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1920年代のスウィンギング・パリ

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フランツ・リスト編曲の「イゾルデの愛の死」を十八番とする広島の某美人ピアニストさんと2年ぶりにお会いして、今日は真昼からビール飲んでいたことを、もう一人の広島の飲み仲間Y先生は知りません。
 
<アルバムタイトル>
「屋根の上の牛」 1920年代のスウィンギング・パリ【2012年録音、Virgin/EMI】
 
「屋根の上の牛」と言っても、ダリウス・ミヨーのバレエ音楽(1920年初演)ではなく、その曲名を店名とするパリのキャバレーで演奏されていたレパートリーを集めた、アレクサンドル・タローの最新アルバム。
 
「キャバレー」という場所には行ったことありません(間違いない)。「屋根の上の牛」のことを調べてみると、「サロン」「バー」「居酒屋」「レストラン」等々と説明されていますが、なんとなくどれも言い得てないような気がする。この店はミヨー自身やプーランクなどのフランス6人組、ラヴェル、サティ、ジャン・コクトー(ミヨーの「屋根の上の牛」の台本を書いた)も常連だったそうで、若い芸術家が金持ちのはずがないから上流階級向けではなく、でも世俗的でもなく、品の良さと猥雑さが同居しているようなイメージ(あくまで想像)。
 
2年前にY先生がクレマン・ドゥーセ(Clément Doucet)を見つけてきたときは名前の読み方も判らない未知の人物でしたが、彼こそ、ジャン・ヴィエネル(Jean Wiéner)とともに「屋根の上の牛」で弾いていたピアニストでした。
 
<曲名>
Chopinata ショパンの主題によるファンタジー・フォックストロット(クレマン・ドゥーセ)
アレクサンドル・タロー(ピアノ)
http://www.youtube.com/watch?v=k80xXKyqODk (3分28秒)
 
<曲名>
Isoldina 「トリスタンとイゾルデ」の主題によるピアノ・ソロのためのノヴェルティ(クレマン・ドゥーセ)
クレマン・ドゥーセ(ピアノ)
http://www.youtube.com/watch?v=uZ6V93WxYhU (2分19秒)
 
「ショピナータ」は「軍隊ポロネーズ」の前奏と嬰ハ短調のワルツと「幻想即興曲」の中間部によるパロディ。この演奏はアルバムの公式プロモーション映像のようです。次の「イゾルディーナ」はドゥーセの自作自演(1927年録音)。ヴィエネル&ドゥーセのSP録音はEMIからCD化されていますが(※)、現在は入手困難かも。
 
それにしても、よりによって「イゾルデの愛の死」をパロディにするとはなんたる才気!1920年代の「屋根の上の牛」に思いを馳せつつ、なぜか、ワルトラウト・マイヤーの流血のイゾルデも頭の中に登場して交錯する、ホロ酔いの休日の午後。
 
 フランスEMI(2005年) ≪Les Années Folles≫
 
Doucet at the Piano at the ≪Le Boeuf sur le Toit≫
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わが家の天才少女

節目というものは人生に何度もありますが、今春、小学校を卒業することはゆうちゃんのこれまでの人生では最大の節目です。12年間に6都道府県で5人の先生に師事し、9年間つづけてきたヴァイオリン(オーケストラは6年間)の歩みを、ここに記録しておきたいと思います。(主な曲目のみ、「ソロ」「弦楽合奏」「オーケストラ」それぞれ作曲者の生年順)
 
(1)ソロ
○ラ・フォリア(コレッリ)
○「調和の霊感」作品3~第3番ト長調RV310(ヴィヴァルディ)
○「調和の霊感」作品3~第6番イ短調RV356(ヴィヴァルディ)
○「調和の霊感」作品3~第7番ヘ長調RV567(ヴィヴァルディ)
○ヴァイオリン協奏曲ト短調 作品12-1 RV317(ヴィヴァルディ)
○ガヴォット・ニ長調(ラモー)【前回記事参照】
○ヴァイオリン・ソナタ第3番ヘ長調 作品1-12(ヘンデル)
○ヴァイオリン・ソナタ第4番ニ長調 作品1-13(ヘンデル)
○トリオ・ソナタ・ト短調 作品2-8(ヘンデル)
○ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041(バッハ)
○2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043~第1楽章(バッハ)
○ピアノ三重奏曲ト長調~第1楽章(ハイドン)
○ヴァイオリン協奏曲第23番ト長調~第1楽章(ヴィオッティ)
○伝説(ヴィエニャフスキ)【ただいま練習中】
○ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調~第3楽章(ブルッフ)
○「なつかしい土地の思い出」~瞑想曲 作品42-1(チャイコフスキー)
○コレッリの主題による変奏曲(クライスラー)
○前奏曲とアレグロ(クライスラー)
 
