え~。実は、今日(10月18日)は結婚記念日であります。だからと言って、特に何か言葉を交わすこともない夫婦であります

12年前の今日、一族郎党と友人を迎えてささやかな結婚式と披露宴を執り行いました。ぼくは結婚式はともかく披露宴のような虚飾に満ちたイベントは大嫌いで、本当はやりたくなかった。これが原因で一時は妻が結婚やめると言い出すもんで、そこまで言うなら仕方ないと渋々付き合うことになったのですが、あのとき別の選択をしていたら、今頃は何をしていただろう。
さて、意外と頭の切り替えが早い男(ぼく)が、披露宴をやることになった瞬間から当然に考え始めたのは音楽のことであります。各場面でどんな曲を使うか。こんな腕の見せどころは人生にそう何度もない。
というわけで、当時24歳のLoreeセレクション、当日使用音源を一挙公開

≪第1部≫ 和装
(1)新郎新婦の入場
劇音楽「真夏の夜の夢」~結婚行進曲(メンデルスゾーン)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
(2)ウェディング・ケーキ入刀(※入刀直後に流す)
組曲「ミシシッピ」~Mardi Gras(グローフェ)
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
(3)歓談中
ワルツ「女学生」(ワルトトイフェル)
ケルン・サロン・オーケストラ
(4)余興
Loree妹(ピアノ独奏)
(5)新郎新婦退場
バレエ「コッペリア」~チャルダッシュ(ドリーブ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
≪第2部≫ 洋装
(6)新郎新婦入場
ワルツ「南国のバラ」(ヨハン・シュトラウス2世)
ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(7)新郎新婦の余興
Loree(オーボエ)、Loree妻(クラリネット)、Loree妻の友人(ピアノ)
(8)新郎新婦退場
組曲「ミシシッピ」~Huckleberry Finn(グローフェ)
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
≪第3部≫ 洋装
(9)新郎新婦入場~キャンドル・サービス
バレエ「シルフィード」~夜想曲(ショパン/ダグラス編曲)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(つづけて)
交響曲第2番~第3楽章(ラフマニノフ)
ウラディミール・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(10)新婦 母への手紙
トロイメライ(シューマン/ヨゼフ・シュトラウス編曲)
アルフレッド・ヴァルター指揮スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団
(11)新郎新婦退場
バレエ「眠りの森の美女」~ワルツ(チャイコフスキー)
ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
(12)新郎新婦退場後
カノン(パッヘルベル)
ジャン・フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団
※(5)(6)の2曲は、妻の選曲だったかも?
さて、ようやく本題。今回は(2)(8)で挙げたグローフェの組曲「ミシシッピ」です。
<曲名>
組曲「ミシシッピ」より(グローフェ)
第1曲 Father Of The Waters
第2曲 Huckleberry Finn
第3曲 Old Creole Days
第4曲 Mardi Gras
ファーディ・グローフェ(1892~1972)。
おそらく、彼の最も有名な仕事は、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」のオーケストレーションでしょう。クラリネットのグリッサンドで開始するあの名スコアはガーシュウィン自身のアレンジではないのです。では、作曲家としての最も有名な仕事は?それはおそらく、組曲「グランド・キャニオン」。ぼくと同年代の方であれば、中学校の音楽の授業でこの組曲の第3曲「山道を行く」を聴いたでしょう。(ちなみに、教科書では「大峡谷」という曲名になっていましたが、アレは直訳していいのか?)
そこで、組曲「ミシシッピ」。
知名度では「グランド・キャニオン」に及びませんが、ある一定年齢以上の日本人の8~9割の方が耳にしたことがあるはず(当社推定)。かの有名な伝説のクイズ番組「アメリカ横断ウルト●クイズ」でこの組曲からの2曲(Huckleberry Finn、Mardi Gras)が使用されたことは、これまた知る人ぞ知る伝説であります。
ちなみに、最近は小学校の音楽鑑賞曲に“Huckleberry Finn”が選ばれています。つまり、ある一定年齢以下の日本人にとっては「ミシシッピ」がグローフェの代表曲というわけです。「ミシシッピ」が名実ともにグローフェの代名詞となる日も近い?
<演奏>
アンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨーク・フィル【1958年録音(ステレオ)、SONY】
なんといかにもアメリカ的なサウンド!映画音楽的ゴージャズ路線、男の色気が香る弦楽セクション、パワフルでノリのいい金管セクション、粒立ちよくイキのいい木管セクション。これはベートーヴェンじゃないのだ。こうでなくては!実に素晴らしい。通俗名曲専門(?)の名指揮者コステラネッツも、少し速めのテンポでこのヤンキー・オーケストラを痛快にリードする。
どうです、聴いたことあるでしょう?皆さんだったら披露宴でどんな曲を選びますか?