ヨーロッパ賛歌(ベートーヴェン/カラヤン編曲)

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 クラシックブログは年末最後の記事で「第9」を取り上げることが暗黙の掟になっています(ウソ)。

 しかし、「第9」は長い!もう新年まで残り1時間を切っていますから、今から聴いても間に合いません。そんな貴方(誰?)におすすめしたいのが、この曲。

<曲名>
ヨーロッパ賛歌(ベートーヴェン/カラヤン編曲)

 実はこれ、「第9」の第4楽章の「歓喜の歌」をカラヤンがオーケストラ用に編曲したものなのです。合唱は入りません。欧州評議会がカラヤンに編曲を依頼し、「ヨーロッパ全体を象徴する音楽」として採択されたのだそうです。(詳しい経緯はWiki「欧州の歌」参照)

<演奏>
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団【1972年録音、DG】
http://tower.jp/item/2013152/≪ヨーロッパ国歌集≫ザ・アンセム・アルバム
(試聴できます)

 カラヤン指揮ベルリン・フィル(!)の≪ヨーロッパ国歌集≫、18ヶ国19曲の国歌に先立って収録されているのが「ヨーロッパ賛歌」で、この曲の演奏時間は約2分20秒。

 年越しのカップそばにお湯を注いで出来上がるのを待つ間にも聴けてしまう、忙しい現代人にはピッタリの1曲。良いお年をお迎えください。

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魔法使いの弟子(デュカス) ディズニー映画「ファンタジア」より

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1晩1000円で見放題となるホテルの有料放送と言えばエッチ番組が定番ですが(?)、ふつうの(エッチじゃない)映画もちゃんと用意されています。昨夜泊まったホテルでは、ディズニー映画「ファンタジア」を初めて見ました。

「ファンタジア」は1940年公開(日本公開は1955年)。バッハの「トッカータとフーガ」、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、デュカスの「魔法使いの弟子」等の管弦楽曲に合わせてウォルト・ディズニーが独創的なアニメーションを製作。2000年には選曲と映像を一新して「ファンタジア2000」が製作されました。昨夜ホテルで見たのは1940年版。古い映画ですが、当時としては異例のカラー映像、ステレオ音声です。

<曲名>
交響詩「魔法使いの弟子」(デュカス)
https://www.youtube.com/watch?v=mHTnJNGvQcA (10分35秒)

<あらすじ>
ある日、魔法使いの先生に弟子入りした子が水汲みの雑用を言いつけられています。先生が出かけると、弟子は部屋にあったホウキに魔法をかけて自分の身代わりに仕事をさせることを思いつきます。見よう見まねで魔法をかけてみると、なんと大成功。ホウキ君はせっせと水汲みをしてくれます。これはラクチン!

ところが、水汲みはもう十分だと言うのにホウキ君はいつまでも止まりません。弟子は魔法の止め方を知らなかったのです。どうしようもなくなって、鉈でホウキ君を切り刻みますが、切られた残骸の一つ一つが分身のごとく再生して水汲みをつづけるものだから、またたく間に洪水のようになってしまいます。万事休すというところで先生が帰ってきて、たちまち魔法で元に戻し、一件落着(?)

「魔法使いの弟子」の主役はミッキーです。「ファンタジア」で唯一、ミッキーが登場します。なんか、今のミッキーよりかわいい。セリフがまったく入らないので、字幕なしでも問題ありません。演奏は1940年版がストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団(ストコフスキー本人も登場)、2000年版はレヴァイン指揮シカゴ交響楽団。なお、両版は「魔法使いの弟子」以外は選曲もアニメーションもまったく違う内容です。

10年前に某市民オケで無謀にも全員初見でこの曲を試奏したことがありましたが、意外と(?)難しく、途中で崩壊してそれきりになったことは言うまでもありません。

作曲者デュカス(1865~1935)は「ファンタジア」の製作が始まった1937年頃にはすでに他界していたので、まさか自分の音楽にアニメーションが付くなんて思わなかったでしょう。しかし、まるでディズニーの映像に合わせてデュカスがあとから作曲したかと錯覚するほど見事な作品に仕上がっています。ディズニーの豊かなイマジネーションにも脱帽ですが、そもそもデュカスの卓越した描写がなかったらこの映画も着想されなかったかもしれません。

デュカスとディズニー、まさに天才の仕事。

チャップリンの映画音楽(スタンリー・ブラック編曲)