(2)弦楽合奏
○カノン(パッヘルベル)
○G線上のアリア(バッハ)
○「フーガの技法」BWV1080~コントラプンクトゥス第1番(バッハ)
○ディヴェルティメント第1番ニ長調K136~第1楽章(モーツァルト)
○「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K525~第1楽章(モーツァルト)
○弦楽のためのシンフォニア第10番ロ短調(メンデルスゾーン)
○弦楽セレナーデ・ハ長調~第1楽章、第4楽章(チャイコフスキー)
○ホルベルク組曲より(グリーグ)
○セントポール組曲~第1楽章(ホルスト)
○シンプル・シンフォニー(ブリテン)
 
(3)オーケストラ
○組曲「王宮の花火の音楽」(ヘンデル)
○「6つのドイツ舞曲」K571(モーツァルト)
○交響曲第7番イ長調~第1楽章(ベートーヴェン)
○劇音楽「真夏の夜の夢」~夜想曲、結婚行進曲(メンデルスゾーン)
○喜歌劇「こうもり」序曲(ヨハン・シュトラウス2世)
○歌劇「カルメン」第1幕への前奏曲(ビゼー)
○「アルルの女」第2組曲~ファランドール(ビゼー)
○交響曲第9番ホ短調「新世界より」(ドヴォルザーク)
○「威風堂々」第1番(エルガー)
○歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(マスカーニ)
○交響詩「フィンランディア」(シベリウス)
○「仮面舞踏会」~ワルツ(ハチャトゥリヤン)
○タイプライター(ルロイ・アンダーソン)
○シンコペーテッド・クロック(ルロイ・アンダーソン)
○プリンク・プレンク・プランク(ルロイ・アンダーソン)
○サンドペーパー・バレエ(ルロイ・アンダーソン)
○そりすべり(ルロイ・アンダーソン)
 
依頼演奏及びエキストラのお申し込みはLoreeまで。(ウソ)

「ラモーのガヴォット」完全攻略ガイド その3

(その3)
ガヴォット ニ長調
【原曲】歌劇「栄光の神殿」(Le temple de la gloire)~第3幕のガヴォット
 
全国のヴァイオリン少年少女におなじみの「ラモーのガヴォット」と言えば、この曲です。
 
○ディスコグラフィ(ほぼ録音年代順)
1)ウィリー・ブルメスター(ヴァイオリン)、伴奏者不詳(ピアノ)【1909年録音、Gramophone】
2)ウィリー・ブルメスター(ヴァイオリン)、伴奏者不詳(ピアノ)【1932年録音、Edison Bell】
3)マルセル・ミュール(サックス)、Marcel Gaveau(ピアノ)【調査中】
4)マルセル・ミュール(サックス)、Marthe Pellas-Lenom(ピアノ)【1946~50年録音、DECCA】
5)鈴木鎮一(ヴァイオリン)、鈴木静子(ピアノ)【1956年発売、日本コロムビア】
6)ジャニーヌ・アンドラード(ヴァイオリン)、アルフレート・ホレチェク(ピアノ)【1957年録音、SUPRAPHON】
7)丸山盛三(オーボエ)、N響室内合奏団【1969年発売、研秀出版】(※オーボエ奏者名は当盤には記載なし)
8)豊田耕児(ヴァイオリン)、辛島輝治(ピアノ)【1971年発売、日本コロムビア】
9)西崎崇子(ヴァイオリン)、テレンス・デニス(ピアノ)【2008年録音、NAXOS】
 
