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ウィーンの夜会(ヨハン・シュトラウス2世/グリュンフェルト編曲)

今年の年末年始はぼくの実家(ごく近所)で過ごしています。昨年もその予定だったのですが、その直前の年末に父がサバに当たって緊急入院して(数日で退院しましたが)急遽取りやめたことを、先ほどみんなで食事をしながら思い出しました。一年は、短いような、長いような。
 
もう食べすぎ飲みすぎで今にも眠りに落ちそうですが、大晦日は何か書かねばなるまいという意味不明の使命感から、昨年の大晦日と同じくヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」で締めます。(考えてみれば、このオペレッタこそ≪酒・女・歌≫です)
 
<曲名>
ウィーンの夜会(ヨハン・シュトラウス2世/グリュンフェルト編曲)
https://www.youtube.com/watch?v=N60kSgeMYTE (4分51秒)
 
往年の名ピアニスト、グリュンフェルト(1852~1924)による「こうもり」などの主題による演奏会用パラフレーズ。“など”と書いたのは「こうもり」には登場しないテーマも使われているような気がするから。詳しいことは知りません
(←調べる気なし)
 
YouTubeで聴く某有名若手ピアニストのライヴ(→ http://www.youtube.com/watch?v=PxdynChtyyo)は、血気盛んすぎる。この曲はヴィルトゥオーゾ・ピースではあるけど、爆演を求めていない。大人の節度とちょっぴりほろ苦い味わい、芸格の差は短調に転じる中間部(某若手の演奏では2分50秒~)に特に現れていると感じます。
 
良いお年をお迎えください。
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今年出会った音楽

過去を振り返らない(反省しない)男として生きてきたわたくしでございますが、不惑の足音も聞こえ始めた今日、この一年間に出会った音楽を振り返ってみたいと思います。(以前から聴いてきた曲・演奏は除きます)
 
(順位は付けません。ほぼ、聴いた時期順)
1)夜想曲第2番(ショパン)/小曽根真
2)2~4台のチェンバロのための協奏曲集(バッハ)/カフェ・ツィマーマン
3)ラモー作品集/ボブ・ジェームズ
4)交響曲第39番(モーツァルト)
5)三重協奏曲BWV1044(バッハ)/ベルリン古楽アカデミー
6)ヴィオラ協奏曲(テレマン)/クルト・レーデル指揮ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団
7)グラン・パルティータ(モーツァルト)/シャンドール・ヴェーグ指揮ウィーン管楽ゾリステン
8)シャコンヌ(ヴィターリ)、ラ・フォリア(コレッリ)ほか/エミリー・オータム
9)乙女の祈り(バダジェフスカ)/ウラディミール・ド・パハマン
10)日本の四季(三善晃)
 
1)小曽根さん(ジャズ・ピアニスト)のショパンは、今年1月、ブロ友Fさんに聴かせていただき、初めて知りました。これがなんともファンタスティック!特にノクターンは誰が何と言おうと原曲より美しい。深夜、真っ暗な部屋でひとり心静かに聴きたい音楽。
 
2)「カフェ・ツィマーマン」という古楽団体が10年かけて録音してきたバッハの協奏曲や管弦楽組曲を集めたBOX(6枚組で6千円)は昨秋買ったものですが、今年になって聴きました。こんなにイキイキとしたバッハは聴いたことない!特に、これまでポジティブに聴いたことがなかった複数のチェンバロを独奏楽器とする協奏曲がこんなにエキサイティングで楽しいとは思いませんでした。「4台のチェンバロのための協奏曲」BWV1065(原曲はヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」)はスコアも買っちゃいました。
 
3)ボブ・ジェームズのラモーは4月の「ぐるぐる会」でn先生からお借りし、5月の連休中にこればっかりエンドレスで聴いていました。多彩だけど血が通わない音(シンセサイザー)、でもなぜか心にしみる不思議なラモー。
 
4)モーツァルトの交響曲第39番は、今年の春頃、聴き比べの記事を書きそうな勢いでワルターやモントゥーなど以前から持っていたCDに加えて何枚か買い足して取っかえ引っかえ聴きました。が、幾つも聴き重ねると記憶がだんだん上書きされて、どれがどんな演奏だったか分からなくなってくるので挫折しました(汗)今年後半はあんまり聴いてないのでなおさらです。課題は来年に持ち越し。
 
