交響曲第1番(ベートーヴェン)

<曲名>
交響曲第1番ハ長調(ベートーヴェン)
 
ゆうちゃんのジュニアオーケストラの今年のメインはベートーヴェンの1番でした。ベートーヴェンの交響曲は「不滅の9曲」とか言われますが、1番はのちに大作曲家となった人の最初の交響曲だから大切にされるのであって、これが名曲とは思わない。第1楽章の序奏の和声進行とか、第4楽章の冒頭の一撃とか、聴衆を驚かせようと仕組んだハッタリは刺激に慣れた現代人(ぼく)には通用しない。
 
そんなふうに思っていたので、今年のメインが「ベト1」に決まったとき、ぼくは内心ガッカリしたのですが、CDは少なからず持っているので、取っ替えひっかえ聴いているうちにだんだん「いい曲だなぁ」と思ってきて、今となってはかなり好きな曲です♪(←昨年まで酷評していた人)
 
ゆうちゃんは一昨年に広島から引っ越して来て、このオーケストラの演奏会に乗るのは2回目です。今回の演奏会のパンフレットに指揮者の西本智実さんがコメントを寄せてくれていましたが、これまでの演奏会にも小林研一郎さんや小山実稚恵さんなど日本を代表する音楽家の方々からコメントをいただいています(注:出演したり、来てくれたわけではない)。
 
こう書くと、いかにも立派な団体のように見えますが、指導者の先生はプロオーケストラの現役奏者ですが、正団員は30数名、弦楽器も管楽器も欠員だらけで、日常の練習に参加するのは20名くらいで、その9割がヴァイオリンということも珍しくない。ヴァイオリン以外の弦楽器(ヴィオラ、チェロ、コントラバス)を習っている子は絶対数が少ないし、管楽器は中学や高校の吹奏楽部にはたくさんいるだろうけど、地域のオケに参加する子はほとんどいない。広島でもそうでした。
 
だから、「オーケストラ」とは名ばかりで、ふだんは「弦楽合奏団(ほとんどヴァイオリン)+α」というのが実態なのです。演奏会の直前と本番だけエキストラに来てもらってフル編成で臨みます。でも、これはこれでいい。ヴァイオリンは小学生が多く、練習場はまるで動物園です。何ヶ月もかけてやっと合奏を仕上げるから、他のパートは演奏会の直前に入るくらいでちょうどいい。年1~2回でもフルオーケストラに参加できるのは子どもたちにとって得がたい経験です。
 
管楽器のエキストラは先生のツテで呼んだ音大生のお兄さんお姉さんたちで、一応、「ジュニアオーケストラ」として違和感がない(?)。彼・彼女たちは少ない練習でもちゃんと合わせられるし、音も外さない。実力のある人は高いギャラを払わないと呼べないので、うちのオケのエキストラは「そこそこのギャラで来てくれる人」らしいけど、子どもたちのヴァイオリンには不釣合いなほどの(素晴らしい)腕前で、まったく、アマチュアオーケストラの演奏は管楽器で決まると言っても過言ではないとあらためて思った次第。ぼくなんかが、「あの~、実はぼくもオーボエやってました。親だったらノーギャラですよ
」なんて、言い出す余地はないのです(汗)
 
そんなわけで、エキストラの皆さんのおかげで予想以上の好演でした(しかしお客さんには長い交響曲よりもアンダーソンのほうがウケがよかったことは言うまでもない)。今年も残り数分。「第九」ならぬ「第一」の聴き比べ記事を書くつもりでしたが、今日聴いた演奏を列挙して逃げ切ります。良いお年をお迎えください。
 
<今日聴いた演奏>(録音年代順)
1)ウィレム・メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル【1930年録音、米Victrola(SP復刻)】
2)アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィル【1958年録音、EMI】
3)ヨゼフ・カイルベルト指揮バンベルク交響楽団【1959年録音、TELDEC】
4)フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団【1959~1961年録音、edel】
5)ヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン【1979年録音?、BRILLIANT】
6)ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団【1997年録音、RCA】
7)ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレ【1999年録音、TELDEC】
 