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1)ウィリー・ブルメスター
https://www.youtube.com/watch?v=4bBx25g2AQM (2分39秒)
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005GVUB (この復刻CDには歌劇「カストルとポルックス」第4幕と記載されています。ホ短調のガヴォットの出典と取り違えていると思います)
ラモーの『ガヴォット』は容易に手に入るのと、美しいので有名であった。この典麗な演奏は、原曲の美しいせいもあるだろうが、演奏の美しさもフーベルマンやフレッシュ以外には、比較を求むべきではない。これに比べると、クライスラーでさえ古典を弾いては、無用に甘過ぎると言われるだろう。(あらえびす「名曲決定盤」中央公論社、1939年)
ブルメスター(1869~1933)は往年の名ヴァイオリニスト。あらえびすをして「典麗」と言わしめたのは1909年録音の旧盤です。この演奏はみ○ほさんにSPでも聴かせていただきました。レガート全開の優美な第1ガヴォットとアジタート気味に前のめりで疾走する第2ガヴォットの対比が個性的。最初の第1ガヴォットでブルメスターが途中(0分53秒~)で弾き間違えて、伴奏者がちょっと慌てていますが、何事もなかったように強引に先に進みます
 
2)ウィリー・ブルメスター
ブルメスターが晩年(1932年)に再録音したエジソンベル盤はこのレコード1枚で車が買えるほどの激レア盤。Ib○tar○wさんのご厚意でこの録音の一部を聴かせていただきました。旧録音を踏襲した解釈で、しかも録音はより明瞭。晩年のブルメスターは酷評されることもありますが、輝きは失われても味わいのある演奏で、復刻CDがないのは残念です。
 
なお、ブルメスターについては、Ib○tar○wさんからご教示いただいたサイト「SP盤的文献紹介」(→ http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page162.html )にディスコグラフィ等が掲載されています。
 
3)、4)マルセル・ミュール
http://www.youtube.com/watch?v=6XT0ez8xR3U (3分08秒)
ミュール(1901~2001)はサックス界の神様的な存在だそうです(サックス界のカザルス?)。ミュールが録音した「ラモーのガヴォット」は少なくとも2種類あり、その2つは同じガヴォットなのか?上のリンク先の演奏はどっちの録音なのか?それとも、知られざる第3の録音なのか?分かりません
 
なお、リンク先のミュールのディスコグラフィ(→ http://crq.org.uk/Files/File/MuleDiscography2.pdf )には(4)の録音しか記載されていません。
 
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6)ジャニーヌ・アンドラード
http://www.amazon.co.jp/dp/B000657LLK (各トラックの冒頭45秒間を試聴できます)
アンドラード(1918~没年不明)はフランスの女性ヴァイオリニスト。なんと魅惑のフレージング!第1ガヴォットで2拍子の舞曲の楽しさを感じさせるのはアンドラードだけです。ピアノ伴奏譜の選択も、アンドラードの解釈にはこの版しか考えられない。リースという人の編曲版だそうですが、いったいどこのリースさん?分かりません
 
8)豊田耕児
http://www.amazon.co.jp/dp/411321106X
http://www.youtube.com/watch?v=yvoPq4cBX74 (2分46秒)
スズキメソードの模範演奏。豊田耕児氏はのちにスズキメソードを創始した鈴木鎮一氏の2番弟子です(1番弟子は江藤俊哉氏)。「ラモーのガヴォット」が含まれる第6巻(1955年初版)にLPが付いたのは1971年なので、この演奏も同時期、つまり、豊田氏がベルリン放送交響楽団(現・ベルリン・ドイツ交響楽団)のコンマスだった頃の録音と推察されます。手抜きなしの立派すぎる演奏ですが、ヴァイオリンとピアノが右・左にくっきり分かれた録音で、スピーカーで聴くのはややつらい。
 
さて、このガヴォットの原曲は「栄光の神殿」(「栄光の殿堂」「栄光の寺院」などの別訳あり)というオペラですが、このオペラの全曲盤CDは現在出ていません。そこで抜粋盤を買って聴いてみましたが、このガヴォットは含まれていませんでした
 
が、「栄光の神殿」のスコア(※)を参照すると、メロディはほぼ原曲通りであることが確認できました!
 
