まるでラフマニノフ? 練習曲集(ブルーメンフェルト)

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「まるでラフマニノフ」シリーズ、第3回。
 
また~??極甘センチメンタル路線はもういいよ~
…なんて、読む前・聴く前から辟易している皆さん!今回は本気です。(←いつも本気)
 
<曲名>
練習曲集(ブルーメンフェルト)
 
ブルーメンフェルト(1863~1931)は、19世紀ロシアのピアニスト・作曲家・指揮者・教育者。作曲の師匠はリムスキー=コルサコフ。まるでアレンスキーみたいな経歴。アレンスキー(1861~1906)より2歳年下、ラフマニノフ(1873~1943)よりは10歳年上。つまり、ほぼ同時代人。
 
現在の知名度の低さはアレンスキーの比ではない。かろうじて、20世紀を代表する某・名ピアニストの師匠として、そのプロフィールの中に名前を残しています。
 
その名は、ウラディミール・ホロヴィッツ。彼は、なぜ師匠の作品を弾かなかったんだろう。魅力がなかった?それはとても信じられない。ブルーメンフェルトの音楽がどんなものか、CDの裏ジャケに記載された一文が端的に言い表しています。
The Etudes of the Russian virtuoso pianist Felix Blumenfeld match his own brilliance as a performer,continuing the style of Chopin into the age of Rachmaninov.
全18曲の中からどれか1曲だけ選ぶなんて、ぼくには無理。それに結局、1曲でも聴いてしまった人は1曲ではやめられないのです。なんて素敵な作品たち!
 
いや~ん、せつない!!
 
<演奏>
Daniel Blumenthal(ピアノ)【1993年録音、MARCO POLO】
○練習曲変ニ長調 作品3-1
○練習曲「海にて」 作品14
○演奏会用練習曲嬰ヘ短調 作品24
○左手のための練習曲変イ長調 作品36
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まるでラフマニノフ? 2台のピアノのための組曲第1番(アレンスキー)

<曲名>
2台のピアノのための組曲第1番 作品15(アレンスキー)
 
あ~ん、せつない!!(n先生、ゴメンナサイ!ぼくも言ってみたかった
 
「まるでラフマニノフ」シリーズ、第2回。アレンスキー(1861~1906)は19世紀ロシアのピアニスト・作曲家・教育者です。作曲の師匠はリムスキー=コルサコフ。でも、その師匠は次のように語ったとか。
青年時代のアレンスキーは私の影響から逃れようとはしなかった。その後、チャイコフスキーに影響されるようになった。あいつは早晩忘れられるだろう。(リムスキー=コルサコフ)
しかし、こんなロマンチックな音楽が忘れられていいだろうか。いや、よくない(←反語)。メロメロのセンチメンタリズムは、ラフマニノフと同じテンペラメントを感じさせないこともない(←二重否定)。
 
でも、ラフマニノフの経歴には「モスクワ音楽院でアレンスキーに和声を学ぶ。」とある。ということは、アレンスキーがラフマニノフに似ているのではなく、ラフマニノフこそアレンスキーの影響を受けているのかも!?
 
○第1楽章(Romance)
<演奏>
Polina Leschenko&Mauricio Vallina(ピアノ)
そのまま、第2楽章(3分13秒~)につづく。
 
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<参考CD>
Daniel Blumenthal&Robert Groslot(ピアノ)【1993年録音、MARCO POLO】
 
演奏は、Polina Leschenko&Mauricio Vallinaのライヴ映像が思い入れたっぷりで陶酔的。音響的にも美しい。恋をしていない人は、恋をしたくなる音楽。恋をしている人は…どうなるかな

白鳥(サン=サーンス/ゴドフスキー編曲)

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先週発売されたばかりの国内盤新譜を店頭の試聴コーナーで聴いて、同じ曲ばかり10回くらい聴いてしまった。
 
<アルバムタイトル>
イスラメイ(10月20日発売)
 
長富彩ちゃんのデビューアルバム。第一に、1912年製のスタインウェイで当時のヴィルトゥオーゾ・ピースを弾くというコンセプトがいい。冒頭からしてチャイコフスキーの「花のワルツ」をグレインジャーが編曲したパラフレーズ(→ http://www.youtube.com/watch?v=YaJ6quN7V4E )。こんな曲があったのか。初めて聴いた。第二に、楽器の音色がいい。暖かくて胸にしみ込んでくる。第三に、かわいい。と言いたいところだが、1986年生まれ。年下すぎるな。ちなみに、インタビューの際の写真(下)が一番かわいい。間違いない。
 
