モーツァルトのホルン協奏曲をチェロで弾く。

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ヴァイオリン協奏曲はヴァイオリンで弾くために作曲されたはずだし、管楽器のための協奏曲もまた然り。そんなことはわざわざ書くまでもないという気もするけど、バロックや古典派の時代には作曲者自らほかの楽器のために転用した実例が山ほどあります。だから、ホルン協奏曲をチェロで弾いても何の問題もない。間違いない!
 
<曲名>
ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447(モーツァルト)
~Alexander Sandor Fischerによるチェロ協奏曲版
 
<演奏>
ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)
マクシミリアン・ピルツァー指揮キャッスル・ヒル祝祭管弦楽団
【1952年頃録音、米PERIODモノラル原盤/米EVEREST 3257 擬似ステレオ(LP)】
第1楽章 http://www.youtube.com/watch?v=5hjlStzfBZU (9分32秒)
第2楽章~第3楽章 http://www.youtube.com/watch?v=FrMPj054hEA (9分45秒)
The Mozart Concerto K.477 is the well loved Horn Concerto No.3 in E flat major transcribed for cello by the composer-conductor, Alexander Sandor Fischer. It was intended originally for Casals but was never played by the celebrated Spanish cellist because the war intervened and threw his plans into confusion. (米EVEREST盤の解説より)
モーツァルトはピアノやヴァイオリンをはじめ、様々な楽器のために多数の協奏曲やソナタを書きましたが、チェロの独奏曲は1つもありません。そこで、フィッシャーという人はカザルスのためにホルン協奏曲をチェロ協奏曲に編曲しました。同じようなことを考える人はほかにもいるもので、名指揮者ジョージ・セルはフォイアマンのためにフルート協奏曲第2番K314をチェロ協奏曲に編曲しています(→ http://www.youtube.com/watch?v=KCh8fTtc_J4)。
 
フルート協奏曲第2番もモーツァルト自身によるオーボエ協奏曲からの編曲。ジョージ・セル編曲のチェロ協奏曲については野口秀夫さんの「神戸モーツァルト研究会 第209回例会予稿」参照(→ http://www.hi-net.zaq.ne.jp/buasg502/209.pdf)。
 
近年、知名度を上げているセル編曲のK314に比べるとフィッシャー編曲のK447はほとんど話題になりませんが、なんと!若きシュタルケルが録音しています。ぼくはSPECTRUMによる世界初復刻CD(2009年発売)をカタログで見つけてずっと気になっていたのですが、その後、運よくタダ同然の価格で入手し、さらに先日、某中古店の300円コーナーで米EVERESTのLPを発見。長年探してもまったく出会わないものがある一方、向こうから寄ってくるものもある。(つづく)
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鳥の歌(カタルーニャ民謡/カザルス編曲)

彼女がつくってくれる手料理は男にとって最高の美味だが、彼女の手料理をそうとは知らせずに彼に食べさせても、たぶん彼は感動しない。往々にして、人の心を動かすのは特別なプロセスである。
 
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<曲名>
鳥の歌(カタルーニャ民謡/カザルス編曲)

<演奏>
パブロ・カザルス(チェロ&指揮)、プラド音楽祭管弦楽団【1950年録音、SONY】
http://www.amazon.com/dp/B000002AUI/ref=cm_sw_su_dp
http://www.youtube.com/watch?v=mAq50UR5PpA (3分11秒)
 
スペインのカタルーニャ地方を故郷とするカザルス(1876~1973)は、スペイン内戦のあと、フランコ政権が誕生したとき、「自由な政府ができるまで祖国には帰らない」と宣言し、1939年に南フランスのプラドに移り、結局、生涯帰国することはなかったそうです。フランコ政権やそれを容認する国に対する抗議のために公開演奏をやめていたカザルスを心ある音楽家たちが説得し、バッハ没後200年に当たる1950年に開催したのがプラド音楽祭。このとき、カザルスはすでに70歳代半ば。
 
それから20年以上も過ぎた1971年10月24日、「国連デー」のコンサートにおけるカザルスのスピーチと演奏は世界中に放送されたたいへん有名なものです。このとき、94歳。
 
カザルスのスピーチと演奏
http://www.youtube.com/watch?v=frizJZee0dE (5分47秒)
I am a Catalan. (私はカタルーニャ人です)
Today, a province of Spain. (今日、スペインの州の一つとなっているカタルーニャです)
But what has been Catalonia?Catalonia has been the greatest nation in the world.
(カタルーニャはどうなったでしょう?カタルーニャは世界で最も偉大な国となりました)
And I will play a short piece of the Catalonian folklore. (カタルーニャの短い民謡を演奏します)
This piece is called “The Song of the Birds”. (「鳥の歌」という曲です)
The birds in the sky, in the space, sing, (空高く舞い上がる鳥たちはこのように歌います…)
“peace!peace!peace!”. (平和!平和!平和!)
And the music is a music that Bach and Beethoven
and all the greats would have loved and admired.
(それはバッハやベートーヴェン、ほかのあらゆる偉大な音楽家も愛し、讃えたであろう音楽です)
It is so beautiful, and it is also the soul of my country, Catalonia.
(美しく、私の祖国カタルーニャの魂とも言うべき音楽です)
この動画ではスピーチの一部がカットされています。上の対訳は動画に含まれる部分のみ。
 
スピーチにつづくカザルスの独奏(3分09秒~)は、もはやかなり怪しく、何も知らない人が聴いたら素人の発表会と思うかもしれない。ぼくがこのチェロに単なる音楽を超えて心に迫る何かを感じるのは、たぶんカザルスという人物の存在感と無縁でなく、音楽から受ける感銘に音楽以外の要素が入ることを否定しない。もしこの老人がカザルスのソックリさんだったら?なんて、あり得ない想像をしてみる、疑心暗鬼な今日この頃
 
