管弦楽組曲第2番BWV1067(バッハ)

以前にも書いたことですが、ぼくが自分から音楽を聴くようになったきっかけは、小学4年の夏休みに「何でもいいから音楽を聴いて感想文を書く」という宿題が出て、父が薦めるモーツァルトのピアノ協奏曲第17番を聴いたことでした。その後、ピアノのレッスンでバッハのインヴェンションを練習しているときに聴いたグールドのLPがぼくにとって初めて「演奏」を意識した曲となりました。でも、音楽を聴いて初めて「感動した」と言えるのは、この曲です。
 
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<曲名>
管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067(バッハ)
 
<演奏>
オーレル・ニコレ(フルート)、カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団
【1960~61年録音、ARCHIV】
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005FDB6
(試聴できます)
 
冒頭の一音からして威厳と気迫に満ちたストイックなバッハ。この演奏を初めて聴いたのは小学6年の頃(1986年頃)だったと思いますが、体に電流が走ったことを忘れません。このとき以上に音楽に感動したことは、今日に至るまでありません。今後も、たぶん。
 
<参考>
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)、モーリス・エウィット指揮エウィット管弦楽団
【1950年録音、Les Discophiles français】
全曲 
http://www.youtube.com/watch?v=CkqmQz0xT1U (20分11秒)
 
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<演奏>
ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス【1966年録音、TELDEC】
http://www.amazon.co.jp/dp/B000000SLH
(試聴できません)
 
この演奏を初めて聴いたときの怒りも忘れません。中学1年(1987年)の12月、これは父が海外出張先からお土産に買ってきたカセット製品でした。冒頭の一音からして脱力系の軟弱なバッハ!リヒターの折り目正しく屹然たるバッハとは対極。ハルノンコート(Nikolaus Harnoncourt)なる無名の指揮者のなんという才能のなさ!リヒターのツメの垢を煎じて飲ませてやりたい!もう、思いつく限りの罵詈雑言をラジカセに向かって(心の中で)ぶつけたと思います。
 
でも、この演奏にリヒターにはない魅力を感じ取るようになるまでそんなに時間はかかりませんでした。生き生きとしたリズム、フラウト・トラヴェルソの暖かい(そしてちょっぴりハスキーな)音色、フラウト・トラヴェルソに絡んでくるソロ・ヴァイオリンの魅惑…。序曲の冒頭だけはなかなか抵抗が消えませんでしたが、やがてリヒターを聴く回数を上回るようになっていました。この指揮者が実は古楽の巨匠で、それに留まらずウィーン・フィルをはじめとするモダンの交響楽団にも客演していたことを知ったのは、何年もたってからです。ましてや、21世紀になってニューイヤー・コンサートに登場する時代が来るとは想像するわけもない。
 
アーノンクールは管弦楽組曲(全4曲)を1983年に再録音していますが、ぼくが聴いたのは旧盤です。もう半世紀近く前の録音にも関わらず、今聴いてもまったく古臭くないどころか、現在につながるピリオド奏法の直接のルーツはこの人にあるのでは、と思わせるほどオリジナリティを感じます。
 
<参考>
トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラ
序曲 
http://www.youtube.com/watch?v=NEWyx8tlr7k (8分32秒)
 
エウィットとコープマンの聴き比べが遠い昔のぼくの衝撃をほんの僅かに再現してくれます。この曲は、ぼくが初めて「モダンvsピリオド」を意識させられる曲となったのでした。
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ヴァイオリン協奏曲第1番BWV1041(バッハ)

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<曲名>
ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041(バッハ)
 
<演奏>
ヨハンナ・マルツィ(ヴァイオリン)
パウル・デッカー指揮オランダ放送フィル【1962年8月29日録音(Live)】
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=abb2woi77MI (4分41秒)
 
モダン楽器による往年のスタイル。合奏の人数は多く、響きはぶ厚く、重心は低く、悠然たるテンポは「音楽の父」たる偉大なバッハ像を彷彿とさせます。ヨハンナ・マルツィ(1924~1979)、当時38歳。この海賊盤のソリストが本当にマルツィという保証はないけど、ぼくは彼女だと信じます。ひたむきで、暖かく、気品があり、録音のコンディションの悪さにも関わらず何度も聴きたくなるヴァイオリン。
 
<演奏>
パブロ・バレッティ(ヴァイオリン)、カフェ・ツィマーマン【2008年録音、Alpha】
http://www.youtube.com/watch?v=yCARHEoeQGQ (13分30秒)
http://ml.naxos.jp/album/alpha811
 