1)はポンちゃんさんの復刻。3)は堀内淳さん、5)と7)はハルコウさんからいただきました。ありがとうございました♪
 
(大晦日の過去記事)
【2009年12月31日】ヨーロッパ賛歌(ベートーヴェン/カラヤン編曲)
【2010年12月31日】交響曲第10番(ベートーヴェン)
【2011年12月31日】喜歌劇「こうもり」第2幕~ガラ・パフォーマンス
【2012年12月31日】ウィーンの夜会(ヨハン・シュトラウス2世/グリュンフェルト編曲)
スポンサーサイト



映画「レベッカ」(フランツ・ワックスマン)

イメージ 1
 
<タイトル>
レベッカ
 
【公開】1940年(アメリカ)
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【音楽】フランツ・ワックスマン
【キャスト】ジョーン・フォンテイン(ヒロイン)、ローレンス・オリビエ(大富豪マキシム役)ほか
 
映画「レベッカ」はヒッチコック監督の渡米第1作。レベッカというのは大富豪マキシム・ド・ウィンターの亡き前妻の名前で、映画のタイトルにもなっているのに最初から最後まで一度も姿を見せないわ、この大富豪の後妻となるヒロイン(ジョーン・フォンテイン演ずる)は最初から最後まで一度も名前を呼ばれないわ、事故死ということになっていた前妻レベッカの隠された真実が明かされても夫婦間でたいした問題になるでもないわ、一筋縄ではいかない。
 
率直に言って、この映画の最大の魅力はとろけるように甘美な音楽です、間違いない。フランツ・ワックスマン(1906~1967)はヨーロッパからアメリカに渡ってハリウッドで成功した一人。その点ではコルンゴルト(1897~1957)もそうでした。ワックスマンの名前はクラシック業界では唯一、サラサーテの有名曲と同じタイトルの「カルメン幻想曲」(→ http://www.youtube.com/watch?v=LKAwWVRBw5w)の作曲者として記憶されていますが、彼は生涯に144の映画音楽を手掛け、その中でも最高傑作と自ら語っていたのが「レベッカ」だそうです(MARCO POLOの1996年版カタログの紹介文による)。
 
<サウンドトラック盤>
アドリアーノ指揮チェコスロヴァキア放送ブラティスラヴァ交響楽団
【1990年録音、MARCO POLO】
http://ml2.naxos.jp/album/8.557549 (NAXOS移行盤)
 
これはもちろんオリジナル・サウンドトラックではなく、映画制作からちょうど半世紀を経て新たにレコーディングされたものです。当初はMARCO POLOから発売され、その後、NAXOSに移行しましたが、数年前に某クラシックCD専門通販ショップが実施した「NAXOS売上ワースト100」というセールに堂々登場していたことを、ぼくは見逃さない。
 
映画自体がパブリックドメインとなっていて、近所の本屋さんでもワンコインで売っているから、さすがのNAXOSも割高感があるし、ブラティスラヴァ響の演奏はいつもながら薄味。そんなわけで、英検4級のあなたには、YouTubeの英和対訳字幕&文法解説付きのありがたい動画がオススメ。
 
英語学習映画「レベッカ」04 http://www.youtube.com/watch?v=iQeUsZyzz0M
英語学習映画「レベッカ」06 http://www.youtube.com/watch?v=i8xdM3djl9A
英語学習映画「レベッカ」08 http://www.youtube.com/watch?v=HOketBbd2qA
 
英語学習映画「レベッカ」06より(0分35秒~)
I wish there could be an invention that bottled up the memory like perfume. And it never faded, never got stale, then whenever I wanted to, I could uncork the bottle and live the memory all over again.
(思い出を香水みたいに瓶の中に詰められたらいいのにね。決して色あせず、いつまでも新鮮で、好きなときにフタを開けて何度でも思い出を味わえる)
 
英語学習映画「レベッカ」08より(0分29秒~)
Oh, I do love you!I love you most dreadfully!I've been crying all morning because I thought I'd never see you again!
(愛しています!心から愛しています!午前中、ずっと泣いてたんです!もう二度と会えないと思って…)
 
主演女優ジョーン・フォンテイン、2013年12月15日逝去(享年96歳)
 
