ジゼル(アダン)

どの楽器でも、オーケストラにはソロがあります。管楽器に比べると、弦楽器はその機会は少ないですが、首席奏者が披露するソロはどれも印象的です。
 
<曲名>
バレエ「ジゼル」第2幕~パ・ド・ドゥ(アダン)
http://www.youtube.com/watch?v=eqRHVe_VrR8 (6分55秒)
 
アドルフ・アダン(1803~1856)と言えば「ジゼル」です。アダンの名前はほとんど知られていなくても、「ジゼル」はバレエの世界では知らない人のいない超人気演目です、間違いない。
イケメン王子が身分を隠して村に潜り込み、純朴な村娘ジゼルと恋仲になる。しかしジゼルはこの恋が身分違いで、しかも自分が二股されている(しかも遊ばれているほう)とは夢にも思わない。真実を知ったジゼルはショックのあまり死んでしまい、亡霊となってウィリ(花嫁になれずに死んだ女亡霊)に仲間入りする。夜になってジゼルの墓を訪れた王子を女亡霊たちが取り囲む。絶体絶命!しかしジゼルは亡霊となった今も王子を愛していて、身を挺して王子を庇おうとする。そして二人の愛のデュエットが始まる…(上の動画はこの場面)
二人を包むのは、愛の溜め息も混じる極甘の音楽。冒頭からソロを弾くのはヴィオラ。これがもしヴァイオリンだと生々しすぎ、チェロだと存在感がありすぎる。この場面にヴィオラの中性的な音色を選んだオーケストレーションは天才的です。
 
メロディーが管楽器に移る箇所もヴィオラはアルペジオでオブリガードを付けますが(1分37秒~)、フィストゥラーリ、カラヤン、ボニングの演奏ではここにオブリガードはなく、管楽器に完全に譲ってヴィオラは休止しています。バレエの現場で使用されるスコアはオブリガードのブリッジによってヴィオラは数分にわたって弾きっぱなしという、他に類例の心当たりがないほどの長大なソロとなっています。
 
まるで、ヴィオラ協奏曲。
 
(Loree所有盤)
【1959年】アナトール・フィストゥラーリ指揮ロンドン交響楽団[MERCURY](全曲盤)
【1961年】ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィル[DECCA](全曲盤)
【1962年】リチャード・ボニング指揮ロンドン交響楽団[DECCA](パ・ド・ドゥのみ)
【録音年不明】スタニスラフ・ゴルコヴェンコ指揮サンクトペテルブルク放送交響楽団(パ・ド・ドゥのみ)
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原曲より美しい!乙女の祈り(バダジェフスカ/パハマン編曲)

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小学生の頃、ピアノを習っている子が音楽室で同級生からリクエストされる曲のベスト3は、モーツァルトの「トルコ行進曲」、ベートーヴェンの「エリーゼのために」、そして「乙女の祈り」でした(←ぼくが弾けたかどうかは別問題)
 
ところが!なんと、ゆうちゃんは「乙女の祈り」という曲があることを知りませんでした。現代の小学生はこの曲に憧れないのでしょうか。音楽室に響く「乙女の祈り」は、もはや昭和の風景と言うべきなのかもしれません。
 
<曲名>
乙女の祈り(バダジェフスカ/パハマン編曲)
Improvisation on the Maiden’s Prayer
 
<演奏>
ウラディミール・ド・パハマン(自動ピアノ)
 
往年の名ピアニスト、ウラディミール・ド・パハマン(1848~1933)の自動ピアノによる演奏。自動ピアノは、今でもホテルとかデパートに「音が出るインテリア」のごとく置かれているのを見かけます。この楽器(機械?)は19世紀の発明品で、1900~20年代に全盛期を迎え、その後はレコードの発達とともに衰退したそうです。当時の自動ピアノは、紙ロールに穴をパンチして鍵盤が下りる位置を記録するという、原理的にはオルゴールの応用でした。この録音はパハマンの演奏を記録した紙ロール(1906年製作)を現代のテクノロジーで再生したものです。
 
パハマンの「乙女の祈り」は冒頭からして原曲無視の自由奔放でブリリアントなインプロヴィゼーション(即興演奏)。元来、バダジェフスカの原曲が上流階級のサロンに憧れる一般階級の子女のためにダウンサイズした「サロン風」の作品だとするなら、パハマンのインプロヴィゼーションはそれを再び本物のサロンに回帰させたもので、これに酔わないなら自称ロマンチストの名は返上しなければならない。同じ音を、後を引くように連打する右手はエロール・ガーナーの先駆けではないかと思ってみたりする。
 
原曲より美しい。

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Author:violin20090809
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