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愛の喜び(マルティーニ)

イメージ 1
 
<曲名>
愛の喜び(マルティーニ)
この非常に有名で、初歩の声楽学習者がかならずと言ってよいほど、レッスンで歌わされたりする歌曲は、古くから<イタリア歌曲集>に編入されているが、じつは、作曲家ジョヴァンニ・パオロ・マルティーニ(G. P. Martini、1741~1816)というのは、ドイツの教会オルガニストでフランスでオペラや宗教曲を作り、パリでなくなったヨハン・パウル・シュワルツェンドルフ(J.P.A.Schwartzendorf)のペン・ネームだった。しかし、名前がイタリア名であるため、18世紀イタリアの聖楽作曲家ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ(G. B. Martini、1706~1784)とまちがわれたのだった。(小林利之、ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスの国内盤LP解説より)
これは歌う時にはぜひ気をつけていただきたい名曲というのをひとつご紹介しよう。(中略)気をつけていただきたいというのは、これがその標題とロマンティックなメロディのせいか、結婚式などでよく使われるからなのである。いわゆるBGMとして、メロディだけが流されている場合はまだよい。ところが、少しばかり喉に自信のある人が原歌詞で歌うような場合、その内容を尋ねられたりしたら大変なことになるのである。その歌詞は、なんと「愛の喜びは、ほんのひとときのこと。愛の苦しみは、一生続く。不誠実なシルヴィアなど忘れてしまおう。彼女はもう私を捨てて、他の男のところへ走ってしまった…」というのである。何のことはない。失恋した男の歌なのである。(宮本英世「名曲とっておきの話」音楽之友社、1987年)
今夜は同僚の披露宴。別に他意はないけど(間違いない)、この曲のことを思い出した。クライスラーの「愛の喜び」とはまったく無関係の古典歌曲。マルティーニという作曲家は2人いて、かつては作曲者が取り違えられていたらしく、今でも間違っているほうのマルティーニの名前で販売されている楽譜やCDが散見される。音楽史上でより大きな影響力を持っていたのは間違っているほうのマルティーニ(G. B. Martini)なのに、「愛の喜び」が彼の曲ではないゆえに偽者扱いされていることには同情を禁じ得ない。
 
<演奏>
ジャック・ゲステム(ヴァイオリン)、ラオール・ゴラ(ピアノ)【1950年代録音、仏PHILIPS】
www2.ttcn.ne.jp/eterna/CDR048-050.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=PKktrpbGGXg (3分17秒)
 
なんて魅力的なジャケット!これはヴァイオリンの演奏で歌詞がないから今日聴いても問題ない(?)ジャック・ゲステムという人は1950年代にフランスのPHILIPSに10インチ(小さめのサイズ)のレコード3枚の小品集を録音し、のちにパレナン四重奏団の第2ヴァイオリン奏者を務めたということ以外、経歴不明らしい。てゆーか、ぼくはパレナン四重奏団も知らない。
 
しかし、彼のオリジナルLPは中古市場ではベラボーな高値で取引されていて、これを買うつもりならサラリーマンは当分の間、ランチ抜きを覚悟しなければならない。その演奏は、予備知識なく聴いたら何の邪心もない真摯で素直な音が右から左へ抜けていくが、市場価格を知ってから聴くと、神々しいまでの品格に打たれ、「芸術とは何か」を深く問わずにはいられなくなる。
 
イメージ 2
 
<演奏>
エルヴィス・プレスリー
http://www.amazon.co.jp/dp/B0000844G3
https://www.youtube.com/watch?v=5V430M59Yn8 (3分02秒)
 
エルヴィス・プレスリーという人のことは名前くらいしか知らないけど、彼のバラード「好きにならずにいられない」(Can't Help Falling In Love)がマルティーニの「愛の喜び」のリメイクというのは有名な話。というわけで、初めて聴いてみました。
 
こっちのほうがいいな。
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コメント

No title

そうこの曲は失恋した男の恨み節です。余程、背景を知ってからでないととりあげるべきではないです。自分の結婚式の時にワーグナーの婚礼の合唱やメンデルスゾーンの結婚行進曲は拒否しました。

No title

君の結婚記念の日は僕の誕生日です。

No title

誰かが自分の結構披露宴で「花の歌」弾いたらしいが、何を勘違いしたのか、その友達にピアノを弾いてくれと頼まれて、同じ曲を弾いたらしい。その人の結婚記念日は12月1日だったらしいが、珍しく積雪して、本当にお足もとが悪かったらしい。
どうでもいい話でした・・・

