アダージェット(マーラー)

「CD整理法」、第6回は交響曲(ベートーヴェン以外)です。
 
【その他の交響曲】の内訳
(1)独墺系 ハイドン、モーツァルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス
(2)ロシア系 チャイコフスキー、カリンニコフ、ハチャトゥリヤン
(3)その他 ベルリオーズ(幻想交響曲)、ドヴォルザーク、シベリウス
(以上、各カテゴリー内で作曲者の生年順)
 
聴く曲はだいたい決まっています。10枚以上あるのは、モーツァルトの「ハフナー」と39番と40番、メンデルスゾーンの「スコットランド」、ブラ1、チャイコの5番と「悲愴」、ドヴォルザークの「新世界」だけです。
 
でも、趣味と枚数は比例しません。世評に関係なく「手放したくない」と心から思っている演奏を列挙してみると、モントゥー/北ドイツ放送の39番、ワルター/ニューヨークの39番とブラ2、バルビローリ/ハレ管のドボ7、カイルベルト/バンベルクの来日公演のブラ4、フリッチャイ/ベルリン放送の「悲愴」、ペーター・マークの「スコットランド」(4種類)、サラステ/フィンランド放送のシベ6、準・メルクル/N響の「スコットランド」、等々(以上、指揮者の生年順)。
 
このほか、独墺系ではプフィッツナーの作品46、ロシア系ではアレクサンドル・タニェエフの4番(同じく4番が有名なセルゲイ・タニェエフの叔父)とグレチャニノフの1番もぼく好み。橋本國彦の1番も名曲と主張することを躊躇しませんが、NAXOSの日本人作曲家シリーズは「管弦楽曲」にまとめて扱っています。ちなみに、ブルックナーとマーラーは各10枚くらい。ショスタコも1枚あります。(←小声で)
 
<曲名>
交響曲第5番~アダージェット(マーラー)
 
オーケストラでも、ピアノでも、演奏の現場では「作曲家の意図」に思いを巡らすことがあると思います。それは根拠の希薄な妄想に過ぎない人もいるかもしれませんが、使用楽器や奏法を吟味してその作品が生まれた時代(ピリオド)の演奏の再現を目指す人もいます。そのようなピリオドスタイルによる演奏はバッハやモーツァルトだけでなく、ベートーヴェンの作品でもすでに珍しいものではなくなっていますが、実際、作曲者本人が自作をどのように演奏したのか、真実は歴史の闇の中です。
 
しかし、20世紀に入ると多くの作曲家が自作自演の録音を残しています。例えば、ラフマニノフやガーシュウィン、クライスラーの録音は特によく知られていて、彼らが自作をどのように演奏したのか、録音が伝えています。これらはまさに「作品が生まれた時代の演奏」そのものですが、不思議なことに、ベートーヴェンについて「作曲家の意図」を考えてみる人はいても、ラフマニノフのピアノ協奏曲をラフマニノフ自身が弾いたように弾く人はほとんどいません。
 
指揮者としても高名だったマーラーは自作の交響曲をどのように演奏したのでしょうか。マーラーの自作自演はロールピアノ(自動ピアノ)の記録が4曲残っているだけで、オーケストラを指揮した録音はありません。しかし、マーラーと親交があった指揮者の録音があります。
 
<演奏>
ウィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団【1926年録音】
 
マーラーは自作の4番の指揮を「君(メンゲルベルク)のほうがうまい」と評したそうで、また、5番はメンゲルベルクに献呈されています。つまり、メンゲルベルクのマーラーは「作品が生まれた時代」という意味においてピリオドそのものです。ベートーヴェンをピリオドスタイルで演奏する指揮者は、なぜ、マーラーをメンゲルベルクのように演奏しないのか?
 
というわけで、メンゲルベルクの解釈の再現を試みた現代人による演奏。メンゲルベルクの書き込みがあるスコアを使用し、当時と同じくガット弦を張って演奏しているらしい。
 
<演奏>
ケネス・スロウィック指揮スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズ【1995年録音】
http://www.youtube.com/watch?v=CwtvcVVjjWU (7分37秒)
 
次回のCD整理法は「管弦楽曲」です。
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交響曲第4番(ベートーヴェン)

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「CD整理法」、第5回は交響曲(ベートーヴェン編)です。
 
交響曲は全部で3箱あります。このうち2箱(正確には1.8箱くらい)がベートーヴェンです。でもぼくが聴くのは2~5番と7番の5曲だけで、1番・6番・8番・9番の4曲は自分から進んで聴くことはありません。
 