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 ある世界的なソリストが協奏曲を弾くコンサートを聴きに行った。ところが、ステージに登場したのは彼ひとり。オーケストラの姿はどこにもない。しかしコンサートは始まる。彼はなんと、オーケストラのカラオケ録音(CD)をバックにして超絶技巧を披露。聴衆は拍手喝采。

 これはあり得ない。

 ぼくはどうもフィギュアスケートを素直に楽しむことができません。でも妻が夢中なので、ぼくも(仕方なく)たまに見ます。浅田真央ちゃんは今シーズンはスランプのようですが、昨シーズンの「仮面舞踏会」のラスト1分間は圧巻でした。今シーズンの「鐘」はストコフスキー編曲版でしょうか。「あの重々しい音楽は彼女からエネルギーを吸い取っている」というコメントが某紙に出ていましたが、なるほどそんなふうに見えます。彼女にはもっと夢のある音楽が似合います。

 一方、男子の織田信成選手の今シーズンは「チャップリン・メドレー」。これは選曲勝ち!チャップリンの映画はほとんど見たことないですが、音楽は大好きです。

<アルバムタイトル>
“A TRIBUTE TO Charlie Chaplin”

<収録曲>
1~10)省略
11)「モダン・タイムス」~スマイル
12)「チャップリン・パレード」~テキサス
13)「街の灯」~ラ・ヴィオレテラ
14)「キッド」~朝の散歩
15)「チャップリンの独裁者」~メドレー(ナポリ行進曲~流れ星~ブルヴァーディエ)
16)「ライムライト」~テリーのテーマ
17)「モダン・タイムス」~ティティナ
18)「ニューヨークの王様」~マンドリン・セレナード
19)「チャップリン・パレード」~グリーン・ランターン・ラグ
20)「チャップリンの伯爵夫人」~愛のセレナード
(織田選手の使用曲は当盤の収録順では16→14→18→17)

<演奏>
スタンリー・ブラック指揮ロンドン・フェスティバル・オーケストラ【1972年録音、DECCA原盤】
http://www.amazon.com/dp/B00082MXOQ
http://tower.jp/item/1778294/Dimensions-in-Sound-A-Tribute-to-Charlie-Chaplin
(試聴できます)

 スタンリー・ブラック(1913~2002)はイギリスの指揮者。いわゆるセミ・クラシックや映画音楽を主なレパートリーとしていた人で、録音も多く、この世界ではメジャーな存在です(たぶん)。でも、音楽評論家の出谷啓氏の著書「クラシックこの演奏家を聴け!」(音楽之友社、1996年)では、アンドレ・コステラネッツ(1901~1980)やカーメン・ドラゴン(1914~1984)は愛情たっぷりに紹介されているのに、スタンリー・ブラックはなぜか登場しないのがちょっと残念。

 率直に言うと、ロンドン・フェスティバル・オーケストラなる団体はボストン・ポップスやシンシナティ・ポップスのような立派な交響楽団ではありませんが、リチャード・クレイダーマンやマントヴァーニの楽団ほど軽量ではなく、なかなか健闘しています。何より、スタンリー・ブラックの編曲と指揮のセンスがチャップリンの幸せいっぱいの音楽とマッチしています。

 織田選手が使用していたのは、まさにこのスタンリー・ブラックの演奏。こんな楽しい演奏なら、きっとチャップリンも「録音に合わせて踊るなんて…」云々と野暮なことは言わないですよね。

 英Vocalionによる復刻盤は、スタンリー・ブラックの2枚のレコードをCD1枚に収録したもので、前半(1~10)が≪DIMENSIONS IN SOUND≫(1968年録音)、後半(11~20)が上記の≪A TRIBUTE TO Charlie Chaplin≫となっています。

 前半の1曲目(つまり当盤の1曲目)に収録されているショパンの「幻想即興曲」はスタンリー・ブラック編曲によるオーケストラ版。これはかつて荒川静香さんが使用したのと同じ演奏だそうです。激烈かつロマンチックな編曲は良い意味でB級を極めています。カーメン・キャバレロの「愛情物語」(原曲はショパンの夜想曲第2番)にしびれる方なら十分許容できるでしょう。今朝、わが家でこの演奏を聴いていたら、ゆうちゃんが「なんかフィギュアの音楽みたいだね」と一言。ゆうちゃんは荒川静香さんのこのプログラムは年齢的に覚えていないはず。でも、なるほど、そんなイメージです。

 フィギュア・ファンは必聴の1枚かも?

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