2016/01/30
完全なるディスコグラフィへの道 その3
前回のつづきです。ディスコグラフィとは、ディスクの形で残された録音を悉く調べ上げることが本分ですが、現実には「取捨選択」の苦渋の判断から逃れることができません。問題はアマチュアの取り扱いです。学生オケでも市民オケでも、また、子どものピアノやヴァイオリンの発表会でも、多くの団体や個人が自分たちの思い出のためにCDやDVDを製作します。
それらの演奏をディスコグラフィの対象とするべきかどうか。いつ誰がどんなものを録音しているのか、世界中と言わず国内に限っても完全なる情報収集は「不可能」と言っても過言ではないでしょう。キリがないから「アマチュアは対象外」と線引きすることは妥当な判断という気もしますが、多くの場合、オケはアマチュアでも「指揮者はプロ」です。それを有名無名で線引きするなら「主観」「恣意的」の謗りを免れない。
【ケーススタディ】プロ指揮者と学生オーケストラの録音(非売品)
交響曲第8番(ブルックナー)
朝比奈隆指揮名古屋大学交響楽団(1976年1月20日録音)
(試聴できますが、自己責任でお願いします)
We conclude our survey of Japanese recordings from the LP era with the third in a series of recordings by the Nagoya University Orchestra. The orchestra pressed LPs of their performances and some, conducted by well known conductors have become big collectors items. My thanks to a collector in Sapporo for making this available. This month features a performance of the Bruckner Symphony No. 8 conducted by Takashi Asahina. The performance was given on January 20, 1976 in Nagoya Citizen Hall.(リンク先より)
そもそもディスコグラフィにアクセスする人は、そのターゲットに並々ならぬ関心をもつ同好の士のはずで、たとえ大学オケのプライベート盤であろうと、朝比奈の秘蔵ライヴには絶大な情報価値があります。もし、苦渋の判断で「市販品のみ対象」と切り捨てるならば、アマチュアの録音でも堂々市販されるものは対象となる一方で、前回紹介したような「プロの非売品も対象外」となることは覚悟の上か。
【ケーススタディ】プロ指揮者と学生オーケストラの録音(市販品)
ロメオとジュリエット(チャイコフスキー)、ローマの松(レスピーギ)、ラプソディ(外山雄三)、ほか
高関健指揮早稲田大学交響楽団(1986年2月録音)
【ケーススタディ】プロのソリストとプロ指揮者と学生オーケストラの録音(市販品)
ヴァイオリン協奏曲(チャイコフスキー)、チゴイネルワイゼン(サラサーテ)
徳永二男(Vn)、石丸寛指揮九大フィルハーモニー・オーケストラ(1989年12月7日録音?)
【ケーススタディ】プロのソリストがアマチュア時代にプロオケと共演した録音(非売品)
ミッドランドスクエア誕生記念コンサート ~全日本学生音楽コンクール歴代1位受賞者を迎えて~
ハバネラ(サン=サーンス)
成田達輝(Vn、当時:中学3年生)
沼尻竜典指揮名古屋フィルハーモニー交響楽団(2007年3月29~30日録音)
(次回につづく)