No title

ジャック・ゲステムの小品集は、かつてフでィリップスの900円の廉価LPグロリア・シリーズ「楽しいヴァイオリンの調べ」などとして何度も出ていたので、近年の「高価稀少盤」扱いには驚いています。
現在では米スペクトラムや専門店が個人的に制作している復刻CDRでも入手可能になりました。でも私は昔の廉価LPで聴くのが楽しいです。これは美女ではなく、3歳くらいの外国人の男の子と女の子が公園で内緒話をしている写真があしわれていて、いかにも60年代という感じです。

No title

SL-Maniaさん)
メンデルスゾーンの結婚行進曲は音楽好きの方であれば無条件採用派と断固拒否派に二分されそうです。ぼくの場合、この曲に特に思い入れはないのに、ちょっと保守的だったかもしれません
昨日もそうでしたが、最近の披露宴ではマルティーニどころかクラシック自体ほとんど使われないような気もしています

No title

堀内淳さん)
おお!おめでとうございます
昨日の披露宴は約250名出席、社内結婚ですから顔見知りばかりで、いつもの社内の飲み会の豪華版といった様相でした。ぼくは披露宴に出るのは数年ぶりで、今まで考えたことがなかったですが、司会者の方の進行に関心をもっている自分に気づくの巻。
今思いましたが、メンデルスゾーンの結婚行進曲じゃなくて、カールマンの「チャルダッシュの女王」に引用されているパロディー版でもよかったかも

No title

Y先生)
ええっ!ランゲの「花の歌」伝説は広島のピアノ界で知らない人はいない有名な話ですが(間違いない)、えっ、いつどの披露宴?
次はいぞ○でさんとの連弾で

No title

yositakaさん)
Spectrum盤は確かオリジナルLPからの復刻ではなく、それは気にしませんが、オリジナルLPは3枚合わせて計28曲、Spectrumの復刻盤は24曲ということで、4曲欠けているのが惜しいですね。実はレコード屋さんに立ち寄るたびにゲステムの国内廉価LPを探しているのですが、探しているときに限って見つかりません
ぼくは本文でゲステムの「愛の喜び」のことを素直に誉めていませんが、ポンセの「エストレリータ」を聴きたくなったときはいつもゲステムを取り出します

No title

ゲステム盤は、私なら曲を聞かずにジャケ買いするところでしょうかね(笑)
「愛の喜び」よりも、懐かしのプレスリーを久しぶりに聞いたことの喜びのほうが大きかったですかね。
ガキの頃、パチンコやスマートボールをしながらエルヴィスやポール・アンカの曲に痺れておりました。(当時は十八歳未満規制はありませんでした、念のため)
ちなみに「Can't Falling in Love 」は、ちょいとかわいいおねえちゃん(部下を含む)がいるときに、その子の手をとってカラオケBOXで歌う、私の十八番でもあります。
遺憾ながら、エルヴィスのように女性が腰砕けになってくれることはありません…

いまどきは、250名も出席する結婚披露宴はかなり珍しいですね。

No title

gustavさん)
ゲステム盤の売上の8割はジャケ買いと思われます(Loreeリサーチ社)
ぼくはプレスリーという人の名前くらいは耳にしたことありますが、うっかりするとプロレスラーかと間違えそうなくらい疎いのですが、“Can't Help Falling In Love”にはシビれました
でも、お仕事、あんまりご無理しないでください。夜のピンチヒッターはLoreeが務めさせていただきますのでお任せください!!

No title

「その演奏は、予備知識なく聴いたら何の邪心もない真摯で素直な音が右から左へ抜けていくが、市場価格を知ってから聴くと、神々しいまでの品格に打たれ、「芸術とは何か」を深く問わずにはいられなくなる。」
これは普遍的真理ですね、身につまされます。そのうちボクのブログで引用させてくださいね。

No title

ibotarow先生)
普遍的真理と言うより、ぼくの実情です(汗)
毎週、E社のレコードリストを見ていると5万とか10万とかザラで、たまに超稀少盤が載ると、金額明記なく「国際的な金額を用意できる方は個別にご連絡ください」とか書かれていて、ぼくには縁がないのに興奮します(笑)
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