ドナウ河のさざなみ(イヴァノヴィッチ/ワルトトイフェル編曲)

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<曲名>
ドナウ河のさざなみ(イヴァノヴィッチ/ワルトトイフェル編曲)
 
<演奏>
アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス【1960年1月11日録音、VICTOR(EP盤)】
イヴァノヴィッチ(1845?~1902)はルーマニアの首都ブカレストで軍楽隊長も務めた作曲家で、ワルツ、行進曲や150曲以上のピアノ曲を残していて、1889年のパリ万国博覧会では作曲賞を受賞している。ワルツ「ドナウ河のさざなみ」はイヴァノヴィッチが結成した自分の吹奏楽団のために、1880年に作曲したが、後にピアノ用の編曲版により世界中で知られるようになった。日本では明治時代から「月はかすむ春の夜に」の歌詞で歌われ親しまれて来た。(無記名、アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップスの新星堂復刻CDの解説より)
この曲は日本でも戦前から知られ、「ダニューブ河の漣」とも表記されていた。作曲者イヴァノヴィッチの生年情報は錯綜しており、1848年と記載している資料も散見される。
 
同じドナウでも、ワルツ王の「美しく青きドナウ」が冒頭のトレモロから柔らかい太陽の光がキラキラと水面に反射するさまを描くのに対し、「ドナウ河のさざなみ」は曇り空に覆われ、胸を締めつけられるようにセンチメンタルでメランコリック。短調あり、長調あり(どこかで聞いた言葉)、幾つもの主題が次々と現れては消えていく。まるで「世界の車窓から」(ドナウ河だから船窓か)のように、窓の外に見える風景が刻々と移り変わっていく旅行記のような音楽。近鉄名古屋駅の特急の発車メロディー(※1)の選曲担当者も、この曲に旅愁を感じ取ったであろうことをぼくは信じて疑わない。
 
いろんな演奏を聴いてみると、どれもオーケストレーションが異なることに気づくが、原曲が吹奏楽ならば納得。実家に眠っていた当盤の盤面にはなんと“Orchestrated by Waldteufel”と明記されている。その名はイヴァノヴィッチとほぼ同年代の作曲家で「スケーターズ・ワルツ」(※2)で有名なワルトトイフェル(1837~1915)であるとぼくは信じて疑わない。
 
(参考)
※1 近鉄名古屋駅 http://www.youtube.com/watch?v=iOZzJ4QMpco
※2 スケーターズ・ワルツ http://www.youtube.com/watch?v=2Uo8d3aEkWs
 
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<演奏>
アーサー・フィードラー指揮東京交響楽団【1961年11月13日録音(Live)、TBS Vintage Classics】
http://www.amazon.co.jp/dp/B00GNJA6EC (試聴できます)
 
フィードラー来日時のライヴ。冒頭のみ試聴する限り、前年にボストン・ポップスを指揮した録音よりもやや遅いテンポながら、同じ編曲と思われる。それはさておき、半世紀以上もTBSの倉庫に眠っていたという貴重なライヴを多数復刻するこの名企画がSACDハイブリッド盤とやらで1枚3300円という法外な価格となったことは誠に遺憾である。意地でも買わない。
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コメント

No title

こんばんは。あの有名な『ドナウ河のさざなみ』すごい歴史があるんだ~。
最初は吹奏楽曲だったのが、ピアノ独奏用とか、管弦楽用など、いろいろな形に編曲されて、現在に至っているんですね。
電車旅行が大好きな私なのに、長い間『ドナウ河のさざなみ』すっかり忘れておりました。

No title

どこかジプシーっぽい旅のメロディーですね。
私のイチオシはジャンゴVer.かな。
http://www.youtube.com/watch?v=kH6oWOivK3Q
近鉄名古屋駅の担当者に拍手。

こちらの近場ではカチューシャの唄や春よ来い(相馬御風がらみ)が鳴る糸魚川駅が有名です。

No title

ロレーさん、意地でも買われませんか!この曲はどこか垢抜けしないところがいいと思います。

No title

「ダニューヴ河の漣」はボクの実家にわずかに2枚合ったクラシックSPレコードの1枚でしたが残念ながら人にあげてしまってありません。ちなみにあとの1枚はスッペの軽騎兵序曲。
François Loréeさんの今後のご活躍に期待します。

No title

音楽の前に、1枚3300円のCD、「意地でも買わない」、誠に同感であります。

さて、この音楽、私は「ダニューブ河のさざなみ」と記憶しておりました。
小学校の頃、昼休みの給食の時間に放送部の子供がレコードをかけるということが行われ、そのときにこの曲を何度か流した覚えがあります。
たまに棚に並んでいるのではつまらなくて、家に転がっていたイヴ・モンタンをかけたりもしておりましたが、三橋美智也だと職員室に引きずり込まれたのは懐かしい思い出です。

近鉄名古屋駅で発車メロディに使われているのは知りませんでした。
私は、この曲を聞くと、何となく子供の頃に行ったサーカスを思い出します。

No title

http://www.youtube.com/watch?v=GzeRnjLPJ-s
♪武家鎌倉は~死者の国~帰りたくても~帰れない~♪(作詞堀内淳)
これほどまでに悲しい旋律はあまり無いと思います。

No title

ドナウ河のさざなみは、小さい頃によく聴いた記憶があります。確か実家にレコードがあったはずですが、今手元にこの曲の音源を何と一枚も所有しておりませんでした!
近鉄名古屋駅は1985年ですか。まだ発メロが一般に普及するよりも随分前ですね。こんなに悲しげな発メロは聴いたことがありませんでしたが、今のものより旅の期待感を感じさせるものです。久しぶりに乗り鉄したくなってきました♪

