追悼

ゆうちゃんは16歳、高校1年生です。今日はジュニアオーケストラの定期演奏会でした。
 
【曲目】
○ディヴェルティメントK136(モーツァルト)
○美しく青きドナウ(ヨハン・シュトラウス2世)
○交響曲第5番(ベートーヴェン)
○ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス1世)[アンコール]
 
ゆうちゃんのオケ歴は長く、すでに人生の半分以上。このオケには東京に来てから入れてもらい、定演に乗るのは4回目です。実はオケとは名ばかりで、ふだんは弦楽合奏団(しかもほとんどVn)ですが、定演の直前と本番だけエキストラで増強してシンフォニーをやります。今回は総勢50名編成で、なんとエキストラのほうが多かったけど、年1回でもフルオーケストラで弾けるのは子どもたちにとって大きな経験です
 
指導者は日本フィルのファゴット奏者N先生とその奥様(Vn教師)を中心に4名体制で、家族的な運営で10年にわたって活動してきて、今回も本番まであと1ヶ月という、例年と同じようにエキストラも含めた合奏練習が始まる時期にN先生が急逝。通夜で号泣する子どもたちを見て、子どもたちがN先生を心の底から慕っていたことがよく分かった。
 
そして、この窮地を救ってくれたのは日本を代表するマエストロ、O氏。亡くなったN先生とは趣味(クルマ)つながりの旧友だそうですが、リハーサルは前日と本番当日だけで演奏解釈は急変。N先生は歯切れよく元気いっぱいの芸風だったけど、救世主は慌てず騒がずエレガント。例えば、ベートーヴェンの第2楽章でハ長調に転じる爆発もごく自然な流れに、また、この楽章の最後、これまで短く切るように仕込まれてきた音も長めに取ることに。指揮者が変わると解釈はこんなに変わるのかと、図らずも子どもたちには強烈な体験となった模様。メンバーの中学生の女の子の「N先生は最期まで私たちに宝物を遺してくれた」という言葉はきっと関係者みんなの気持ちを表しています。合掌。
 
♪ひばりタイムス
 
【余談1】
昨日のリハーサルの休憩中、誰かが持ってきたお菓子をメンバーで分け合い、残りものをマエストロに持って行く小学生。「O先生、これ、余ったから、どーぞ!」(マエストロ、苦笑

 
【余談2】
本番後、身の回りのものにマエストロからサインしてもらう子どもたち。ある子がスマホに書いてもらうのを見た中学生。「それ、売れなくなっちゃうじゃん!」(マエストロ、苦笑

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4台のピアノのための協奏曲BWV1065(バッハ)

もしもタイムマシンがあったら、バッハが1729年(44歳)から10年以上にわたって指導したライプツィヒの学生オーケストラ「コレギウム・ムジクム」のコンサートを聴いてみたい。
 
どんな曲が演奏されたのか?プログラムの記録は残っていませんが、コンサートは毎週おこなわれたそうで、バッハが新作を毎回供給できるペースではないし、そもそもバッハの本職は教会の音楽監督で、学生オケの指導は趣味みたいなもんだったでしょう。
 
そこで、バッハは旧作のヴァイオリン協奏曲などをチェンバロ協奏曲にアレンジして使うことを考えた。なぜわざわざソロ楽器をチェンバロに置き換える必要があったのか?それは「コレギウム・ムジクム」にはヴァイオリンのソロを担える人材がいないけど、チェンバロだったらバッハの息子たちとか弟子たちに任せられるから。ぼくはこの仮説には強い説得力があると思います。
 
<曲名>
4台のピアノのための協奏曲イ短調BWV1065(バッハ)
【原曲】4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調~「調和の霊感」作品3-10(ヴィヴァルディ)
 
しかしこの編成はあまりにも異常。おそらく「ソリスト4人」という条件ありきで、バッハ自身の旧作には適当なものがないからヴィヴァルディの作品を(勝手に)借用したのでしょう。コンサート会場のコーヒー店「ツィンマーマン・カフェハウス」にまさか4台ものチェンバロが常設されていたわけではないだろうから、これが演奏された当日はきっと関係者が見守る中、朝から次々とチェンバロが搬入され、調律し、リハーサルがおこなわれたことでしょう。この非日常の光景にバッハ自身も興奮しなかったはずがない!
 
そんなわけで、本番当日しか合奏練習できないこの作品はほとんどチェンバロソロ頼みの進行で、ヴィヴァルディの原曲のヴァイオリンソロパートを単純にチェンバロに置き換えるだけでなく、バッハ独自の加筆はもちろん、オーケストラの音符も大胆に刈り込んでチェンバロに移管。その結果、オーケストラはスカスカです(笑)
 
こんな特異な曲はやはり特別な機会に演奏されたはずです。例えば、コンサート●回記念とか、メーカーと提携した楽器販促イベントの目玉企画とか、バッハの息子か弟子が就職などでライプツィヒを離れるときの送別コンサートとか…もしもタイムマシンがあったら、ぜひそこに居合わせたい!

<演奏>
マルタ・アルゲリッチ(第1ピアノ?)
エフゲニー・キーシン(第2ピアノ?)
ジェイムズ・レヴァイン(第3ピアノ?)
ミハイル・プレトニョフ(第4ピアノ?)
ヴェルビエ音楽祭
【2003年7月22日、RCA(DVD)】
 
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<演奏>
クリストフ・エッシェンバッハ(第1ピアノ&指揮)
ユストゥス・フランツ(第2ピアノ)
ゲルハルト・オピッツ(第3ピアノ)
ヘルムート・シュミット(第4ピアノ)[西ドイツ元首相]
ハンブルグ・フィル
【1985年2月録音、DG】
http://www.amazon.co.jp/dp/B003UJXS98 (試聴できます)
 
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<演奏>
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(第1ピアノ)
フリッツ・リーガー(第2ピアノ)
ルドルフ・ケンペ(第3ピアノ)
ラファエル・クーベリック(第4ピアノ&指揮)
バイエルン放送交響楽団
【1972年11月、リハーサル、DREAMLIFE(DVD)】
 
<演奏>
ジャン=ベルナール・ポミエ(第1ピアノ?)
ワルター・クリーン(第2ピアノ?)
ユストゥス・フランツ(第3ピアノ?)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(第4ピアノ?&指揮)
チェコ・フィル
【1971年8月15日録音】

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