2010/12/31
交響曲第10番(ベートーヴェン)
昨年の大晦日はベートーヴェンの「第9」の「歓喜の歌」をカラヤンが編曲した「ヨーロッパ賛歌」で締めました。昨年が「第9」なら、今年は「第10」しかない!
<曲名>
交響曲第10番変ホ長調~第1楽章(ベートーヴェン)
<演奏>
ウィン・モリス指揮ロンドン交響楽団
http://www.amazon.co.jp/dp/B00178YK14
最初から途中まで https://www.youtube.com/watch?v=x-P7ksDrv9k (10分41秒)
途中から最後まで https://www.youtube.com/watch?v=R9DCw5MxR6I (8分58秒)
ベートーヴェンの「第10」と言ってもブラ1ではありません、念のため。20年以上前からクラシックに関心ある方はご存知かもしれません。1988年にイギリスの音楽学者バリー・クーパーがベートーヴェンのスケッチをもとに果敢にも補筆完成したという、一世一代の大仕事。当時、バリー・クーパーが来日して読売日本交響楽団を指揮した演奏が某民放TVで放映された記憶がかすかにあります。また、ぼくの同級生の証言では、なんとキヨスク(!)でもCD販売されていたらしい。
バリー・クーパーの解説によると、
○ベートーヴェンが1822年から1825年の間に作曲したかなりの数のスケッチは明らかに第10交響曲のために書かれたものである。その証拠は議論の余地がないものである。○1827年、ベートーヴェンが亡くなる8日前に書いた手紙の中には「机の中に新しい交響曲が入っている」とある。○ベートーヴェンの友人カール・ホルツは「ベートーヴェンが第10交響曲の第1楽章全部をピアノで弾いているのを聴いたことがある」と言っている。○最近になって(Loree註:当然、この補筆完成版が初演された1988年以前のこと)確認されたスケッチは明らかに交響曲のための草稿である。その中には、ホルン、弦楽器、木管楽器、ティンパニー、そして第1楽章の終わり等と書かれてあり、そしてその次のページには「新しい交響曲」と書かれている。しかも、それは「第9」以降の曲である。しかし、決定的な証拠は、これらのスケッチの内容とホルツがこの楽章を聴いたときの独特の記述が完全に一致していることである。
このような根拠から、ベートーヴェンが第10交響曲を準備していたことは明らかだそうです。しかし、そのスケッチは非常に断片的で、各断片の中に30小節以上続いた部分はなく、大半はハーモニーが欠けているものであるとのこと。なお、この解説書はカラー含む72ページ、バリー・クーパーの英文解説とその対訳付きですが、問題のスケッチの写真は1枚も登場しない。
途中省略。
この復元はもちろんベートーヴェンが作曲したものと同じレベルのものになりえない。いくつかのところでは彼のほうがもっと想像力を働かせただろう。しかし私の想像に任せるよりも、当時ベートーヴェンの頭の中で何が描かれていたのかを現わすために、なるべくスケッチに忠実であるように努力した。そして、この復元された楽章が、ベートーヴェンの交響曲楽章の中で最も秀れた楽章のひとつになったに違いないという、納得いく印象を与えてくれると信じている。(バリー・クーパー)
なんか、「悲愴」ソナタの第2楽章を思わせないこともなく、「第9」の第3楽章を聴いているような気がしないでもない?
良いお年をお迎えください。