5)バッハのイ短調のトリプル・コンチェルトは有名なブランデンブルク協奏曲第5番と同じ編成ですが、このイ短調は冴えない感じで、バッハの協奏曲の中で最もつまらないと内心思っていたけど、某中古店で価格(200円)につられて買ったベルリン古楽アカデミーの演奏で初めてこの曲の凄さを知りました。この演奏のことは来年あらためて書きます。
 
6)クルト・レーデルのテレマンのヴィオラ協奏曲はバロック少年だった頃にFMから録音したのですが、その後誤って消去して以来、二度と出会うことなく、もはや幻とあきらめていたところ、ブロ友Pさんのご厚意でLPを譲っていただきました。かつてエアチェックテープを消してしまったとき、まさか20数年後にこのような形で再会するとは予想もしませんでした。収録されたテレマンの4つの協奏曲はどれも手づくり感のある暖かい演奏で、何を隠そう、先月買ったレコードプレーヤーで最初に聴いたのがこのLPです。
 
7)ヴェーグの「13管楽器」もPさんに聴かせていただいたもの。ウィーン管楽ゾリステンなる団体は、巧いかと言われるとそうではなく、ローカル色たっぷりで、ちょっと機敏さに欠けるところもあるアンサンブルですが、おかしな言い方ですがそれが魅力で、例えば第4楽章の中間部、これはカントリーダンスだったんだなぁと今まで素通りしていた箇所に気づいたり、でも第6楽章の7分過ぎの中低音(ここも今まで意識して聴いたことのない箇所)は思わず息を止めてしまったほど美しく、やはりこの人たちの演奏が「アバウトさが魅力」というのは誤解で、ヴェーグの音楽を表現できる技量とセンスをもった名人揃いなんだと感じ入りました。聴けば聴くほど味のある演奏。(Pさんの記事に書かせていただいたコメントから一部引用)
 
8)エミリー・オータム(本職はヘヴィメタルのシンガー)のアルバム≪LACED/UNLACED≫(2007年発売)は2枚組のうち1枚目が古楽で、これがまた凄すぎる。現役のアーティストで最も注目している人。(でも、古楽奏者としてはもはや現役ではない
 
9)往年の名ピアニスト、パハマン(1848~1933)はSPレコードの時代にCD換算で4枚分の録音をおこなっていますが、SPの師匠iさんに聴かせていただいた「乙女の祈り」はSPではなく自動ピアノによる演奏(1906年にパハマンの演奏を記録した紙ロールを現代のテクノロジーで再生したもの)。
 
10)「日本の四季」は、文部省唱歌の2台ピアノ編曲版。これはブロ友Hoさんが司会をするコンサートでたまたま聴いた曲で、あまりの豊潤な美しさに参ってしまい、YouTubeで探して繰り返し聴き、今も無意識のうちに口ずさんでいる自分に気づくほどです。CDは持っていませんが、次回の「ぐるぐる会」で帝王Haさんから出品される予感。
 
こうして挙げてみると、ブロ友さんに教えていただいたものが半分以上です。ブログに書くからそういう選曲になったのではなく、ここ最近の自分の購買行動が過去からの延長線上で落穂拾い的になっていることに気づいた次第。自分の音楽世界を拡げてくれた諸先輩方に感謝します。

まるで「虹と雪のバラード」? ベルギー映画「恋人」(デフリーゼ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、番外編。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第2巻第12番ヘ短調BWV881(バッハ)
原曲 http://www.youtube.com/watch?v=_y3ItVzt31I(7分28秒)
 
<曲名>
映画「恋人」より(デフリーゼ)
1)前奏曲(0分00秒~)
2)前奏曲(4分01秒~)
3)Fagnes du Nord(8分38秒~)
(1)はピアノ独奏、(2)と(3)は弦楽合奏。(1)は(2)の編曲版。
 
