交響曲第9番(ベートーヴェン)

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母校のオケは年2回の定期演奏会が活動のメインで、ぼくが最後に乗ったのは第63回(1996年12月)でした。卒業後は地方勤務が長かったせいもあってすっかり疎遠になり、演奏会の案内が届くわけでもないのでふだんは存在も忘れていて、それでもこの19年間に2回くらい聴きましたが、またしばらくすると忘れます
 
しかし今年6月の定演が第100回となることにあるときたまたま気づいて、絶対行こうと思っていたらやはりまた忘れてしまい、思い出したときは本番を過ぎていました
 
そしたら12月の定演はちょうど我らがマエストロの就任50周年記念ということで、俄然テンション高まり、スケジュール表にもちゃんと書いて、チケットも発売当日に買って、準備万端と思っていたらどうしても外せない用事(飲み会ともいう)が入ってしまい、やむなく断念
 
せめてチケットを無駄にしないように、オケ側で有効活用してもらおうと思って連絡したら、完売で必要範囲にも行き渡らずに困っていたとのことで、とても喜んでくれました
(「第九」は合唱団が入るので、そのぶん出演者が多く、チケットが不足することは想像に難くない)
 
それでマネージャーが気を利かせてくれて、本番が迫ったある練習日にチケットを持参するついでにリハーサルを見学させてもらうことに
練習室はそんなに広くないので、オケ全員入ると空きスペースはほとんどなく、ぼくは入口付近(指揮台から見ると左奥)、ちょうどティンパニの背後で、ティンパニが炸裂する「第九」の第2楽章を聴く
 
こんな体験は二度とない。それに、練習室に足を踏み入れる機会も二度とないと思っていました。当時と同じ練習室で、同じマエストロの下で演奏する学生たち。学生オケの宿命でメンバーはもう何度も入れ替わり、数年ごとに完全に別団体になると言っても過言ではないのですが、何かを継承していると信じるに十分な光景でした。
 
今年最高の「第九」。(←実は今年1回しか聴いてない人)
 
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交響曲第1番(ベートーヴェン)

<曲名>
交響曲第1番ハ長調(ベートーヴェン)
 
ゆうちゃんのジュニアオーケストラの今年のメインはベートーヴェンの1番でした。ベートーヴェンの交響曲は「不滅の9曲」とか言われますが、1番はのちに大作曲家となった人の最初の交響曲だから大切にされるのであって、これが名曲とは思わない。第1楽章の序奏の和声進行とか、第4楽章の冒頭の一撃とか、聴衆を驚かせようと仕組んだハッタリは刺激に慣れた現代人(ぼく)には通用しない。
 
そんなふうに思っていたので、今年のメインが「ベト1」に決まったとき、ぼくは内心ガッカリしたのですが、CDは少なからず持っているので、取っ替えひっかえ聴いているうちにだんだん「いい曲だなぁ」と思ってきて、今となってはかなり好きな曲です♪(←昨年まで酷評していた人)
 
ゆうちゃんは一昨年に広島から引っ越して来て、このオーケストラの演奏会に乗るのは2回目です。今回の演奏会のパンフレットに指揮者の西本智実さんがコメントを寄せてくれていましたが、これまでの演奏会にも小林研一郎さんや小山実稚恵さんなど日本を代表する音楽家の方々からコメントをいただいています(注:出演したり、来てくれたわけではない)。
 
こう書くと、いかにも立派な団体のように見えますが、指導者の先生はプロオーケストラの現役奏者ですが、正団員は30数名、弦楽器も管楽器も欠員だらけで、日常の練習に参加するのは20名くらいで、その9割がヴァイオリンということも珍しくない。ヴァイオリン以外の弦楽器(ヴィオラ、チェロ、コントラバス)を習っている子は絶対数が少ないし、管楽器は中学や高校の吹奏楽部にはたくさんいるだろうけど、地域のオケに参加する子はほとんどいない。広島でもそうでした。
 
だから、「オーケストラ」とは名ばかりで、ふだんは「弦楽合奏団(ほとんどヴァイオリン)+α」というのが実態なのです。演奏会の直前と本番だけエキストラに来てもらってフル編成で臨みます。でも、これはこれでいい。ヴァイオリンは小学生が多く、練習場はまるで動物園です。何ヶ月もかけてやっと合奏を仕上げるから、他のパートは演奏会の直前に入るくらいでちょうどいい。年1~2回でもフルオーケストラに参加できるのは子どもたちにとって得がたい経験です。
 
