2011/12/31
「こうもり」第2幕(ヨハン・シュトラウス2世)~ガラ・パフォーマンス
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィル
【1960年6月録音、DECCA】
<曲名>
喜歌劇「こうもり」(ヨハン・シュトラウス2世)【第2幕のガラ・パフォーマンス】
一昨年はベートーヴェンの「第9」の「歓喜の歌」をカラヤンが編曲した管弦楽版。昨年はベートーヴェンの未完の「第10」。今年の大晦日はヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」で締めます。でも、作曲者のあずかり知らぬガラ・パフォーマンスの場面です。
「こうもり」のガラ・パフォーマンスはオペレッタのストーリーとは直接関係ない「余興」です。バレエにも「ディヴェルティスマン」があり、例えば「くるみ割り人形」で「アラビアの踊り」とか「ロシアの踊り」とか延々とつづきますが、あれは作品の中に最初から設定されている場面です。
一方、「こうもり」は何でも自由に挿入してよいことになっていて(?)、カラヤン指揮のDECCA盤(1960年録音)では総勢11名のオペラ歌手が「踊り明かそう」(マイ・フェア・レディ)とか「サマータイム」とか、30分以上もかけて次々と10曲も披露しているのです!まさに、余興。
<演奏>
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィル【1960年録音、DECCA】
http://www.amazon.co.jp/dp/B000YY66BO
(試聴できます)
1)喜歌劇「メリー・ウィドウ」~ヴィリアの歌(レハール)/レナータ・テバルディ
2)ドミノ(ヴォルフ=フェラーリ)/フェルナンド・コレナ
3)ミュージカル「マイ・フェア・レディ」~踊り明かそう(フレデリック・ロウ)/ビルギット・ニルソン
4)パッショーネ(ヴァレンテ)/マリオ・デル・モナコ
5)バスク地方の子守歌(ラヴィラ)/テレサ・ベルガンサ&フェリックス・ラヴィラ(ピアノ)
6)口づけ(アルディーティ)/ジョーン・サザーランド
7)喜歌劇「微笑みの国」~君はわが心のすべて(レハール)/ユッシ・ビョルリンク
8)歌劇「ポーギーとベス」~サマータイム(ガーシュウィン)/レオンタイン・プライス
9)ミュージカル「アニーよ銃をとれ」~なんでもあなたはできる(バーリン)/ジュリエッタ・シミオナート&エットーレ・バスティアニーニ
10)わが夢の都ウィーン(ジーツィンスキー)/リューバ・ヴェリッチ
そしてカラヤンはこのDECCA録音と同じ年の大晦日、ウィーン国立歌劇場でもガラ・パフォーマンスを展開します。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場
【1960年12月31日録音(Live)、RCA】
<演奏>
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場【1960年12月31日録音(Live)、RCA】
http://www.hmv.co.jp/product/detail/853273
1)辻馬車の歌(Gustav Pick)/エーリッヒ・クンツ
2)オ・ソレ・ミオ(ナポリ民謡)/ジュゼッペ・ディ・ステファノ
3)喜歌劇「微笑みの国」~君はわが心のすべて(レハール)/ジュゼッペ・ディ・ステファノ
この後もバレエが3曲入り、延々と30分以上も余興がつづきます。フランク役のエーリッヒ・クンツが歌う「辻馬車の歌」のシュランメルのような雰囲気も素敵ですが、何と言ってもディ・ステファノ!DECCA盤のガラ・パフォーマンスには登場しないディ・ステファノを連れて来るという人選が心憎い。彼はこの余興だけのために出演しているのです。
そして歌うのが「オ・ソレ・ミオ」。彼のナポリターナはEMIに名盤(1956年録音)があり、そこでも「オ・ソレ・ミオ」を歌っていますが、伴奏のオーケストラがディ・ステファノと張り合って(?)オブリガードで、ときにユニゾンで強奏するもんで、とっても煩わしい。その点、ここでは「この場面の主役はディ・ステファノ」ということを誰もが分かっていて、カラヤンも抑えているからディ・ステファノの声を堪能できるのです。さらにもう1曲、レハールも披露するサービスぶり!観客も大喜び。こんな舞台、生で見たいなぁ。
良いお年をお迎えください。