No title

ま~、拙ブログの宣伝(?)をしていただき、ありがとうございます
この曲は、某教則本でも「ダニューヴ川の蓮」とありましたが、なんだかムーディ曲調に、弾く方が照れちゃう?感じがしました(^^;
近鉄特急の発車メロディーを把握されているのには恐れ入りました!
選曲担当者のイメージとしては「♪いい日~旅立ち~」だったのでしょうか。でも、なんだか観光地の遊覧船が出航するときの雰囲気だったりして …どこかに行きたくなってきました

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coraさん)
原曲が本当に吹奏楽なのかどうか分かりませんが(←疑い深いLoree)、ピアノとかオーケストラに編曲されて現在に至っているのは確かです、間違いない。
しかしこの曲、ぼくは学校で聴いた記憶がなく、実家にこのレコードがなかったら、忘れるどころか今でも知らないままだったかもしれません(汗)

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ホーシュさん)
西欧と東欧の音楽はずいぶんテイストが違うものですね。そしてこの曲はいかにも東欧という感じがします。
ジャンゴの“Anniversary Song”、初めて聴きました。ぼくはステファン・グラッペリが好きなので、その時代のジャンゴは特に望まなくても聴くことになってしまうのですが、告白しますと、ぼくは彼のギターの良さがまだ分からないのです(汗)このアレンジが何ともいい味です
駅のメロディーは、無くてもよいと思うこともありますが(ジリリリリ…みたいなベルで十分)、特にこだわりを感じる選曲には敬意を表したくなります。糸魚川駅のメロディー、YouTubeで聴きました!季節によって変わるんですね
こんなサイトがありました。
「ご当地駅メロディー資料館」
http://7-pref.com/gotochi.htm

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SL-Maniaさん)
本当は聴きたくて仕方ないのですが、買うとこの価格設定を認めたことになるのがなんだか悔しいから、中古屋さんで探してみます

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ib○tar○w先生)
おお、先生もさりげなく「ダニューブ河の漣」派ですね。以前、ご実家には大量のSPがあったものと思いましたが、クラシックは2枚だったんですね。誰の演奏だったのか気になります♪
なお、François Lorée(1835~1902)は創業者でございます

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gustavさん)
おお!gustavさんも「ダニューブ河のさざなみ」派。学校放送で自分が好きな曲を勝手に流すのはぼくの夢でしたが、ついに叶いませんでした。余談ですが、ぼくは嘉門達夫を学校の給食時間に放送委員の誰かが流すので初めて知ったのですが、爆笑しすぎて食べてる場合ではありませんでした
サーカスですか。この哀愁のメロディーとの組み合わせはレオンカヴァッロの「道化師」に出てくるピエロたちの世界に通じる気がします。
CDの価格は輸入盤BOXの激安攻勢に慣れてしまった上、ここ最近は中古レコードの300円以下コーナーの常連ですから、TBS Vintage Classicsは文字通り、桁が違います

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堀内淳さん)
童謡「鎌倉」は初めて聴いたので、歌詞も堀内さん作がぼくの刷り込みでございます
電子音じゃなくてフルートの録音なんですね!しかも途中から二声に分かれて、余計に物悲しさが胸に迫ります。それにしてもYouTubeってすごいな~

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ポンちゃんさん)
確かにこの曲はいわゆる「ホームクラシック名曲集」でも買わないと入っていません、間違いない。シンフォニーの余白とかにひっそり入っている図は想像できません(笑)
駅の発メロって、昔(昭和)はあんまり無かったんでしたっけ。列車の旅には憧れを感じる一方、若い頃に東京から宮崎(高校時代に過ごした)まで青春18切符で2日かけて旅したときのことを思い出すと「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉が脳裏をよぎります。広島勤務時代は東京まで新幹線で片道4時間、日帰りしたこともありますから、その辺りまではなんとか

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内緒さん)
ええ~!6月に!そんないい話、内緒コメにしなくても!
ぼくもかつて一度行きましたが、行き当たりばったりの過ごし方で、適当にコンサートも行きましたが、天満屋で天丼を食べたり、ちょっと肌寒い季節だったので妻が伊勢丹でコートを買ったりして、ここは何処だ?という感じでした(笑)
ちなみに両親を招待ということで思い当たるのは、近所のソバ屋でご馳走したのが唯一の記憶であります。

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musicaさん)
おお!偶然にも貴ブログのテーマがわが本文に!
musicaさんも「ダニューブ川の蓮」ですか。意外とこっちのほうが多数派だったりして。。。
自称ロマンチストのLoreeですので、思い入れたっぷりにムーディーに弾くのはお任せください本当は、表向きはあっさりとした表情の中に哀愁がにじむほうが味わい深いと思いますが、そんな大人な芸は持ち合わせておりません
観光地の遊覧船、なるほど…すごくイメージ豊かですね遊覧船じゃないけど、宮崎港みたいな小さな港から出航していく旅客船を見送る心境になりました

No title

むむっ
アーサー・フィードラーとともに写真に載っているのは
よく見たらエドゥアルト・シュトラウス2世ではないか(無関係)

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tom**yuroさん)
この記事にはシュトラウスというキーワードを含まないのに、よく見つけられましたね
(まとめ)
■ヨハン・シュトラウス1世(1804~1849)
■ヨハン・シュトラウス2世(1825~1899)←ヨハン1世の息子
■ヨゼフ・シュトラウス(1827~1870)←ヨハン1世の息子
■エドゥアルト・シュトラウス(1835~1916)←ヨハン1世の息子
■ヨハン・シュトラウス3世(1866~1939)←エドゥアルトの息子
■エドゥアルト・シュトラウス2世(1910~1969)←エドゥアルトの孫(ヨハン3世の甥)
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