管楽器のエキストラは先生のツテで呼んだ音大生のお兄さんお姉さんたちで、一応、「ジュニアオーケストラ」として違和感がない(?)。彼・彼女たちは少ない練習でもちゃんと合わせられるし、音も外さない。実力のある人は高いギャラを払わないと呼べないので、うちのオケのエキストラは「そこそこのギャラで来てくれる人」らしいけど、子どもたちのヴァイオリンには不釣合いなほどの(素晴らしい)腕前で、まったく、アマチュアオーケストラの演奏は管楽器で決まると言っても過言ではないとあらためて思った次第。ぼくなんかが、「あの~、実はぼくもオーボエやってました。親だったらノーギャラですよ
」なんて、言い出す余地はないのです(汗)
 
そんなわけで、エキストラの皆さんのおかげで予想以上の好演でした(しかしお客さんには長い交響曲よりもアンダーソンのほうがウケがよかったことは言うまでもない)。今年も残り数分。「第九」ならぬ「第一」の聴き比べ記事を書くつもりでしたが、今日聴いた演奏を列挙して逃げ切ります。良いお年をお迎えください。
 
<今日聴いた演奏>(録音年代順)
1)ウィレム・メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル【1930年録音、米Victrola(SP復刻)】
2)アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィル【1958年録音、EMI】
3)ヨゼフ・カイルベルト指揮バンベルク交響楽団【1959年録音、TELDEC】
4)フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団【1959~1961年録音、edel】
5)ヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン【1979年録音?、BRILLIANT】
6)ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団【1997年録音、RCA】
7)ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレ【1999年録音、TELDEC】
 
1)はポンちゃんさんの復刻。3)は堀内淳さん、5)と7)はハルコウさんからいただきました。ありがとうございました♪
 
(大晦日の過去記事)
【2009年12月31日】ヨーロッパ賛歌(ベートーヴェン/カラヤン編曲)
【2010年12月31日】交響曲第10番(ベートーヴェン)
【2011年12月31日】喜歌劇「こうもり」第2幕~ガラ・パフォーマンス
【2012年12月31日】ウィーンの夜会(ヨハン・シュトラウス2世/グリュンフェルト編曲)

あの日本人作曲家の交響曲第1番

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<曲名>
交響曲第1番ニ調(橋本國彦)
私は当分ティンパニは見習いだったが、小太鼓でハレの舞台に立ったのは、橋本国彦先生の≪交響曲・ニ調≫の初演である。第一楽章のマーチふうなところでは小太鼓がソロなみに活躍する。橋本先生のやや気取った棒が、小生の出のところでピタリと決まると、先生は満足気な顔でニッコリされるのが嬉しく、ハリ切った。(中略)第二楽章の沖縄旋律によるスケルツォも新鮮だが、終楽章が〈紀元節の主題による変奏曲とフーガ〉で、戦後にあってこの交響曲は不利な状況に置かれてしまった。むしろ〈越天楽の主題による〉と変えたほうがよかったのにと思う。(畑中良輔「O先生と呼ばれる教頭なかりせば」:音楽之友社「宇野功芳編集長の本」1999年より)
橋本國彦(1904~1949)の交響曲ニ調は皇紀2600年(西暦1940年)初演。東京音楽学校オーケストラの一員としてその初演に参加した人がつい昨年(2012年)まで存命だったことに驚きます。ぼくはこの話を読んでこの交響曲に興味を持ちましたが、当時はまだ録音がなく、10年ほど前(2002年)にようやく世界初録音盤がリリースされました。片山杜秀氏の解説はいつも充実しているけれども、当盤に畑中良輔氏の回想が載らなかったことは残念です。
 
<演奏>
沼尻竜典指揮東京都交響楽団【2001年録音、NAXOS】
第2楽章 http://www.youtube.com/watch?v=zw9MJ2Pgoqo (11分09秒)
 
琉球音階の民謡のような主題が様々に楽器を変えて反復される和製「ボレロ」。これも変奏曲の一種と言えるでしょう。それにしても、この主題の魅力!居心地よく、沖縄には行ったことないのに、なぜか懐かしい気持ちになります
(←その気になりやすいLoree)
 
今話題の広島ゆかりの日本人作曲家の「交響曲第1番」もいつか聴いてみたいと思っているのですが、蒸し暑い季節が過ぎてからでもいいかな。

交響曲第7番「青春」(プロコフィエフ)

<曲名>
交響曲第7番嬰ハ短調「青春」(プロコフィエフ)
 
「え~?プロコフィエフの交響曲なんて知らない。」という方も「古典交響曲」(交響曲第1番)は聴いたことあるかも。「古典交響曲」の第3楽章(→ http://www.youtube.com/watch?v=JP3OZKhLcZU )は「N響アワー」放送末期のオープニングテーマ曲だったので、全国約120万人の日本人におなじみです(視聴率1%と勝手に推定)。
 