デフリーゼ(Frédéric Devreese、“ドゥヴレーズ”とも表記されます)は、ベルギーの作曲家です。彼のピアノ協奏曲はエリザベト・コンクールで取り上げられるなど、いわゆるクラシックの作曲家としての仕事もありますが、映画監督アンドレ・デルヴォー(1926~2002)と組んで映画音楽も書いています。デルヴォー監督はサイレント映画のピアノ伴奏者だった経歴を持ち、彼の映画の中で音楽はとても重要な役割を果たしているそうです。が、観たことないので、それ以上のことは分かりません
In Belle a middle-aged man whose daughter is to be married, inspiring in him a degree of incestuous jealousy, goes on a journey and falls in love with a mysterious, perhaps imaginary woman. The film is a love-song, a lament for lost youth(a voice is heard singing“La vie S’en va, la vie s’en est allee au vent”). As Delvaux himself has said, the imaginary can introduce things that have not yet taken place but that will happen in reality later on, as in music you can announce a theme without stating it.
Prelude is an instrumental version of a song from Belle, by Andre Delvaux, its title taken from the F minor Prelude from Bach’s Well-Tempered Clavier, four bars of which provided the inspiration for this delicate, lilting and subtle musical poem.
デルヴォー監督とデフリーゼによる映画「恋人」(原題“Belle”)は、なんと、バッハの平均律の第2巻第12番の前奏曲の編曲…とまで言いませんが、インスピレーションを受けた音楽。“Fagnes du Nord”(3)は明らかにバッハをベースとしているし、前奏曲(1)(2)の冒頭もバッハの4~8小節目の影響を感じます。
 
でも、それよりも、デフリーゼの前奏曲の中間部(ピアノ版/1分25秒~、弦楽合奏版/5分35秒~)と、札幌オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」の激似ぶりを指摘しないわけにはいかない。札幌オリンピックの開催は1972年2月、「虹と雪のバラード」の発表はその前年の1971年2月。そして、映画「恋人」は…どうやら1973年公開らしい。判定はいかに。
 
…何の話でしたっけ?

平均律クラヴィア曲集第1巻第10番BWV855(バッハ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第9回。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第1巻第10番ホ短調BWV855
~前奏曲ロ短調(バッハ/シロティ編曲)
 
<演奏>
エミール・ギレリス(ピアノ)
楽譜 http://www.eonet.ne.jp/~calaf/prelude1.html (calafさんのブログ「♪ピアノと私♪」)
 
アレクサンドル・シロティ(1863~1945)はラフマニノフの従兄にして彼を教えた人物。わが家では妻がいつも白いTシャツのことを「シロティ」と言っていますが、もちろん何の関係もない。ラフマニノフの有名なピアノ協奏曲第2番はラフマニノフ本人のピアノとシロティの指揮により初演されました。
 
また、カザルスの回想録によると、カザルスの初めてのロシア演奏旅行を支援したのがシロティで、そんな縁もあってのことか、シロティはバッハの作品の幾つかをチェロ&ピアノ用に編曲し、カザルスが録音しています。
しかし、決して親戚(ラフマニノフ)の七光りやカザルスとの関係で名前を残したのではなく、シロティ自身もフランツ・リストに学んだロシア音楽界の大物でした。
 
今回紹介するシロティ編曲の前奏曲はホ短調からロ短調に移調され、『平均律』では歌う右手を支えている左手の印象的な音形がシロティ編曲ではメロディーとなり、揺らぎつつ心の底に沈み込んでいく。この深みにバッハは到達していない。でも、真の比較対象は『平均律』ではなく、バッハは生涯にわたって自作の手直しをつづけた人で、さらにその原型というべき知られざる異稿(BWV855a)がありました。
十八世紀のはじめには、最近声楽において再びやりはじめたように、楽器を弾くとき個々の音を沢山の走句で飾ることが流行していた。バッハもこの流行に敬意を払って、いくつかの曲をそのようなやり方で作曲した。そのひとつが『平均律クラヴィーア曲集』第一巻のホ短調前奏曲である。しかし、彼はじきに自然さと純粋な趣味に立ち帰り、その曲を現にあるような形へと変更したのだった[※]。(フォルケル/角倉一朗訳「バッハ小伝」白水社、1802年原著/2003年)[フォルケルの誤りで、『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』にある単純な稿を、バッハはのちに装飾的に改稿したのである。(同上、角倉一朗による訳注)]
のちに『平均律』の第1巻のホ短調前奏曲に改稿された『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(バッハ家の長男)のための小曲集』に含まれるシンプルな前奏曲こそ、シロティの原曲でした。これを初めて聴いたときの驚き。ぼくはそれまでシロティの前奏曲は「編曲」というより「創作」の域だと思っていましたが、左右の入れ替えや和音の厚みを差し引いたとしても、シロティと『ヴィルヘルム・フリーデマン』の想像を超えた近さは、つまりバッハのロマンティシズムの証明でした。『ヴィルヘルム・フリーデマン』はn先生の記事「Preludes BWV 846a 847a 851a 855a」で試聴できます。
 
