シャコンヌ(ヴィターリ)/オイストラフ親子3代

<曲名>
シャコンヌ(ヴィターリ)
 
<演奏>
(1)ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、ウラディミール・ヤンポルスキー(Pf)【1950年録音、MELODIYA】
(2)ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、ウラディミール・ヤンポルスキー(Pf)【1952年録音、MELODIYA】
(3)イーゴリ・オイストラフ(Vn)、Abram Makarov(Pf)【1954年録音、Le Chant du Monde】
(4)ヴァレリー・オイストラフ(Vn)、ウルリヒ・グロッサー(Org)【2005年録音、MUSICOM】
 
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(1)ダヴィッド・オイストラフ&ウラディミール・ヤンポルスキー
http://www.amazon.co.jp/dp/B0001LGF02
http://www.youtube.com/watch?v=i4B1ifcWa9o (10分14秒)
 
ダヴィッドのヴァイオリンはズッシリとした手応えのある音で、まるで仁王立ちの弁慶のごとく圧倒的な存在感。しかし、動かざること山の如しではなく、熱い血が通い、テンポも表情もこまやかに変化し、ときには涙も流す。ゆうちゃんが幾つか聴いた演奏のうち「これが一番、私に近い!」と反応したことにぼくが絶句したのは言うまでもない。
 
上の画像と演奏は(1)です。(2)のライヴ録音は、以前に乙貝さんから教えていただき初めて存在を知りました。使用譜は(1)と同じくシャルリエ版。解釈の違いよりもテンションの違いが印象的で、テンポを煽りさえする。貴重な録音を提供してくださった乙貝さんに、あらためて御礼申し上げます。
 
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(3)イーゴリ・オイストラフ&Abram Makarov
 
ダヴィッドの息子イーゴリは父子共演のバッハのドッペルなどで「親の七光り」のように知られますが、彼自身がヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝した実力のあるヴァイオリニスト。しかしぼくは、以前たまたま聴いたイーゴリのある録音に惹かれず、彼に対する関心を失いました。
 
このヴィターリもしばらく聴かずに放ったらかしにしていたのですが、先日仕方なく(?)聴いてみたら、なんと凄いヴァイオリン!頼りなさそうな外見に騙されてはいけない。父ダヴィッドの録音(1)からわずか4年後。使用譜(シャルリエ版)も密度が濃いダークな音も父譲りですが、父が熱いハートを内に秘めつつも悠然たる構えを崩さないのに対し、イーゴリは激情を隠そうともしない。シャルリエ版にはもともとそういう要素があると思いますが、これほどまでに高い技術と集中力と燃焼度をもってその本質に迫る演奏をぼくはほかに知らない。
 
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(4)ヴァレリー・オイストラフ&ウルリヒ・グロッサー
 
ダヴィッドの息子イーゴリの息子(つまり、孫)。ヴァレリーはザハール・ブロンに師事し、日本の某コンサート・マネジメント会社のサイトでは「ヴィエニャフスキ国際コンクール優勝」と紹介されていますが、かつて祖父ダヴィッドが第2位入賞し、父イーゴリが優勝した同コンクールの歴代入賞者にヴァレリーの名前を見つけることはできないのは…なんでだろう~♪ヴァレリーの公式サイトでは“winner at the All-Russian Competition of the former Soviet Union and the Tibor Varga International Competition in Switzerland, among others”と記載されています。
 
ヴァレリーのヴァイオリンには「オイストラフ」の名前から連想する重量感も押しの強さも感じないけど、これがヴァレリー本来の芸風かどうかは分かりません。このアルバムは、バッハのコラールとか「G線上のアリア」とか、シューベルトのアヴェ・マリアとか、要するに「祈り」「安らぎ」といったテーマで貫かれているので、最後のトラックに置かれたヴィターリもその延長線上で弾いているのは当然のことです。(同じアルバムの「G線上のアリア」→ http://www.youtube.com/watch?v=3TbMeEgCds4
 
また、使用譜は親子3代ともシャルリエ版ですが、ヴァレリーの共演オルガニストは同版を使用せず、まったく独自のバロックの通奏低音風の控えめな和声付けに留めているので、シャルリエ版の劇的要素は薄まり、すでに心地よい眠りについた聴き手を起こさないように配慮が行き届いています(?)。テンポもゆったりしていて、なんと12分半。これほどまでに穏やかなヴィターリをぼくはほかに知らない

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ヴァイオリン協奏曲(カバレフスキー)

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旧ソ連の作曲家と言えば、プロコフィエフ(1891~1953)、ハチャトゥリヤン(1903~1978)、ショスタコーヴィチ(1906~1975)の名前が思い浮かびます。ちなみにラフマニノフ(1873~1943)、ストラヴィンスキー(1882~1971)もロシア出身ですが、欧米に亡命したので「ソ連の作曲家」として挙げるには微妙な感じがします。
 
このように並べると、カバレフスキー(1904~1987)はなんとなく影が薄い。個人的な記憶ですが、小学校の音楽室で見た音楽史年表で唯一、没年が空欄だったことが最大のインパクトと言っても過言ではありません。そんなわけで、ぼくは今も反射的に“存命”と錯覚してしまいますが、小学6年の冬(1987年1月)に亡くなっていたことを大人になってから知りました。
 
しかし、その影の薄さ(?)にも関わらず、カバレフスキーの音楽は日本中の多くの人の耳に馴染んでいます。「道化師」のギャロップ(→ https://www.youtube.com/watch?v=wGYdeXRCD1c )は、同じタイトルのレオンカヴァッロの悲劇的なオペラとは真逆の屈託ない明るさで、運動会とかTVのバラエティ番組では定番中の定番です。「道化師」が例外ではなく、カバレフスキーはこういう曲で本領を発揮する人なんだと思います。
 
<曲名>
ヴァイオリン協奏曲ハ長調(カバレフスキー)
 
<演奏>
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ドミトリー・カバレフスキー指揮USSR国立交響楽団【1949年録音?OMEGA CLASSICS】
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=DxF9qDKpw8Y (4分14秒)
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=ZKGDphA1bVY (6分29秒)
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=GtUYZ5Hb3og (5分26秒)
 
ゆうちゃんがヴィターリの次に弾いた曲がおもしろい。カバレフスキーのコンチェルトなんて、年季の入ったクラシック通の人が知らないと告白してもぼくは驚きませんが、「あたらしいバイオリン教本」(※)に含まれていて、全国のヴァイオリン少年少女におなじみです、間違いない。やんちゃ少年の冒険物語のように目まぐるしく動きまわる音符たちはすっかりゆうちゃんのツボにハマって、勉強中も口ずさんでいます。
 
今日のレッスンをもって全楽章仕上がったそうで、次の曲をもらってきたゆうちゃん。
 
ぼく:次は何の曲?
ゆうちゃん:「SONATE」って書いてあったよ。
ぼく:誰のソナタ?
ゆうちゃん:えっ、誰だっけ。
 
ゆうちゃん、興味をもとう(涙)
 
 あたらしいバイオリン教本 http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=474006

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