(※)原曲のスコア リンク先のComplete Score(計266ページ)のうち、218~220ページ

「ラモーのガヴォット」完全攻略ガイド その2

(その2)ガヴォット ホ短調
【原曲】歌劇「カストルとポルックス」(Castor et Pollux)第4幕のガヴォット
https://www.youtube.com/watch?v=9AR3J9-c0wg (3分02秒)
ラモーの「ガボット」は、オーボーの独奏曲として、余りにもよく知られ、オーボーの名曲として有名である。この楽曲を他の楽器で演奏することは殆んどない。(文部省選定「鑑賞レコード解説全書・小学校編」音楽之友社、昭和35年)
このガヴォットは、オーボエの音色に親しむ作品として小学校の音楽鑑賞教材に採用されています。昭和16年から現在(ゆうちゃんが4年生だった平成22年)に至るまで教科書に残っていることは驚くべきです。
 
また、前掲の「鑑賞レコード解説全書」にもたいへん驚きます。現在、この曲は小学校の授業以外で聴かれることはほとんどないと思いますし、オーボエやフルートの小品集の楽譜には載っていますが、プロ奏者がコンサートや録音で取り上げることはほとんどなく、有名曲としては認知されていないと思います。
 
このガヴォットの録音は甚だ少なく、往年のイギリスのオーボエ奏者レオン・グーセンスのSPレコードが世界的に流通した録音としてはおそらく唯一のものだと思います。その他はわが国の鑑賞教材としての録音が大半です。「ベルリン木管五重奏団」という、いかにも立派な名称の団体の録音もありますが、これも鑑賞教材以外では見たことがありません。
 
ぼくはこのガヴォットを小学校の授業で聴いた記憶はなく、中学校の清掃の時間に校内放送で流れていたので初めて知りました。当時のぼくに「先生に曲名を教えてもらう」という発想はなく、近所の図書館で手当たり次第に調べて、ついに児童向けのある解説本に譜例付きで紹介されているのを見つけたときの興奮は忘れられません。
 
ラモーのオペラとはまったく趣の異なる編曲を学校教育の場で「ラモー作曲」と銘打っていることは疑問ですが、ぼくはこの素性怪しくも魅惑のガヴォットに今も心惹かれています。
 
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<ディスコグラフィ>(演奏者の姓または団体名のあいうえお順)
○レオン・グーセンス(オーボエ)、クラレンス・レイボウルド(ピアノ)[日本コロムビア(DB-768)](SP)
○グラモフォン・アンサンブル(オーボエ&チェンバロ)[Polydor(DCI-81922)](CD)
○呉山平煥(オーボエ)、三浦洋一(ピアノ)[キャニオン・レコード(L-1003~4)](LP)
○柴山洋(オーボエ)、前橋由子(チェンバロ)[日本コロムビア(CG-2754, CG-2762)](CD)※1
○鈴木清三(オーボエ)、中田一次(ピアノ)[日本コロムビア(AK-476)](SP)
○鈴木清三(オーボエ)、八木とよ(ピアノ)[日本コロムビア(CG-2857)](CD)
○似鳥健彦(オーボエ)、伴奏者不明(ピアノ)[東芝EMI(TS-3074)](EP)
○似鳥健彦(オーボエ)、青木紀子(チェンバロ)[ビクターエンタテインメント(VICS-61165)](CD)
○似島健彦(オーボエ)、菊地百合子(チェンバロ)[PIONEER(ONK-101)](LD)
○似鳥健彦(オーボエ)、伴奏なし[学研/日本コロムビア製作(PLS-1050)](LP)※2
○原正次(オーボエ)、今堀敬子(ピアノ)[キャニオン・レコード(C26G0037~38)](LP)
○広田智之(オーボエ)、曽根麻矢子(チェンバロ)[ビクターエンタテインメント(VIBS-10034)](DVD)
○ベルリン木管五重奏団[DG(MEY-2014)](LP)
○森明子(オーボエ)、内田真理(ピアノ)[NHKソフトウェア(NSDS-8357)](DVD)※3
 
※1伴奏楽器はCG-2754ではチェンバロ、CG-2762ではピアノと表記されていますが、実際は両盤ともチェンバロで、おそらく同じ演奏。CG-2762は誤記と思います。
※2無伴奏、冒頭部分のみ。
※3 鈴木友彦氏による、ラモーの原型を留めない大胆な編曲。
 
