2009/12/30

1晩1000円で見放題となるホテルの有料放送と言えばエッチ番組が定番ですが(?)、ふつうの(エッチじゃない)映画もちゃんと用意されています。昨夜泊まったホテルでは、ディズニー映画「ファンタジア」を初めて見ました。
「ファンタジア」は1940年公開(日本公開は1955年)。バッハの「トッカータとフーガ」、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、デュカスの「魔法使いの弟子」等の管弦楽曲に合わせてウォルト・ディズニーが独創的なアニメーションを製作。2000年には選曲と映像を一新して「ファンタジア2000」が製作されました。昨夜ホテルで見たのは1940年版。古い映画ですが、当時としては異例のカラー映像、ステレオ音声です。
<曲名>
交響詩「魔法使いの弟子」(デュカス)
https://www.youtube.com/watch?v=mHTnJNGvQcA (10分35秒)
<あらすじ>
ある日、魔法使いの先生に弟子入りした子が水汲みの雑用を言いつけられています。先生が出かけると、弟子は部屋にあったホウキに魔法をかけて自分の身代わりに仕事をさせることを思いつきます。見よう見まねで魔法をかけてみると、なんと大成功。ホウキ君はせっせと水汲みをしてくれます。これはラクチン!
ところが、水汲みはもう十分だと言うのにホウキ君はいつまでも止まりません。弟子は魔法の止め方を知らなかったのです。どうしようもなくなって、鉈でホウキ君を切り刻みますが、切られた残骸の一つ一つが分身のごとく再生して水汲みをつづけるものだから、またたく間に洪水のようになってしまいます。万事休すというところで先生が帰ってきて、たちまち魔法で元に戻し、一件落着(?)
「魔法使いの弟子」の主役はミッキーです。「ファンタジア」で唯一、ミッキーが登場します。なんか、今のミッキーよりかわいい。セリフがまったく入らないので、字幕なしでも問題ありません。演奏は1940年版がストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団(ストコフスキー本人も登場)、2000年版はレヴァイン指揮シカゴ交響楽団。なお、両版は「魔法使いの弟子」以外は選曲もアニメーションもまったく違う内容です。
10年前に某市民オケで無謀にも全員初見でこの曲を試奏したことがありましたが、意外と(?)難しく、途中で崩壊してそれきりになったことは言うまでもありません。
作曲者デュカス(1865~1935)は「ファンタジア」の製作が始まった1937年頃にはすでに他界していたので、まさか自分の音楽にアニメーションが付くなんて思わなかったでしょう。しかし、まるでディズニーの映像に合わせてデュカスがあとから作曲したかと錯覚するほど見事な作品に仕上がっています。ディズニーの豊かなイマジネーションにも脱帽ですが、そもそもデュカスの卓越した描写がなかったらこの映画も着想されなかったかもしれません。
デュカスとディズニー、まさに天才の仕事。