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「花のワルツ」を聴くと、彩ちゃんはこのヴィンテージ・ピアノを無理なく鳴らし、なかなか堂々たる演奏を聴かせてくれる。難曲を弾きこなすテクニックにも不足ない。でも、言いたいこともある。ぼくの好みとしては、もっとテンポの伸縮があってもいいと思うし、強弱の振幅があってもいい。この辺りの表現はちょっと常識的だ。特に、息をのむような最弱音はぜひほしい。
 
しかし、2曲目の「白鳥」は、素直に美しいと思う。「もう一度聴きたい」と思う音楽はそんなに多くない。2日間通って10回くらい聴いた。(←買えよ。)
 
<曲名>
白鳥(サン=サーンス/ゴドフスキー編曲)
 
さすがゴドフスキー、世紀のヴィルトゥオーゾは考えることが違う。ショパンの「別れの曲」を左手だけで弾いたり、そして「白鳥」には素敵な対旋律を付ける。そういえば、ゴドフスキーはバッハの無伴奏チェロ組曲のピアノ編曲にも対旋律をつけている。第2番(BWV1008)なんて、まるでイギリス組曲だ。
 
しかし、「白鳥」の対旋律は、自称ロマンチスト(ぼく)が想像するような“天女の羽衣”では決してない。チャイコフスキーの「白鳥の湖」で喩えると、サン=サーンスの原曲の白鳥が清純なオデット姫であるのに対し、ゴドフスキーの対旋律は黒鳥オディールの羽だ。妖しくも、本性を隠した魔性の女。だんだん恋に落ちながら、頭の片隅ではアブナイと気づいている、男なら誰でも経験のある(←間違いない)、あの感覚。
 
<演奏>
長富 彩(ピアノ)【2009~2010年録音、Columbia】
http://tower.jp/item/2773742/イスラメイ-100年の時を経て甦る、ピアノの黄金時代
※試聴できます。
 
「白鳥」はシプリアン・カツァリスのCDがうちにあるけど、2回連続で聴こうとは思わなかった。彩ちゃんの「白鳥」は楽器の音色の美しさもさることながら、対旋律が遠慮せず、主旋律(原曲ではチェロが弾く)にしっかり絡んでくるところがいい。健康的なオディールだけど、それもいい。しばらく通うことになりそうだ。(←いいかげん、買えよ)

「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(マスカーニ)

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ぼくの妹は数年前に結婚し、現在は二児の母です。旦那はイケメンかつ長身の好青年(男の敵
)。妹は音大出身ですが、クラシックにはそんなに思い入れがなさそうなので、チャペルでおこなわれたささやかな結婚式の音楽に妹がクラシックの生演奏を選んだことは意外でした。
 
そして、新婦と父が入場するとき。オルガン奏者が厳かに弾き始めたのが、この曲。
 
<曲名>
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(マスカーニ)
(あらすじ)
T君はかつてローラと付き合っていましたが、遠距離となっている間にローラはA君と結婚してしまいます。T君、大ショック。傷心のT君は可愛らしい村娘のサっちゃんと付き合うことにします。とりあえず、いい感じの二人
<演奏>
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団【1967年録音、DG】
 
耳元でささやくようなピアニッシモ。霧の向こう側から聴こえてくるオーボエ(1分00秒~)。そしてヴァイオリンとオーボエがお互いに求め合い、一つに溶けていく(1分12秒~)。かなり濃厚な味つけであるにもかかわらず、肌ざわりが実にデリケート。後半(1分29秒~)では量感のある弦楽にオルガンも加わって、まったく圧倒的な美しさとしか言いようがない。森永製菓のチョコレート菓子「小枝」のことを、ずっと「こわざ」だと思っていたのに、ようやく「こえだ」と言えたときの、あの感動。
(つづき)
するとそこに、今や人妻となったローラが現われ、T君に接近します。元カノ(ローラ)と再会したT君はサっちゃんという彼女がいるのにローラとも付き合い始めます。サっちゃん、大ショック。サっちゃんはT君から冷たくされて、涙が止まりません。そこに通りかかった、何も知らないA君(ローラの旦那)にサッちゃんが話しかけます。「あっ、A君!あのね、私の彼、あなたの奥さんにとられちゃったの…。」
A君、大激怒!!サッちゃんは、怒り狂うA君を見て我に返ります。「私、とんでもないこと言っちゃったかも…。T君、殺されちゃうよ…。」
が、あとの祭り。二人は決闘することになり、T君はA君に敗れて絶命。
てゆーか、妹よ。この曲を結婚式の音楽に選ぶとは、きっと二人を巡る様々な過去を回想してのことに違いない。いったい、どんな修羅場があったのか。
 
5年たった今も、聞けずにいます

組曲「ミシシッピ」(グローフェ)