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平均律クラヴィア曲集第2巻第9番BWV878(バッハ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第8回。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第2巻第9番ホ長調BWV878~フーガ(バッハ/モーツァルト編曲)
 
<演奏>
ルドルフ・バウムガルトナー指揮ルツェルン弦楽合奏団【1968年録音、AURA】
 
モーツァルトの編曲による弦楽四部版(「5つのフーガ」K405の第3曲)。なんだか移調されているように聴こえるのはモーツァルトがそう書いたのか、演奏者の判断なのか。分かりません
 
バッハの≪平均律≫が初めて出版されたのは1801年、つまりモーツァルトの没後です。この時代、バッハの作品はバッハが書いた楽譜をバッハの妻や弟子が写譜し、それをまた弟子の弟子が写譜し、さらに弟子の弟子の弟子が…といった具合に拡がって、やがてモーツァルトの手に渡ったと考えられます。今日、ピアノを習っている生徒が、レッスンで弾く曲の楽譜を先生から借りて書き写す(しかも1音違わず!)なんて、あったとしたらほとんど罰ゲームです
 
楽譜に限らず、手書きの苦労は想像に難くない。今年初めて年賀状の宛名書きを1枚10円でゆうちゃんにやってもらっているけど、15円あげようかな

平均律クラヴィア曲集第1巻第8番BWV853(バッハ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第7回。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第1巻第8番変ホ短調BWV853(バッハ/ヴィラ=ロボス編曲)
 
<演奏>
ヴィラ=ロボス指揮The Violincello Society【1958年録音、EVEREST】
前奏曲 http://www.youtube.com/watch?v=bbGfHeTjis0 (5分46秒)
フーガ http://www.youtube.com/watch?v=UmclVNiDKYY (5分21秒)
 
ヴィラ=ロボス(1887~1959)の代表作≪ブラジル風バッハ≫はバッハの作品の「編曲」ではなく、「もしバッハがブラジルに生まれていたらこんな曲を書いただろう、間違いない。」というコンセプトによる、元ネタのない「作曲」で、このシリーズの第1番は8本のチェロという編成。また、最も有名な第5番も8本のチェロがソプラノ独唱を支えます。
 
だから、ヴィラ=ロボス編曲の平均律がチェロアンサンブルのために書かれていても驚かない。バッハの原曲を大きく逸脱することはないのに、この編曲がまるで≪ブラジル風バッハ≫のように響くと感じるのは先入観のせいだろうか。体の芯が熱くなってくるバッハ。
 
<演奏>
ワンダ・ランドフスカ(チェンバロ)【1949年録音、RCA】
 
ランドフスカによる歴史的録音。これはトランスクリプション(編曲)ではないけど、現代の古楽奏者の誰もこんな解釈では弾かない、最初の1音からしてまるでギターをかき鳴らすような情熱のバッハ。
彼女は周りから、演奏方法を批判されました。速く弾きすぎるとか、ゆっくり弾きすぎるとか、装飾音の付け方がおかしいとか、何かにつけて文句を言われたんです。けれども彼女は何と言われようとも、まったくひるみませんでした。自分が表現したい音楽を追い求め、ただその通りに、ひたすら演奏しつづけました。(ランドフスカの助手、ドゥニーズ・レストゥ)/ドキュメンタリー≪ワンダ・ランドフスカ チェンバロのミューズ≫より
彼女は“バッハをロマンティックに弾きすぎる”と批判され、こう反論しました。“なぜいけないの?彼は22人もの子どもをもうけた男性よ!”(レコードプロデューサー、ジョン・ファイファー)/同ドキュメンタリーより
ぼくはバッハ少年だった頃、この曲を静かな祈りの音楽だと思っていたけど、ヴィラ=ロボスとランドフスカは本質を射抜いている。

平均律クラヴィア曲集第2巻第5番BWV874(バッハ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第6回。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第2巻第5番ニ長調BWV874~フーガ(バッハ)
 
