの音楽エッセイ「音の向こうの景色」より)
R・シュトラウス(1864~1949)が最晩年に作曲したオーボエ協奏曲。肉食系の轟音は、今は昔。まるでモーツァルトのように澄みきっていて、これこそ最高のオーボエ協奏曲だと思っているオーボエ吹きは少なくないはずです。それどころか、ぼくは世界で最も美しい音楽ではないかと思うことさえあります。
 
天下のベルリン・フィル首席3代の演奏で聴いてみます。
 
<演奏>
ローター・コッホ(オーボエ)、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル【1969年録音、DG】
 
コッホのオーボエはモーツァルトのK314(前回記事)と同様に、太い毛筆で描いていながら一切のケバ立ちがなく、この世には存在しない理想を体現したような音。そもそも、この曲自体がこの世に存在しない理想の世界を描いているようにも思われる。
 
あらためて聴いてみると、カラヤンの指揮も含めてややコッテリ感があって、もっと淡い水彩画のような演奏を好む人もいるかもしれませんが、好みはさておき、コッホのオーボエはあまりに完璧すぎて、笑いが込み上げてきます。比較を絶するとはこのこと。CDでは入手困難な時期が長くつづいたこの録音は、≪Masters of the Oboe≫でようやく再発売されました。ホリガー&イ・ムジチ合奏団のマルチェッロなど8人のオーボエ奏者で12曲を集めた当盤は、アルビノーニとベルリーニが含まれないことで画竜点睛を欠きますが、「オーボエのCDを1枚だけほしい」という人に(2枚組だけど)薦めたい。
 
<演奏>
ハンスイェルク・シェレンベルガー(オーボエ)、ジェイムズ・レヴァイン指揮ベルリン・フィル【1989年録音、DG】
 
カラヤン最晩年の時期(1989年5月)で、指揮はレヴァイン。ぼくがオーボエを手にしたときにBPO首席だったシェレンベルガーは憧れの存在でした。使用楽器はLoree(フランスのオーボエメーカー)の最上位機種だったと思います。シェレンベルガーの音は繊細なガラス細工のようで、壊れやすく、やや神経質です。美しいと言ってもいろんな美しさがありますが、シェレンベルガーの音は儚い系の美しさ。
 
ずいぶん前(1997年)に紀尾井ホールでシェレンベルガーの公開レッスンを聴講したとき、池田昭子さん(当時、藝大4年)がこの曲を吹きました。第1楽章の冒頭からさりげな~く頻出する16分音符にちょっと力が入っている池田さんに対し、シェレンベルガーは「ヴィルトゥオーゾ風にならないように…」と助言していたことが印象に残っています。この冒頭のメロディーは、楽譜だけ見るとちっとも“歌”らしくないのですが、実は大きなフレーズが流れていて、この16分音符が表しているのは、たぶん、フレーズという名の羽毛がふわっと風に揺らめく程度の微細な動きなのかもしれない。言うは易し、おこなうは難し。
 
<演奏>
アルブレヒト・マイヤー(オーボエ)、クリスティアン・ティーレマン指揮ベルリン・フィル【2012年3月4日ライヴ】
http://www.youtube.com/watch?v=v44s14ocMV4 (2分47秒)*第2楽章より
 
リンク先の動画はBPOの公式アカウント(?)。この前日(3月3日)のライヴがDIRIGENTという海賊盤レーベルから発売されていますが、それはマイヤーにとって不本意な出来だったはずです。冒頭からティーレマンと呼吸が合わず、16分音符のパッセージも寸詰まりで苦しそうです。ハラハラしながら聴いていると、案の定、途中で派手に指を滑らせ、誠に痛々しい。しかしBPO首席といえども人間なのだ、となぜかちょっと安心します(笑)
 
余談ですが、同じ職場にケータイの着信音が「ラシラシラシラシっ♪ラシラシラシラシっ♪」(ちょっとテンポ速い)の人がいて、鳴るたびに気になって仕方ないのですが、ひょっとしたら彼もリヒャルトのオーボエ協奏曲が好き…なんてことは絶対にあり得ない、間違いない

オーボエ協奏曲(モーツァルト)

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<曲名>
オーボエ協奏曲ハ長調K314(モーツァルト)
 
モーツァルトの「K314」は、歴史的には「フルート協奏曲第2番ニ長調」として後世に伝わった作品ですが、実は「オーボエ協奏曲ハ長調」という原曲が存在したことが20世紀になって判明しました。そもそも管楽器のための協奏曲というジャンルはピアノ協奏曲とかヴァイオリン協奏曲ほどレパートリーが潤沢じゃないので、どっちが原曲にしてもオーボエにとってはたいへん貴重です(←Loreeが吹けるかどうかは別問題)。
 
それでも、長年にわたって「K314」の本家として刷り込まれてきたフルート版に比べると、オーボエ版はなぜか肩身が狭くて、かつてオーボエ奏者は「この曲はフルート協奏曲として有名だけど、実はオーボエ版が原曲で…」と言い訳がましく紹介したものです(たぶん)。近年は日本人オーボエ奏者の黒木泰則氏の尽力によってその立場はすっかり逆転し、今では「えっ、フルート版もあるの!?」と驚く方も多いのではないかしらん。
 
ここから本題。前回記事と前々回記事ではオーボエ・ダモーレとイングリッシュホルンを聴き比べてみましたが、オーボエという楽器は奏者による音色の違いが大きく、これが本当に同じオーボエかと思うほどです。というわけで、今回は20世紀を代表する2人のオーボエ奏者を聴き比べます。
 
<演奏>
ローター・コッホ(オーボエ)、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル【1971年録音、EMI】
http://www.youtube.com/watch?v=c4Jrak58maI (7分26秒) オーボエのソロは1分03秒~
 
とても現実に人間が吹いているとは思えない、まるで魔法の世界から届けられた音。元来、リード楽器はトゲトゲしく、ビリつきのある粗野な音がするものですが、究極まで熟成するとここまで柔らかくなるものでしょうか。まるで霜降り和牛のような旨味のある音は、いかにもカラヤンらしい豊満なサウンドと意外にもマッチしていて、なるほど彼はこのオーケストラの首席だったと思い出します。
 
<演奏>
ハインツ・ホリガー(オーボエ)、ヘスス・ロペス=コボス指揮ローザンヌ室内管弦楽団
http://www.youtube.com/watch?v=A2UC3Fo765w (8分21秒) オーボエのソロは2分12秒~
 
体脂肪を極限まで落とした細身の音は、まるで金属の針先にリードを付けているかのようです。いかにも薄そうなリードで、オーボエという楽器はこんなにしゃべるように自由自在に表情豊かな音を引き出すことができるのかと感嘆せずにはいられません。この演奏はライヴのハンディがあるし、ひょっとしたら全盛期を過ぎているかもしれませんが、はじめの1フレーズでホリガーだと判る音です。
 
さて、どちらがお好みですか?

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