(参考文献)
○「文部省選定 鑑賞レコード解説全書・小学校編」(音楽之友社、1960年)
○「鑑賞用音楽レコード一覧表」(教育情報ナショナルセンター)
○「義務教育における戦後音楽科教科書の変遷に関する分析的考察(1)~小学校の鑑賞教材を中心として~」(高旗健次&高田明日香、論文、2007年) http://jairo.nii.ac.jp/0015/00004201
○「クラシック音楽は、なぜ〈鑑賞〉されるのか-近代日本と西洋芸術の受容」(西島千尋、新曜社、2010年)の曲目資料「鑑賞教材一覧表」 http://www.shin-yo-sha.co.jp/link/Kanshow-kyozai.pdf
 
前回更新日:2016年10月15日
最終更新日:2019年9月1日

「ラモーのガヴォット」完全攻略ガイド その1

<曲名>
ガヴォット(ラモー)
(その1)ガヴォット イ短調 : 鍵盤独奏
(その2)ガヴォット ホ短調 : オーボエ&鍵盤伴奏 小学校音楽鑑賞教材
(その3)ガヴォット ニ長調 : ヴァイオリン&鍵盤伴奏 スズキメソード第6巻
「ラモーのガヴォット」と言っても、それは「バッハのフーガ」「モーツァルトのメヌエット」と同じようなもので、該当する曲が多すぎてどのガヴォットなのか特定できません。世間一般で「ラモーのガヴォット」と呼ばれている有名曲は3つあります。
 
ところが、どれも誰でも知っているほどの超有名曲ではなく、しかもそれぞれ知られている層が異なるため、お互いに「ラモーのガヴォット」の話をしているつもりでも噛み合わないことが大いにあり得ます。そんなわけで、この問題を整理することがこのシリーズの目的です。
 
(その1)
ガヴォット イ短調
【出典】「新クラヴサン曲集」第3巻
1727年版(リンク先のComplete ScoreのFirst edition)
http://imslp.org/wiki/Nouvelles_suites_de_pi%C3%A8ces_de_clavecin_(Rameau,_Jean-Philippe)
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(構成)[各変奏の開始時間はロベール・ヴェイロン=ラクロワの演奏に基づく]
ガヴォット 0分00秒~
第1変奏 1分12秒~
第2変奏 2分08秒~
第3変奏 3分04秒~
第4変奏 3分57秒~
第5変奏 4分49秒~
第6変奏 5分40秒~
 
<演奏>
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ https://www.youtube.com/watch?v=8dvryV5rg_k (6分31秒)
ロベール・カサドシュ https://www.youtube.com/watch?v=YGeJEGWds7c (7分16秒)
ラモーの“ガヴォット”を聴いて、何と軽快であえかな曲だろうと聴き惚れた。それまでラモーの作品を私は知らなかった。昭和二十八年の夏、カサドシュの弾くスカルラッティのソナタ(六曲)のB面に、はじめて、十七世紀ごろフランスに興ったというこの舞曲を聴き、魅了されたものである。(五味康祐「天の聲-西方の音-」新潮社、1976年)
ラモーの音楽には、ルイ王朝の雅びと併せて今聴いても快いリズムがある。雅びは旋律ではなく遂にリズムだ、そう“ガヴォット”は言っている。血を流さぬ優雅さなぞあるわけはなかったのだろう。(同上)
最初に紹介するのはイ短調のガヴォットです。「ガヴォットと変奏」「ガヴォットとドゥーブル」とも表記され、冒頭に提示されるガヴォットを主題として6つの変奏曲がつづきます。ピアノ関係者や古楽関係者(チェンバロ)が「ラモーのガヴォット」と言えば、ほぼ例外なくこの曲です。このシリーズで紹介する3つのガヴォットでは唯一のオリジナル(編曲ではない)です。
 
動画サイトには子どものピアノ発表会の演奏が多数投稿されています。かく言うぼくも、レッスンで弾くことはなかったけど、全音ピアノピースを自分で買って練習しました。第6変奏では左手の親指と人差し指を交差させて弾くところが連続し、難所というほどでもないのですが、「おお~難しそうに見えるぞ~」と自己満足に浸ることができます
 
また、名指揮者オットー・クレンペラーが自ら編曲した管弦楽版を録音していることから、オーケストラリスナーにとっても「ラモーのガヴォット」と言えばこの曲です、間違いない。
 
最終更新日:2015年9月20日

即興曲作品142-2(シューベルト)