イメージ 2

純印度式カリーと水出し珈琲と大量のCDと私

【日時】2013年12月14日(土)19時~
【場所】新宿某所
【参加者】ハル●ウさん、FJさん、ほりUちさん、Loree(以上、あいうえお順)、あ●かさん(現物参加)
 
<戦利品>
○ピアノ協奏曲(シューマン)※、交響曲第4番(ブラームス)/ギーゼキング、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル(1942年録音※、1943年録音)
○交響曲第5番(チャイコフスキー)/小林研一郎指揮日本フィル
○交響詩「11月の森」「ティンタジェル」ほか(バックス)/ブライデン・トムソン指揮アルスター管
○ピアノ協奏曲第2番、第3番(ラフマニノフ)/バイロン・ジャニス、ドラティ指揮ミネアポリス響、ロンドン響
○ショパン・リサイタル/サンソン・フランソワ
○歌劇「ヘンゼルとグレーテル」全曲(フンパーディンク)/アンナ・モッフォ(ヘンゼル)、ヘレン・ドナート(グレーテル)、フィッシャー=ディースカウ(お父さん)、シャルロッテ・ベルトルド(お母さん)、クリスタ・ルードヴィヒ(魔女)、アーリーン・オジェー(眠りの精)、ルチア・ポップ(暁の精)ほか、クルト・アイヒホルン指揮ミュンヘン放送管、テルツ少年合唱団
■ピアノ協奏曲第20番、交響曲第41番(モーツァルト)/バレンボイム(Pf&指揮)、ベルリン・フィル
■≪よみがえる自作朗読の世界≫/北原白秋、与謝野晶子、斎藤茂吉、高浜虚子、堀口大學ほか
 
<Loree出品>(わらしべ)
○交響曲第40番[クラリネット無し版]、第41番(モーツァルト)/ペーター・マーク指揮パドヴァ・ヴェネト管
○≪フレンチ・コンサート≫魔法使いの弟子(デュカス)ほか/デュトワ指揮モントリオール響
○≪ミッドランドスクエア誕生記念コンサート≫/沼尻竜典指揮名古屋フィル[非売品]
○ピアノ協奏曲第1番(チャイコフスキー)/ブロンフマン、ヤンソンス指揮バイエルン放送響[非正規盤]
■アンドレ・プレヴィン
1)≪ミスティ≫ http://www.amazon.co.jp/dp/B002IUBFMW
2)≪ポピュラー・プレヴィン≫ http://www.amazon.co.jp/dp/B002IUBFM2
■サイモン・ラトル[Live]
1)交響曲第5番(ベートーヴェン)/ウィーン・フィル 2000年12月3日録音
2)ピアノ四重奏曲第1番(ブラームス=シェーンベルク編曲)/ベルリン・フィル 2004年4月27日録音
■別府アルゲリッチ音楽祭[Live]
1)ピアノ協奏曲第1番(リスト)/岩村力指揮桐朋学園オーケストラ 1999年11月12日録音
2)ピアノ協奏曲第1番(チャイコフスキー)/パッパーノ指揮東京芸術大学 2001年4月22日録音
3)ピアノ協奏曲(ラヴェル)/デュトワ指揮東京芸術大学 2002年4月29日録音
4)愛の悲しみ(クライスラー)/ゲザ・ホッス(Vn)、アルゲリッチ(Pf) 2002年4月29日録音
■小澤征爾(1)~(3)[Live]樫本大進(3)~(5)[Live]
1)交響曲第2番(ベートーヴェン)/水戸室内管 2001年3月5日録音
2)ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)/マーカス・ロバーツ・トリオ、ボストン響、1999年5月5日録音
3)ヴァイオリン協奏曲~第3楽章(チャイコフスキー)/樫本大進、ボストン響 1999年5月5日録音
4)憂鬱なセレナード(チャイコフスキー)/樫本大進(Vn)、児嶋一江(Pf) 1999年1月15日放送
5)序奏とロンド・カプリツィオーソ(サン=サーンス)/樫本大進(Vn)、児嶋一江(Pf) 1999年1月15日放送
■「イタリア協奏曲」聴き比べ
1)カール・リヒター(チェンバロ) 1969年11月録音
2)ジャック・ルーシェ・トリオ 1960年代前半
3)スタニスラフ・ブーニン(ピアノ) 1990年2月録音
4)グレン・グールド(ピアノ) 1959年6月22~26日録音
5)「3声のシンフォニア」 グレン・グールド(ピアノ) 1964年3月18~19日録音
(■=特製CD)