作曲当時の楽器(または復元楽器)を使ったピリオドスタイル。ヴィブラート控えめの透明感ある響き、切れ味鋭いリズム、颯爽としたテンポ。一人一パートのアンサンブルで合奏パートも会話を楽しむようにソロに絡み、合いの手を入れたりして、「伴奏」に留まることがありません。聴いているだけでウキウキして、体が自然に動いてしまいます。このノリはまるで革ジャンを着たバッハ!作曲当時の真実は誰にも分からないけど、この団体はバッハのスコアからマルツィには見つけられなかった魅力を引き出しています。
 
美人ブロ友Iさんが最近始めたバロック中心の弦楽アンサンブルで「自分だけ音の出し方が違う」と感じているのは、ひょっとしたら、周りの方は後者のスタイルに影響を受けた奏法なのでは、と思った次第。

名ヴァイオリニストがピアノ伴奏で弾くヴァイオリン協奏曲(資料)

(作曲者の生年順)
○ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調(バッハ)
【1957年】ダヴィッド・オイストラフ(Vn),ウラディミール・ヤンポルスキー(Pf)
[中国SILKROAD MUSIC HCD 0955(4CD)](1957年10月15日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調~第1楽章(ヴィオッティ)
【1948年】オスカー・シュムスキー(Vn),William Sokolov(Pf)[VESTIGE CLASSICS 品番なし]
 
○ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調(ヴィオッティ)
【1950年】オスカー・シュムスキー(Vn),Vladimir Sokoloff(Pf)LP
 
○ヴァイオリン協奏曲第23番ト長調~第1楽章(ヴィオッティ)
【1957年】ワンダ・ウィルコミルスカ(Vn),Jadwiga Szamotulska(Pf)
[POLSKIE NAGRANIA 931](1957年3月13日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調~第1楽章のリハーサル(モーツァルト)
【1960年代】エリカ・モリーニ(Vn),マックス・ランナー(Pf)[ARBITER 107](録音年月日不明)
 
○ヴァイオリン協奏曲ニ長調(ベートーヴェン)
【録音年不明】Oleh Krysa(Vn),ミコラ・スーク(Pf)[TNCCD 1451~2]
名は「オレフ」「オレグ」、姓は「クリサ」「クルイサ」等と表記。
 
○ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調(パガニーニ)
【1954年】クリスティアン・フェラス(Vn),ピエール・バルビゼ(Pf)[INA 052](1954年3月5日録音)
【1954年】ジノ・フランチェスカッティ(Vn),アルトゥール・バルサム(Pf)[BRIDGE 9125](録音日付不明)
 
○ヴァイオリン協奏曲ホ短調(メンデルスゾーン)
【1925年】ヨゼフ・ヴォルフシュタール(Vn), Waldemar Liachowsky(Pf)[BIDDULPH LAB 095]
【1946年】ナタン・ミルシテイン(Vn), ジョセフ・ブラット(Pf)[BRIDGE 9064](1946年10月7日録音)
【1955年】ミッシャ・エルマン(Vn), ジョセフ・セイガー(Pf)[THE ALPHA OMEGA SOUND](1955年5月12日録音)
情報提供:ibotarow先生
 
○ヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調(ヴュータン)
【1951年】ダヴィッド・オイストラフ(Vn),ウラディーミル・シュライブマン(Pf)
[モスクワ音楽院自主制作盤 SMCCD 0024](1951年10月20日録音)
【1953年】アイザック・スターン(Vn),アレクサンダー・ザーキン(Pf)[INA 054](1953年2月13日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調(ヴュータン)
【1973年】デイヴィッド・ネイディアン(Vn),サミュエル・サンダース(Pf)
[Cembal d'amour 140](1973年1月17日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲第1番嬰へ短調~第2楽章、第3楽章(ヴィエニャフスキ)
【1956年】渡辺茂夫(Vn),伴奏者不明(Pf)[東芝EMI TOCE-9304]
 
○ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調~第1楽章(ヴィエニャフスキ)
【1920年代】イゾルデ・メンゲス(Vn),エレン・ビーティー?またはハミルトン・ハーティ?(Pf)
[Gramophone原盤/Ardmore ASS-077]
 
○ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調~第2楽章、第3楽章(ヴィエニャフスキ)
【1940年代】ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn),エマニュエル・ベイ(Pf)[Cembal d'amour 113]
 
○ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調(ブルッフ)
【1957年】ダヴィッド・オイストラフ(Vn),ウラディミール・ヤンポルスキー(Pf)
[中国SILKROAD MUSIC HCD 0955(4CD)](1957年10月15日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲イ短調(グラズノフ)
【1956年】ナタン・ミルシテイン(Vn), Eugenio Bagnoli(Pf)[Orfeo C590 021B](1956年8月6日録音)
 
○ヴァイオリン協奏曲ニ短調(シベリウス)
【1954年】ダヴィッド・オイストラフ(Vn),ウラディミール・ヤンポルスキー(Pf)
[THE ALPHA OMEGA SOUND 061002](1954年4月9日録音)
 
前回更新日:2014年3月9日
最終更新日:2015年9月16日

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