【参考】朝日新聞 be on Saturday「ことばの旅人」(2004年10月2日付)

万霊節の連祷(シューベルト)

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広い世の中ですが、人と人は意外なところでつながっているものです。ぼくの高校の同級生K君の大学院時代の先輩Nさんの高校時代の同級生の奥様が某ブロ友さんの元カノさんであるということは、ぼくと某ブロ友さんのみ知ることです(実話)。
 
<曲名>
万霊節の連祷 D343(シューベルト)
 
<演奏>
ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)、Vernon de Tar(オルガン)
http://www.youtube.com/watch?v=X_vM4TRsvyc (4分47秒)
 
ウィリアム・プリムローズ(1904~1982)はNBC交響楽団の首席奏者を務めた名ヴィオラ奏者で、ハイフェッツとの共演でも知られています。プリムローズ自身の編曲によるシューベルトの歌曲「万霊節の連祷」(Litanei)はぼくが最も好きなプリムローズの演奏。現代人の感覚では、シューベルトの歌曲としてはやや濃厚な表情ですが、深々としたヴィオラの音にぼくはただ黙って聴くことしかできません。
 
そんな世界的ヴィオラ奏者と、ぼくの父は一緒に食事したことがあるという!父の恩師だったDr.Heimがプリムローズと親交があり、プリムローズは晩年に東京芸大や桐朋で教えるために何度か来日していたので、おそらくその機会に若き音楽好きの父(なんちゃってチェロ弾き)が同席させてもらったのでしょう。つまり、ぼくの父の先生の友人がプリムローズ(で、そのまた友人がハイフェッツ)。Dr.Heimが亡くなったとき、ぼくはまだ幼かったけど、葬儀に参列した記憶がかすかに残っています。
 
世の中は狭い。

まるでN響アワー? 聖母の御子(カタロニア民謡)

<曲名>
聖母の御子(カタロニア民謡)
El Noi de la Mare
 
この曲はかつて「N響アワー」のエンディング・テーマに使用されていたので、日本中の大多数の人が聴いたことがあると思います(たぶん)。ぼくはずっと何の曲か知らなかったのですが、つい先日、取引先主催のパーティーに出席したら、ギターのソロでこの曲が演奏され、ようやく曲名を知ったのでありました。
 
<演奏>
アンドレス・セゴビア(ギター)
 
さて、ゆうちゃんのところにサンタクロースは来るのかな。(本当に何も聞いてない)

ギター五重奏曲第4番「ファンダンゴ」(ボッケリーニ)

 ハイドン(1732~1809)とモーツァルト(1756~1791)は親子ほど歳が離れていましたが、二人は深い友情で結ばれていました。また、ベートーヴェン(1770~1827)はハイドンに師事し、モーツァルトにピアノを聴いてもらったこともありました。
 
 一方、ボッケリーニ(1743~1805)は同時代の有名作曲家同士のエピソードからはカヤの外でまったく影が薄い。イタリアに生まれて後半生はスペインで過ごし、ウィーンの音楽界とはあんまり関わりがなかったのかも。「メヌエット」だけ飛び抜けて有名。てゆーか、これ以外に有名曲はないと言っても過言ではない。
 
 そんな異色の人物が生み出す音楽は、やっぱり異色。
 
<曲名>
ギター五重奏曲第4番ニ長調「ファンダンゴ」G448(ボッケリーニ) 
第1楽章 Pastorale
第2楽章 Allegro maestoso
第3楽章 Grave assai
第4楽章 Fandango
 
 ギター5人ではなく、ギターと弦楽四重奏のための五重奏曲です、念のため。でも、最初からこの編成のために書かれたのでなく、ギターが得意だったというある侯爵の依頼を受けて、旧作の弦楽五重奏曲などから編曲したらしい。ちなみに、弦楽五重奏という編成は弦楽四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1)にヴィオラを1つ加える場合が多いですが、ボッケリーニは違います。ヴィオラではなく、チェロが2本になるのです!チェロの名手でもあったボッケリーニにとっては、それが自然な発想だったのかも。あの(唯一?)有名な「メヌエット」も、原曲は弦楽五重奏曲です。
 
 この五重奏曲は最終楽章に置かれた「ファンダンゴ」のためにその副題が付いていますが、第1楽章はロココ趣味100%、最高のディヴェルティメント。陽気な第2楽章もその延長線上。やがて宴もたけなわ、イイ気分で酔っぱらいウトウト眠りかけていると(第3楽章)、急にトントンと肩を叩いて起こされ、スペイン舞曲が始まる!
 
<演奏>
Dejan Ivanovich & Quarteto Lyra【2007年(Live)】
 
 動画は第3楽章と第4楽章のみ。短い第3楽章(0分00秒~)につづいて、第4楽章(1分28秒~)は血も騒ぐファンダンゴ。原曲は弦楽五重奏曲ですが、このファンダンゴは誰が何と言おうとギターでなければならぬ!
 
 でも、ギターだけが主役ではありません。チェロにも見せ場があり(3分15秒~)、やがて弓を置き、なんと打楽器と化す。(5分03秒~)
 
 これが古典派か!?
 
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(Loree愛聴盤)
ペペ・ロメロ(ギター)、Academy of St.Martin in the Fields Chamber Ensemble
【1978年録音、PHILIPS】
(試聴できます)

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Author:violin20090809
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