シャコンヌ(パーセル)

<曲名>
シャコンヌ ト短調 Z.730(パーセル)
from Fantasies and In Nomines
 
父が所属する弦楽合奏団でパーセルの「シャコンヌ」を演奏することになって、CDのリクエストがあったので探してみたら3枚ありました。「シャコンヌ」とは、固執低音をもつ3拍子の変奏曲で、これまで取り上げてきたのはヴィターリをはじめ、ヴァイオリン独奏と通奏低音の曲がほとんどでしたが、これは弦楽合奏の曲です。ブリテンの編曲版によって、古楽専門ではない弦楽合奏団にもわりとよく演奏されます。
 
<演奏>
アカデミア・ビザンチナ
 
先ずはYouTubeのライヴ映像から。コンマスのステファノ・モンタナーリ(Stefano Montanari)の素晴らしいリードに目が釘付け!なんと力強く、アクティブなシャコンヌ。ブリテン版で演奏すると約7分を要するのに対し、正味4分を切るこのテンポは数字だけ見ると猛烈な速さですが、強い意思と必然性を感じます。通奏低音をブンブン鳴らすのも気持ちいい。ちなみに、モンタナーリのfacebookを見ると、あんまり更新されている様子はないけど、バイクに乗ってる写真とかアップしていて、私生活もカッコイイ感じ。男は髪じゃない。
 
イメージ 1
 
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
Enrico Onofri(Vn)、Marco Bianchi(Vn)、Alessandro Tampieri(Vla)、
Paolo Beschi(Vc)、Luca Pianca(Archlute)、Riccardo Doni(positive organ)
【2001年録音、Warner Classics(2564 63264-2)】
http://tower.jp/item/tracks/2029047
http://www.youtube.com/watch?v=E03FH1CI6Dc (4分54秒)
 
11枚組BOXの9枚目(Baroque Masterpieces)に入っているのを発見。ぼくはこの団体を誤解していました。ずいぶん前に「四季」を聴いて(このBOXにも入っています)、特に「冬」の前代未聞の過激な解釈は確かにおもしろいけど、聴き手を驚かせることに重点を置いていると感じた。ところが、このシャコンヌ!肩の力が抜けた柔らかく暖かい響き、メリハリはあるけどトゲトゲしさのない心地よい付点のリズム。こんなに美しい曲とは思わなかった。
イメージ 2
ムジカ・アンティカ・ケルン
Florian Deuter(Vn)、Reinhard Goebel(Vn)、Victoria Gunn(Vla)、
Markus Möllenbeck(Vc)、Christian Rieger(Cem)
http://amzn.com/B0000057FT (試聴できます。4番目のトラックです)
【1995~96年録音、Archiv(UCCA-3121)】
 
ムジカ・アンティカ・ケルン(略してMAK)は辛口のシャコンヌ。ぼくは前述のアカデミア・ビザンチナのようなキレ味鋭い演奏を想像していたのですが、MAKはくすんだ音色で多用するテヌートとメリハリのある付点の対比が個性的。前二者とは異なり、通奏低音にオルガンではなくチェンバロを使っていることもあって、なんとなく寒々しい。
 
レナード・スラットキン指揮ロンドン・フィル(ブリテン編曲版)
 
たぶん、父の合奏団はこのスタイルでしょう。だから、父には同じブリテン版のルドルフ・バウムガルトナーを渡したのですが、上に挙げた古楽団体(これも三者三様)とは表情もテンポも、何もかも違う。ブリテン版は同じ弦楽合奏なのにもはや別の曲です。むしろ、パーセルの歌劇「ディドーとエネアス」の最後のほうでディドーが歌うラメントに近い(ストコフスキー編曲版→ http://www.youtube.com/watch?v=NDibVYGTFd4)。
 
さてこれから毎日、ゆうちゃんに古楽団体の演奏を聴かせて、父のコンサート当日に同じ曲と気づくかどうか?気づかないに1票

プロフィール

violin20090809

Author:violin20090809
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR