2012/11/29
平均律クラヴィア曲集第1巻第3番BWV848(バッハ)
バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第3回。
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第1巻第3番嬰ハ長調BWV848~前奏曲(バッハ/ヘンリー・ウッド編曲)
<演奏>
アンドリュー・リットン指揮ロイヤル・フィル【2010年8月14日収録(Live)】
https://www.youtube.com/watch?v=zUCsmhQk4L0 (6分03秒のうち、はじめから1分34秒まで)
二〇世紀後半の歴史的演奏習慣への姿勢に慣れた耳と心には、過去と現在を融合しようというこのような試みは心得違いに思われるかもしれない。しかし、これらの試みには古典派以前の音楽と楽器に対する関心の増大と、現代のコンサートライフが要求するものとを調和させようという真摯で前向きな気持が見て取れる。(中略)彼らは全体として、厳格な歴史的正確さとの妥協を許容するばかりか、古楽を現代の聴衆に生き生きと伝えるためには、むしろ必須の条件であると感じていた。(ハリー・ハスケル『古楽の復活-音楽の「真実の姿」を求めて』東京書籍、1992年)
2010年プロムスにおける、プロムス創始者ヘンリー・ウッド(1869~1944)が編曲した管弦楽版のライヴ動画。「シンフォニック・バッハ」と言えばストコフスキーが有名ですが、ウッドも、彼自身が編曲した「トッカータとフーガ」を自ら指揮して録音するなどバッハを手がけています。この前奏曲は、まどろみの中に見る田園の風景のように穏やかで非現実的な感触のバッハ。
この動画では無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調BWV1006の前奏曲(同じくウッド編曲)がつづきます。この演奏はあらためて取り上げます。