<演奏>
スウィングル・シンガーズ
 
スウィングル・シンガーズは男女8名のヴォーカルにベースとドラムスを加えたスキャット・コーラス。この団体のことをジャック・ルーシェはなかなか辛辣にコメントしていて、ぼくはそれをバッハ少年だった頃に≪プレイ・バッハ≫のLP解説で読んだ記憶があったのですが、以前そのことを書いたときにブロ友Pさんが所蔵されるLPから当該部分を書き取ってくださいました。
楽譜のメロディを移調している以外に、何もやっていません。歌唱に移し変えることしかしておりません。何ら個人的な構想を加えていないのです。(ジャック・ルーシェ)
スウィングル・シンガーズのデビュー・アルバムの邦題は≪ジャズ・セバスチャン・バッハ≫ですが、ひょっとしたら、これはジャズとは言えないのかもしれない。でも、このフーガをこんなリズムに乗せて歌うとは着眼点(選曲)も編曲のアイディアも秀逸。これがスウィングル・シンガーズ。

平均律クラヴィア曲集第1巻第5番BWV850(バッハ)

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バッハの≪平均律≫を1曲ずつ、トランスクリプション(編曲もの)で紹介するシリーズ、第5回。
 
<曲名>
平均律クラヴィア曲集第1巻第5番ニ長調BWV850(バッハ/ブゾーニ編曲)
 
<演奏>
Sara Davis Buechner(ピアノ)【2008年発売、KOCH】
Preludio,Fuga e Fuga figurata in D major [WTC 1](1909)
In his commentary to the D major Prelude and Fugue from the WTC 1, Busoni discusses the subliminal architectural similarity of the two pieces with the musing that they might even be played simultaneously. Later he was to fulfill this supposition with the composition of the Preludio, Fuga e Fuga figurata  which also forms one part of his piano suite An die Jugend ("To Youth"). It is a humorous exercise nonetheless demanding diabolic virtuosity to pull off. Throughout Busoni’s edition of the WTC 1 there are numerous proposals for keyboard etudes fashioned from the materials of Bach. (Sara Davis Buechner)
[WTC]=the Well-Tempered Clavier
ブゾーニは「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」のシャコンヌをはじめとして多くのバッハ作品を編曲しています。その全貌はn先生が紹介してくださるでしょう、間違いない。
この編曲はフーガの途中にまるでカデンツァのようにブゾーニ自身の創作が挿入されていることが最大の聴きどころで、つまりその部分は「編曲」より「作曲」と言ったほうがいい。原曲の前奏曲とフーガの主題を重ね合わせて展開し、明らかにバッハをベースとしているのに末期ロマン派的に崩れ落ちていく圧巻のスケール!

平均律クラヴィア曲集第1巻第4番BWV849(バッハ)

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<曲名>
平均律クラヴィア曲集第1巻第4番嬰ハ短調BWV849(バッハ/ジョン・ルイス編曲)
 
<演奏>
ジョン・ルイス(ピアノ)
ハワード・コリンズ(ギター)
マーク・ジョンソン(ベース)
ジョエル・レスター(ヴァイオリン)
ロイス・マーティン(ヴィオラ)
【1984~1985年録音、PHILIPS】
ジョン・ルイスは、各曲の≪プレリュード≫をすべてピアノ・ソロで弾き、一方≪フーガ≫は各声部をそれぞれ別な楽器が担当するという方法を選んでいる。(中略)そして、バッハの譜面に従って演奏している部分にも、ジャズならではのフィーリング(抑揚、間、タッチ、フレージング)が微妙に湛えられており、即興演奏に入っていく呼吸が、実に自然、かつ絶妙である。(中略)うつつから夢へと引き込まれる時にも似て、バッハの楽譜とインプロヴィゼーションとの境目は、しばしばわからなくなるほどである。つまり、ジョン・ルイスの音楽は、バッハの情念の高さを少しも裏切っていない。(濱田滋郎)
ジョン・ルイスはバッハ生誕300年(1985年)の前年から、数年がかりで平均律クラヴィア曲集第1巻の全曲(24曲)をリリースしました。ぼくは10代の頃はジャック・ルーシェの≪プレイ・バッハ≫のほうが好きでしたが、20代の半ば頃に気づいたら逆転していました。ルーシェのバッハはやんちゃで、ノリでジャズ化したような印象があるのに対し、ルイスはバッハの音楽の中に潜むジャズ的なフィーリングを見出しているかのようです。

特に第4番では、バッハとジャズの本質的な近さを感じずにはいられない。

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