2015/07/26
コンチェルト・ソナタ(ヴェラチーニ)/ローラ・ボベスコ
先週の土曜はPちゃんさんとともにibotarow先生のご自宅におじゃまして、レコード三昧の6時間。こちらは座ったまま飲んで食べて聴いての至福のひととき、先生は取っ替えひっかえレコードをかけてくださる労働のひととき。いつもながら、申し訳ございません

(今回聴かせていただいたレコード)【順不同】
ヴァイオリン・ソナタ ホ短調(ヴェラチーニ)~全楽章 ボベスコ(Vn)[同演異盤3種類の聴き比べ]
ヴァイオリン・ソナタ ホ短調(ヴェラチーニ)~第3楽章&第4楽章 ティボー(Vn)★
リゴレット・パラフレーズ(リスト) パハマン(Pf)★
ヴァイオリン協奏曲第1番(バッハ)~全楽章 ボベスコ(Vn&指揮)
ブランデンブルク協奏曲第5番(バッハ)~第1楽章 リステンパルト指揮[新旧録音の聴き比べ]
合奏協奏曲作品6-6(ヘンデル)~全楽章 リステンパルト指揮
フルート協奏曲第1番K313(モーツァルト)~第1楽章 ランパル、リステンパルト指揮▲[日仏両盤の聴き比べ]
ヴァイオリン協奏曲第6番K268(モーツァルト)~第1楽章 バルヒェット(Vn)▲
管楽器のための協奏交響曲K297b(モーツァルト)~第1楽章 リステンパルト指揮
交響曲第39番K543(モーツァルト)~全楽章 リステンパルト指揮
グラスハーモニカ五重奏曲K617(モーツァルト) リリ・クラウス(チェレスタ)ほか
ピアノ、クラリネット、ヴィオラのための三重奏曲K498(モーツァルト) リリ・クラウス(Pf)ほか
★=ポンちゃんさん持参のSPレコード
▲=Loree持参のLPレコード(ランパルは日本盤)
というわけで、偶然にも(?)ヴェラチーニのソナタのこと(前回記事)を書いたその日にボベスコの同演異盤を3枚、さらに偶然は重なり(?)、PちゃんさんもティボーのSPを持参してくださって、計4枚の聴き比べをさせていただきました。
ボベスコのオリジナル盤はベルギーのAlphaというレコード会社だそうですが、同じ演奏が様々な国でプレスされ、様々なカタログ番号で発売されています(下記参照)。先後関係は不明です。のちに日本コロムビアから発売されたレコードも合わせて、聴かせていただいたのは■印の3枚です。
ベルギーAlpha DB177[ベルギー製]
ベルギーAlpha DB177 [英DECCA製、MONO](SpectrumからCD復刻)
ベルギーAlpha DB177 [英DECCA製、STEREO]■
ベルギーAlpha CL3008 [フランス製、MONO]■
ベルギーAlpha CL4008 [フランス製、STEREO](グッディーズからCDR復刻)
日本コロムビア NCC-8003-AX [日本製、STEREO]■
(すべてLPレコード)
ぼくは以前から「再生音」の違いを聴き分ける能力がないと自認していて、レコードのプレスとかオーディオには無頓着ですが、この3枚のボベスコの色合いの違いはそんなぼくの耳でも一聴しただけで明らか!焼き鳥の塩とタレくらいの違いと言っても過言ではない。詳しくはibotarow先生の記事「ボベスコのl'age d'or du violon」をご参照下さい(→ http://ibotarow.exblog.jp/21976148/ )。
<曲名>
ヴァイオリン・ソナタ ホ短調(ヴェラチーニ)
<演奏>
ローラ・ボベスコ(Vn), ジャック・ジャンティ(Pf)【1962年録音】
第1楽章 Ritornello
第2楽章 Allegro con fuoco
https://www.youtube.com/watch?v=GCwOO5NAmoY
第3楽章 Menuet e gavotta
第4楽章 Giga
https://www.youtube.com/watch?v=XiOcKOVA9YM
テイチク(CD) https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-10-4988004011603
Spectrum(CD) http://www.amazon.co.jp/dp/B00KKCCCD6
goodies(CDR) http://shinshuu.com/dsda/index.php?f=&ci=10026&i=300539
ぼくがこの演奏を初めて聴いたのは3年前。PスピエさんからCDをいただき、ボベスコの華奢ながらも伸びやかでチャーミングなヴァイオリンに魅了されたのでした。そしてなんと!同じ日本コロムビア盤をibotarow先生から些少の缶ビールと「等価交換」していただきました(本当は明らかに「不等価」ですが、そう書けと言われました)。この演奏をレコードでも聴けるようになって、感激です

演奏はダーフィト編曲系の4楽章構成。しかし、ジャンティのピアノは必ずしもダーフィト版に忠実ではなく、第1楽章の前奏などドラマチックでダイナミックなピアノ独奏を両手のユニゾンに変更しているので、ダーフィト版を聴き慣れた人は肩透かしを食らうでしょう。彼はおそらく、あれはいくらなんでもバロック離れしているし、ボベスコのヴァイオリンを引き立てるためにピアノは抑え気味でいいと思ったのかもしれません。それは一つの見識と言うべきです。なお、ボベスコとジャンティは夫婦で、のちに離婚したそうです。なぜ離婚したのでしょうか。この録音当時はどうだったのでしょうか。知りません

この演奏の録音年については情報が錯綜していますが、ここでは1962年説を信じます。これまでに市場に出たCDは、テイチク(1989年発売)、Spectrum(昨年発売)、goodiesのCDR(今年発売)があり、最も入手容易なのはSpectrumですが、これは要注意。使用原盤はモノラルで、それはよいのですが、曲ごとにピッチが変わり、日本コロムビア盤と比べるとヴェラチーニの音はほぼ半音低く、ヘンデルのソナタはさらに低い。謎です。
<演奏>
ローラ・ボベスコ(Vn), 岩崎淑(Pf)【1983年3月2日録音(Live)】
第1楽章 Fantasia, Largo
第2楽章 Allemanda
第3楽章 Pastorale
第4楽章 Gigue
TDKコア(CD) http://www.amazon.co.jp/dp/B000JFZ93O
TOKYO FM(CD) http://www.amazon.co.jp/dp/B00Z98JIPG
TOKYO FM(LP) http://www.amazon.co.jp/dp/B00RGE9Q6W
エフエム東京によって収録された来日公演。当盤(TDKコア)のジャケットには「ヴァイオリン・ソナタ ホ短調(ヴァイオリンと通奏低音のためのアカデミック・ソナタ集op.2より第8番)」、さらに解説書では「組曲op.2-8」と記載され、曲名が錯綜しているうえ、各楽章の表記も通常とまったく異なります。謎です。