音楽を聴き始めたばかりの小学校高学年~中学生の頃は、FM番組のテーマ曲や校内放送で未知の曲に心を惹かれると(しかも曲名が分からない場合)、たいへんな苦労をして調べ当てたものでした。
 
大人になるにつれてそんな機会は少なくなっていきましたが、10年前のある日、あるテレビのドキュメンタリー番組で、ある老マエストロが弾いているピアノ曲にすっかり魅せられてしまいました。マエストロが自宅で、寛いた様子で、ときに微笑みながら心静かに奏でるピアノはちょっと古風な音色で、器用ではないけど暖かく、懐の深い響き。
 
ところが、曲名の紹介がない。今だったらブロ友さんに尋ねればすぐに教えてくれますが、当時はインターネットの使い方もろくに知らず、ぼくは音声をカセットテープにダビングして「レ●ード芸●」という雑誌の質問コーナーに「曲名を教えてください!」と書き添えて送りました。が、採用されませんでした
 
仕方なく、近所の図書館からピアノのCDを手当たり次第に借りてきて、でもなんとなく「これはシューベルトでは?」という気がしてきて(←ここが少年時代と違うところ)、的を絞るとすぐに見つかりました。
 
<曲名>即興曲変イ長調 作品142-2(シューベルト)
http://www.youtube.com/watch?v=KjbPIegSKqM (3分28秒)
★途中、インタビューの音声が入ります(0分59秒~2分33秒まで)
 
シューベルトの即興曲は全部で8曲あるそうです。すなわち、作品90(4曲)と作品142(4曲)。お恥ずかしながら、ぼくはそれまで作品90しか聴いたことがなかったのです。そんなわけで、ぼくにこの曲を教えてくれたのはマエストロです。自分でも弾いてみたいと思い、実家の妹(なんちゃって音大生)の楽譜の中からこっそり拝借して弾いてみましたが、まもなく挫折したことはこの際どうでもいい話です
 
2013年2月22日、マエストロ逝去。
 
(マエストロ)
指揮者という職業は実に恵まれています
これほど恵まれた職業は画家などごく限られたものだけです
自分の感性を音に託して表現し、それを聴く他の人々に影響を与え、感動を与え、
陽気にさせたり、悲しみを誘ったりできるのです
芸術の一部門として人々の情緒を動かし、楽しませたり悲しませたりできる
全ての職業の中で最も美しいものの一つなのです
 
(インタビュアー)
音楽をやめたら何をしますか?
 
(マエストロ)
なんだって?
音楽をやめることはあり得ません
音楽をやめたら私はもう生きていません
生きている限り、そして健康が許す限り
音楽に身を捧げていきます

万霊節の連祷(シューベルト)

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広い世の中ですが、人と人は意外なところでつながっているものです。ぼくの高校の同級生K君の大学院時代の先輩Nさんの高校時代の同級生の奥様が某ブロ友さんの元カノさんであるということは、ぼくと某ブロ友さんのみ知ることです(実話)。
 
<曲名>
万霊節の連祷 D343(シューベルト)
 
<演奏>
ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)、Vernon de Tar(オルガン)
http://www.youtube.com/watch?v=X_vM4TRsvyc (4分47秒)
 
ウィリアム・プリムローズ(1904~1982)はNBC交響楽団の首席奏者を務めた名ヴィオラ奏者で、ハイフェッツとの共演でも知られています。プリムローズ自身の編曲によるシューベルトの歌曲「万霊節の連祷」(Litanei)はぼくが最も好きなプリムローズの演奏。現代人の感覚では、シューベルトの歌曲としてはやや濃厚な表情ですが、深々としたヴィオラの音にぼくはただ黙って聴くことしかできません。
 
そんな世界的ヴィオラ奏者と、ぼくの父は一緒に食事したことがあるという!父の恩師だったDr.Heimがプリムローズと親交があり、プリムローズは晩年に東京芸大や桐朋で教えるために何度か来日していたので、おそらくその機会に若き音楽好きの父(なんちゃってチェロ弾き)が同席させてもらったのでしょう。つまり、ぼくの父の先生の友人がプリムローズ(で、そのまた友人がハイフェッツ)。Dr.Heimが亡くなったとき、ぼくはまだ幼かったけど、葬儀に参列した記憶がかすかに残っています。
 
世の中は狭い。

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