2011/03/26
ハイドン(1732~1809)とモーツァルト(1756~1791)は親子ほど歳が離れていましたが、二人は深い友情で結ばれていました。また、ベートーヴェン(1770~1827)はハイドンに師事し、モーツァルトにピアノを聴いてもらったこともありました。
一方、ボッケリーニ(1743~1805)は同時代の有名作曲家同士のエピソードからはカヤの外でまったく影が薄い。イタリアに生まれて後半生はスペインで過ごし、ウィーンの音楽界とはあんまり関わりがなかったのかも。「メヌエット」だけ飛び抜けて有名。てゆーか、これ以外に有名曲はないと言っても過言ではない。
そんな異色の人物が生み出す音楽は、やっぱり異色。
<曲名>
ギター五重奏曲第4番ニ長調「ファンダンゴ」G448(ボッケリーニ)
第1楽章 Pastorale
第2楽章 Allegro maestoso
第3楽章 Grave assai
第4楽章 Fandango
ギター5人ではなく、ギターと弦楽四重奏のための五重奏曲です、念のため。でも、最初からこの編成のために書かれたのでなく、ギターが得意だったというある侯爵の依頼を受けて、旧作の弦楽五重奏曲などから編曲したらしい。ちなみに、弦楽五重奏という編成は弦楽四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1)にヴィオラを1つ加える場合が多いですが、ボッケリーニは違います。ヴィオラではなく、チェロが2本になるのです!チェロの名手でもあったボッケリーニにとっては、それが自然な発想だったのかも。あの(唯一?)有名な「メヌエット」も、原曲は弦楽五重奏曲です。
この五重奏曲は最終楽章に置かれた「ファンダンゴ」のためにその副題が付いていますが、第1楽章はロココ趣味100%、最高のディヴェルティメント。陽気な第2楽章もその延長線上。やがて宴もたけなわ、イイ気分で酔っぱらいウトウト眠りかけていると(第3楽章)、急にトントンと肩を叩いて起こされ、スペイン舞曲が始まる!
<演奏>
Dejan Ivanovich & Quarteto Lyra【2007年(Live)】
動画は第3楽章と第4楽章のみ。短い第3楽章(0分00秒~)につづいて、第4楽章(1分28秒~)は血も騒ぐファンダンゴ。原曲は弦楽五重奏曲ですが、このファンダンゴは誰が何と言おうとギターでなければならぬ!
でも、ギターだけが主役ではありません。チェロにも見せ場があり(3分15秒~)、やがて弓を置き、なんと打楽器と化す。(5分03秒~)
これが古典派か!?
(Loree愛聴盤)
ペペ・ロメロ(ギター)、Academy of St.Martin in the Fields Chamber Ensemble
【1978年録音、PHILIPS】
(試聴できます)