え~。実は、今日(10月18日)は結婚記念日であります。だからと言って、特に何か言葉を交わすこともない夫婦であります
 
12年前の今日、一族郎党と友人を迎えてささやかな結婚式と披露宴を執り行いました。ぼくは結婚式はともかく披露宴のような虚飾に満ちたイベントは大嫌いで、本当はやりたくなかった。これが原因で一時は妻が結婚やめると言い出すもんで、そこまで言うなら仕方ないと渋々付き合うことになったのですが、あのとき別の選択をしていたら、今頃は何をしていただろう。
 
さて、意外と頭の切り替えが早い男(ぼく)が、披露宴をやることになった瞬間から当然に考え始めたのは音楽のことであります。各場面でどんな曲を使うか。こんな腕の見せどころは人生にそう何度もない。
 
というわけで、当時24歳のLoreeセレクション、当日使用音源を一挙公開
 
≪第1部≫ 和装
(1)新郎新婦の入場
劇音楽「真夏の夜の夢」~結婚行進曲(メンデルスゾーン)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
 
(2)ウェディング・ケーキ入刀(※入刀直後に流す)
組曲「ミシシッピ」~Mardi Gras(グローフェ)
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
 
(3)歓談中
ワルツ「女学生」(ワルトトイフェル)
ケルン・サロン・オーケストラ
 
(4)余興
Loree妹(ピアノ独奏)
 
(5)新郎新婦退場
バレエ「コッペリア」~チャルダッシュ(ドリーブ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 
≪第2部≫ 洋装
(6)新郎新婦入場
ワルツ「南国のバラ」(ヨハン・シュトラウス2世)
ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 
(7)新郎新婦の余興
Loree(オーボエ)、Loree妻(クラリネット)、Loree妻の友人(ピアノ)
 
(8)新郎新婦退場
組曲「ミシシッピ」~Huckleberry Finn(グローフェ)
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
 
≪第3部≫ 洋装
(9)新郎新婦入場~キャンドル・サービス
バレエ「シルフィード」~夜想曲(ショパン/ダグラス編曲)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 
(つづけて)
交響曲第2番~第3楽章(ラフマニノフ)
ウラディミール・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
 
(10)新婦 母への手紙
トロイメライ(シューマン/ヨゼフ・シュトラウス編曲)
アルフレッド・ヴァルター指揮スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団
 
(11)新郎新婦退場
バレエ「眠りの森の美女」~ワルツ(チャイコフスキー)
ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 
(12)新郎新婦退場後
カノン(パッヘルベル)
ジャン・フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団
 
※(5)(6)の2曲は、妻の選曲だったかも?
 
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さて、ようやく本題。今回は(2)(8)で挙げたグローフェの組曲「ミシシッピ」です。
 
<曲名>
組曲「ミシシッピ」より(グローフェ)
第1曲 Father Of The Waters
第2曲 Huckleberry Finn
第3曲 Old Creole Days
第4曲 Mardi Gras
 
ファーディ・グローフェ(1892~1972)。
 
おそらく、彼の最も有名な仕事は、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」のオーケストレーションでしょう。クラリネットのグリッサンドで開始するあの名スコアはガーシュウィン自身のアレンジではないのです。では、作曲家としての最も有名な仕事は?それはおそらく、組曲「グランド・キャニオン」。ぼくと同年代の方であれば、中学校の音楽の授業でこの組曲の第3曲「山道を行く」を聴いたでしょう。(ちなみに、教科書では「大峡谷」という曲名になっていましたが、アレは直訳していいのか?)
 
そこで、組曲「ミシシッピ」。
 
知名度では「グランド・キャニオン」に及びませんが、ある一定年齢以上の日本人の8~9割の方が耳にしたことがあるはず(当社推定)。かの有名な伝説のクイズ番組「アメリカ横断ウルト●クイズ」でこの組曲からの2曲(Huckleberry Finn、Mardi Gras)が使用されたことは、これまた知る人ぞ知る伝説であります。
 
ちなみに、最近は小学校の音楽鑑賞曲に“Huckleberry Finn”が選ばれています。つまり、ある一定年齢以下の日本人にとっては「ミシシッピ」がグローフェの代表曲というわけです。「ミシシッピ」が名実ともにグローフェの代名詞となる日も近い?
 
<演奏>
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィル【1958年録音(ステレオ)、SONY】
 
なんといかにもアメリカ的なサウンド!映画音楽的ゴージャズ路線、男の色気が香る弦楽セクション、パワフルでノリのいい金管セクション、粒立ちよくイキのいい木管セクション。これはベートーヴェンじゃないのだ。こうでなくては!実に素晴らしい。通俗名曲専門(?)の名指揮者コステラネッツも、少し速めのテンポでこのヤンキー・オーケストラを痛快にリードする。
 
どうです、聴いたことあるでしょう?皆さんだったら披露宴でどんな曲を選びますか?

プロフィール

violin20090809

Author:violin20090809
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