今は激安BOXが市場に氾濫していて、バラで2~3枚買うなら全集を買ったほうが安いこともありますが、ぼくがベートーヴェンの交響曲のヘビーリスナーになった10年前、2000円台の全集はクリュイタンス、ケーゲル、ブロムシュテット、ジンマン程度でした。そんなわけで、わが家のベートーヴェンも聴きたい曲だけバラで買ったものが多いです。トスカニーニの晩年の全集は1~8番しか持っていないし、クレンペラーのステレオやシェルヘン/ルガノも6番・9番を欠いています。ぼくは全集主義者ではないです。
 
また、古今東西の有名盤を聴き尽くす気もあまりなく、気に入った指揮者を、年代違いの録音も含めて繰り返し聴きます。だから世評高い有名盤でも持っていないものはたくさんあります。思いつくだけでも、ショルティ、ジュリーニ、クーベリック、アバド、バレンボイムは1枚もないです。それと、ここ最近の録音も疎いです。「好きじゃない」と言うより、「他のを聴いているので追いつかない」といった感じです。
 
交響曲 【その1】
○ベートーヴェン(指揮者の生年順)
 
交響曲 【その2】
○ベートーヴェン(指揮者の生年順・つづき)
○その他の交響曲(作曲家の生年順)
 
交響曲 【その3】
○その他の交響曲(作曲家の生年順・つづき)
 
ベートーヴェンは指揮者の生年順に並べています。同じ指揮者で年代違いの録音がある場合はその指揮者の中で録音年代順です。ベートーヴェンの交響曲は「2番+5番」とか「4番+7番」のように2曲収録のCDが多いので、番号順に並べるのは無理です。
 
1枚1枚を詳述することはできないので、世評に関係なく、「手放したくない」と心から思っている演奏を列挙してみます。モントゥー/北ドイツ放送の2番・4番、モントゥー/ロンドン響の2番・4番・5番・7番、ワルター/コロムビアの4番・5番(リハーサル)、ベーム/VPOの1980年6月17日ライヴ(非正規盤)の2番・7番、マタチッチ/N響の1984年の7番、コンヴィチュニー/ゲヴァントハウスの2番・5番、クリュイタンス/BPOのエロイカ、カイルベルト/バンベルクの来日公演のエロイカ、朝比奈/N響の1967年のエロイカ、フリッチャイ/ベルリン放送響のライヴ(非正規盤)の5番、ペーター・マークの2番・4番、ノリントンの2番(新旧とも)、アントニーニ/バーゼル室内管の2番、等々(以上、指揮者の生年順)。
 
 では、今日の1曲。
 
<曲名>
交響曲第4番~第2楽章(ベートーヴェン)【リハーサル】
 
<演奏>
ブルーノ・ワルター指揮コロムビア交響楽団【1958年2月8日録音、SONY】
https://www.youtube.com/watch?v=llo2u_6YC8M (18分28秒)
http://www.allmusic.com/album/release/bruno-walter-rehearses-beethoven-symphonies-nos-4-5-7-9-mr0002647053
 
ぼくは以前カール・ベームをなんとなくワルターの後継者というイメージで捉えていました。モーツァルトとか、田園とか、ブラ2とか看板レパートリーが重なるから?でも今はこの勘違いは完全に解消しました。この二人はまったく違うと確信するきっかけになったのが、このリハーサル(英語)。ワルターは自ら歌いながら弾き方を指示しているので、英検4級(ぼく)でもほとんど支障ありません。
 
ワルターの人間性は第2ヴァイオリンの音型(タラッタ♪)の歌い方(1分43秒~)に滲み出ています。合奏が始まるとワルターは意外と絶対音感がなかったことが発覚。それはともかく、弾かせながら特にこの部分の歌い方を何度も何度も妥協せず直していきます。第1ヴァイオリンの歌心と全体のメリハリあるリズムのコントラストも鮮やかで、ワルターが心の中でどんな音楽を思い描いているかよく伝わってきます。素晴らしいリハーサル!
 
一方のベームの同じ部分では律儀にリズムを刻み、正確だけでなく気品もあるけど温もりは感じない。ベームにはベームの良さがあるけど、ベームは職人であり、ワルターはロマンチストである。そんなことを思ってみたりする。
 
次回は「交響曲(ベートーヴェン以外)」です。

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