さて、第7番はプロコフィエフ(1891~1953)の最後の交響曲(1952年)です。「青春」という副題はこの交響曲がラジオの児童番組のために構想した作品で、プロコフィエフ自身が「青年の前途の喜びという思想により生まれた」「青春交響曲」と語っていたことから付いているらしい。現代の平均的日本人(ぼく)がイメージ(妄想)する「青春」という言葉とはちょっと意味が違い、また、そんな「青春」のひとこまを直接的に描いた曲でもありませんが、全曲聴きやすく、第4楽章(最終楽章)は特に楽しい
 
○第4楽章
ヤン・クチェラ指揮プラハ放送交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=i0DNGGawvck (8分37秒)
 
ごく短い序奏につづいて登場する主題(0分13秒~)は、学生オケで先輩たちがこの曲を演奏したときに「ミッキーマウスのマーチ」と言っていたのはまさにその通り、ほとんどディズニー的な大騒ぎのノリ!また、途中(2分15秒~)に登場する主題は「ピーターと狼」的な雰囲気の中、なんとな~く「シンデレラ」の「ビビディ・バビディ・ブー」に似ている?(ちなみに「シンデレラ」は1950年公開)
 
ソ連当局が「分かりやすさ」を強いた結果、よりによって敵国アメリカのアニメーション風の音楽になってしまったことはなんとも皮肉。あるいは確信犯なのか。でも、ディズニーテイストだけでは終わらず、第1楽章の第2主題の名旋律が再現する場面(4分48秒~)は実に感動的で「青年の前途の喜び」を感じないわけにはいかない(←その気になりやすい男、Loree)。
 
ところで、第4楽章のエンディングには2種類あって、(a)弱奏のピツィカートで消えるように終わる版と、(b)例の「ミッキーマウスのマーチ」が再現して強奏で終わる版があります。うちのオケで使っていたのは(b)の版。そのとき先輩は結尾23小節について「作曲者が初演後に削除した」とプログラム解説に書きましたが、Wikipediaでは「初演指揮者の要望でオリジナルの終結部に追加された」とまるで正反対のことが書かれています。リンク先の演奏は(b)の版によるエンディングです。(a)の版でこの曲を覚えた方にはきっと(b)のエンディングは「蛇足」に思えるかもしれませんが、ぼくのように(b)の版で覚えると(a)はいかにも画竜点睛を欠くといった感じです。さて、真実は…?

交響曲第7番(ドヴォルザーク)

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<曲名>
交響曲第7番ニ短調(ドヴォルザーク)
 
「新世界」よりも、8番よりも、7番がいい。「スラヴ色が希薄」「ドイツ風」と評されることもあるけど、そんなことは関係ない。ぼくはドヴォルザークを聴きたいわけじゃない。熱い音楽を聴きたくて、それがたまたまドヴォルザークの7番だったというだけのこと。
 
<演奏>
ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団【1957年録音、EMI原盤/Disky】
http://www.hmv.co.jp/en/product/detail/306469
http://www.youtube.com/watch?v=AdpOMbOyoKw (2時間17分03秒)
第1楽章 動画の1時間06分06秒~
第2楽章 動画の1時間16分10秒~
第3楽章 動画の1時間26分01秒~
第4楽章 動画の1時間33分07秒~1時間41分50秒まで
(7番を初めて聴く方は第3楽章、よくご存知の方には第4楽章をおすすめします)
 
バルビローリが熱い。ステレオ録音ながら荒れた音質、さらにオーケストラも荒れている。この熱さは派手な炎上ではなく、焼けた鉄から伝わってくる熱さ。エモーショナルなヴァイオリンは、焼けた鉄の内側に通っているのが人間の血であることを強く感じさせる。このバルビローリ節は8番の第3楽章(上の動画の2時間02分05秒~)でも最高に発揮される。
 
第3楽章で弦楽器を短く鋭く弾かせるのは、バルビローリがブルックナーの7番のリハーサルで第3楽章の冒頭を執拗に繰り返し練習していた様子を思い出す(※)。でもそんなことは細部の問題であって、圧倒的な気迫、推進力、エネルギーが全楽章を一気通貫、聴き手に冷静でいることを許さない。第4楽章ではさらにテンションが上がり、この先には破滅しかないと知っていながら一心不乱に突き進んでいくかのような凄味。このオーケストラは本気だ。
 
熱いぜ、バルビローリ!
 
≪The Art of Conducting≫
http://tower.jp/item/1836186/アート・オブ・コンダクティング~今世紀の偉大な名指揮者たち

プロフィール

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Author:violin20090809
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